書記の読書記録#950『糖鎖生物学―生命現象と糖鎖情報―』
北島 健,佐藤 ちひろ,門松 健治,加藤晃一『糖鎖生物学―生命現象と糖鎖情報―』のレビュー
レビュー
糖鎖は,DNAやタンパク質に続く情報を担うものとして注目されている。本書では,受精・神経・免疫・癌・感染などにおける糖鎖の研究がまとまっている。
もくじ
はしがき
第Ⅰ部 糖鎖生物学概論
Ⅰ-1 生物と糖鎖
1.1 生体分子としての糖質
1.2 糖鎖の存在分布:糖鎖は細胞の全領域に存在する
Ⅰ-2 糖鎖の構造
2.1 糖質とは
2.2 単糖
2.3 グリコシドと糖鎖
2.4 オリゴ糖、多糖、複合糖質
Ⅰ-3 糖鎖の生合成と分解
3.1 糖転移酵素
3.2 グリコシダーゼ
3.3 N型糖鎖の生合成
3.4 O型糖鎖の生合成
3.5 糖脂質の生合成
Ⅰ-4 糖鎖の機能
4.1 糖鎖の役割
4.2 物性を変化させる役割
4.3 認識分子としての役割
Ⅰ-5 糖鎖の多様性と不均一性
5.1 糖鎖構造の多様性
5.2 糖鎖構造の不均一性
5.3 糖鎖利用の生物学的メリット
コラム1 糖鎖の構造と発現解析
コラム2 糖鎖の有機合成
コラム3 糖鎖ライブラリーの構築と利用
第Ⅱ部 糖鎖情報の形成
Ⅱ-1 糖代謝情報
1.1 はじめに
1.2 糖ヌクレオチド代謝
1.3 O-GlcNAc修飾
Ⅱ-2 タンパク質の品質管理とN型糖鎖
2.1 はじめに
2.2 小胞体における新生糖タンパク質のフォールディング
2.3 小胞体-ゴルジ装置間における糖タンパク質の選別輸送
2.4 小胞体およびサイトゾルにおける変性糖タンパク質の分解
2.5 品質管理機構の破綻に伴う病気
2.6 おわりに:今後の課題
Ⅱ-3 マイクロドメイン形成
3.1 はじめに
3.2 マイクロドメインの糖鎖生物学的重要性
3.3 新しい細胞膜モデル
コラム4 微量糖脂質の構造解析
コラム5 糖鎖の動的構造解析
コラム6 糖脂質の膜上動態分析
第Ⅲ部 糖鎖情報の解読
Ⅲ-1 受精と糖鎖
1.1 はじめに
1.2 受精過程の普遍性
1.3 精子運動と糖鎖
1.4 精子先体反応と糖鎖
1.5 精子-卵外被接着と糖鎖
1.6 先体反応後の精子と卵の融合
1.7 卵表層反応と糖鎖
1.8 おわりに
コラム7 花から見つかった生理活性糖鎖アモール
Ⅲ-2 発生と糖鎖
2.1 はじめに
2.2 Notchシグナル伝達と糖鎖による調節
2.3 発生現象を制御する糖鎖修飾
コラム8 糖鎖修飾によりホルモンが一人二役を授かる仕組み
Ⅲ-3 神経と糖鎖(Ⅰ)—— 神経発生と再生
3.1 はじめに:神経とネットワーク形成
3.2 神経発生、パターン形成と糖鎖
3.3 軸索ガイダンスおよびシナプス形成と糖鎖
3.4 神経可塑性と糖鎖
Ⅲ-4 神経と糖鎖(Ⅱ)—— 神経機能
4.1 はじめに:神経機能における糖鎖の役割
4.2 ガングリオシドの役割
4.3 加齢や神経変性とガングリオシド
4.4 ガングリオシド欠損マウスが示す糖鎖機能
4.5 細胞膜マイクロドメインとガングリオシド
4.6 おわりに
コラム9 統合失調症とポリシアル酸
Ⅲ-5 免疫と糖鎖(Ⅰ)—— 免疫調節
5.1 はじめに
5.2 NKT細胞による免疫調節
5.3 シグレックによる免疫調節
5.4 TCR上の糖鎖
5.5 IgG上の糖鎖
56. おわりに
Ⅲ-6 免疫と糖鎖(Ⅱ)—— 自然免疫の制御
6.1 はじめに:自然免疫とは
6.2 自然免疫の概観
6.3 自然免疫における自己と非自己の識別
6.4 自然免疫における動物レクチンの役割
6.5 MBP/MBLの構造と自然免疫における役割
6.6 おわりに:糖鎖を介する自然免疫と炎症性疾患
Ⅲ-7 免疫と糖鎖(Ⅲ)—— 獲得免疫
7.1 はじめに
7.2 獲得免疫とは
7.3 抗体
7.4 IgG糖鎖のエフェクター機能への影響
7.5 糖鎖抗原
7.6 糖鎖抗原による疾患
7.7 おわりに
コラム10 シグレックと免疫制御
Ⅲ-8 癌と糖鎖
8.1 はじめに
8.2 細胞の癌化と糖鎖変化
8.3 癌の悪性度の進行と糖鎖変化
8.4 癌関連性糖鎖の臨床応用
コラム11 プロテオグリカンと病気
Ⅲ-9 感染と糖鎖
9.1 はじめに
9.2 細菌の生存と病原性における糖代謝酵素の役割
9.3 ノロウイルス感染における糖代謝酵素の役割
9.4 細菌のシアリダーゼ
9.5 ウイルスのシアリダーゼ
9.6 トランス-シアリダーゼ
9.7 抗インフルエンザ薬のシアリダーゼ阻害剤
コラム12 糖鎖と植物ペプチドホルモン
コラム13 植物多糖に隠された化学情報
索 引
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