書記が数学やるだけ#233 指数関数,三角関数
具体的な関数についていくつか見ていく。
問題
(3)有名問題,加法定理の証明も重要だが,三角関数の定義を自分で出来るというところが本問の分岐点だろう。
説明
指数関数,べき関数,対数関数。
三角関数にはいくつか定義の方法がある。
解答
チェザロ平均について:
極限を見てネイピア数eを引き出す問題。階乗やコンビネーションにはeが絡んでいることが少なくない。
いきなり(2)を解くには,対数をとり面積の不等式からはさみうちの原理に持ちこむ。指数を見たら対数をとってみるのはよくある解法である。
次に三角関数。単位円を使うことで一般角でも定義できる。
加法定理の証明には,2点の距離を考えるのに余弦定理を用いる。これがスタンダードな解法だろう。
一つ証明できれば,還元公式で変換すれば他も証明できる。
別解の一つとして,紙を折ることで得られる図形から示してみる。三角関数の定義では直角三角形を用いることにする。
それぞれの辺の長さから,加法定理が示せる。この方法は直感的で最初にやるには良いと思うが,このままでは一般角では示せていない点に注意が必要。
もう一つの別解として,オイラーの公式で定義してしまう方法がある。高校数学としては飛び道具感があるが,別に問題の意図とは離れてはいないのでこれもアリ。
今回いくつかの別解を取り上げた理由は,「定義の仕方はいくらでもある」ことを示したかったからである。本問題では,定理の証明において定義に従った議論ができているかが問われていたのだろう。小平『解析入門Ⅰ』において三角関数を複素数の回転から定義しているのを見て,また今回の東大の問題を見て,定義について考え直した次第である。同じ用語でも,教科書により定義が異なり以後の議論も異なることもあるので注意が必要。
参考:
公理・定義・定理・補題・系とは何か(予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」)
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