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書記の読書記録#317『完訳ロビンソン・クルーソー』

ダニエル デフォー(訳:増田 義郎)『完訳ロビンソン・クルーソー』のレビュー


レビュー

膨大な情報をもとにひとりの人間の記録を書き切った作品で,当時のイギリス市民の精神がよく反映されている。漂着後は持ち前の知識と信仰心で困難を越え,捕虜をうまく飼い慣らし,やがて戦いに勝利する姿は,当時の理想像にも見える。

かつてスペインやポルトガルが握っていたカリブ海へ,イギリスは進出しようという時代。海の向こうに夢見た人々に,本作はうまく適合したのだろう。

1719年に59歳で『ロビンソン・クルーソー』を出版したデフォーは,もとはジャーナリストとして諷刺詩を数多く書き,トーリ党の幹部ハーレーの下で週刊誌『レヴュー』を発行し実質的な政府の広報官として活動していた。

全体的に,予定調和ではあるが面白いと思った作品である。


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Writer_Rinka
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