書記が数学やるだけ#82 漸化式の応用-2(平面分割から空間分割へ)
2019年東工大数学大問4は,今や伝説の問題として名高い(悪名?)。
今回はその頭の部分までだけでもたどり着けるように,一つ一つ組み立てていく方針とした。問題は空間分割であるが,それを考えるにはまず平面分割について考えてみる。
全体的にこちらの動画を参考とした。
問題
平面分割は割とよく出てくる問題。
さてこれを空間分割で活かすとなると,高い空間把握能力が要求される。最終的に東工大の(1)まで解説できる。
説明
分割問題について,次のような数が知られている。
平面分割は怠けた仕出し屋の数列,空間分割はケーキ数に対応している。今回はその一般項を出そうという流れである。
解法
まずは平面分割,具体例から。
5本以上となると,図で描くのは難しくなってくる。なのでこの辺で規則性に気づく必要がある。線を足すことにより新しくできる平面の数について漸化式を立てる。
これは階差数列に帰着できる。下にコンビネーションを用いた表示を紹介しておく。
次に空間分割について,具体例から。
3枚の地点で図示が困難になる,しかし4枚までは頭にないと規則性を出すのが難しいだろう(2, 4, 8と来て次は16ではない,正しくは15)。
考え方としては平面分割と似たようなものだろうと目星をつける。新たに加える平面に対して正面から見ると,平面を加えることで平面分割の数だけ新しく空間ができる,ことに気づくことができる。
漸化式がわかればあとは計算するのみ。コンビネーションを用いるのがエレガントだろう。
ちなみに,2019東工大ではここまでが(1)で,(2)は2番目に大きい空間分割数,(3)では3番目に大きい空間分割数を問うものとなっている。特に(3)は難問で,詳しくは解説しないがn=4でのみ例外処理が発生するのだという。東工大としては,(1)はできて当然でそこから先が考えられるかを問いたかったのだろうか。
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