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BROコモンカードPauper評価
WotC公式より兄弟戦争(BRO)収録の全カードが公開されました。
例のごとく、コモン構築の目線で気になるカードをピックアップしてみます。
【お知らせ】『兄弟戦争』カードイメージギャラリーにて、全収録カードを公開いたしました。
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) November 4, 2022
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兄弟戦争のメカニズム
試作
いくつかのアーティファクト・クリーチャーが備えていて、重くサイズの大きいクリーチャーを幾分か軽く小さなサイズで出すことができます。
単体ではキッカー類似のメカニズムで、キッカーを支払ったら+1/+1カウンターが追加で乗って出てくるタイプのクリーチャーと大差はないですが、正規のコストのほうが重く、大きいという点が重要で、《儚い存在》のようなブリンクや《フェイン・デス》のような墓地から直接戦場に出すカードなどと組み合わせた場合に強力なクリーチャーをより早く出すことができます。
真っ当に使うならランプデッキでの採用になりそうですが、続唱との相性はそこまで良くない(軽いカードのヒット率が上がってしまう)のが残念。
パワーストーン
新しいアーティファクト・トークンでマナ加速ではあるものの、マナの使い道がアーティファクト呪文ないし能力の起動コストなどに限定されていて使いづらいことに加え、無条件に生成できるカードは3マナ以上となっているためパワー不足感が否めません。
使うのであれば印鑑のようなマナ・フィルターとの組み合わせから考えたいところです。
蘇生
再録メカニズム。
本来はアーティファクト・クリーチャーに限定される能力ではありませんが、今回収録されたものは全てアーティファクト・クリーチャーとなっています。
これもブリンク呪文と組み合わせると墓地から蘇生されたクリーチャーを戦場に残せるので試作と同様に相性が良いのは覚えておきたいです。
注目カード
《再稼働》
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《発掘》に似たリアニメイト呪文ですが、クリーチャーだけでなくアーティファクトにも対応してる点が珍しいです。
最も、対象として有力なのはアーティファクトよりも《晩餐への遅刻》で釣るには大振りになりすぎる《黎明運びのクレリック》あたりの軽いユーティリティ・クリーチャーでしょうが、これまで黒にしかなかった軽量リアニメイト呪文を白が手にいれたことで色としての活用の幅が広がることは間違いないでしょう。
《ファラジの考古学者》
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同コストの《ボーラスの占い師》と比較して一部を除くアーティファクトやエンチャントも手札に加えられるため格段に制約が緩くなっています。
特にインスタント・ソーサリー・アーティファクトが大量に採用されている親和においては潤滑油として優秀そうです。
墓地を肥やせる点もメリットが大きく《トレイリアの恐怖》や《うねる曲線》との相性も《ボーラスの占い師》から向上しているのではないでしょうか。
今後、コモン構築で頻繁に見かけることに間違いなし。
《ギックスの潜入者》
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《血茨》と全く同じ能力を持っていますが、より軽く、そしてよりサクリファイス・シナジーが豊富な黒という色になったことで額面以上に強化されています。
クリーチャーだけでなく土地でもアーティファクトでもサクれば大きくなるため、2/2/1というスタッツが殆ど気にならないくらい急速にサイズを上げていけそうです。
クリーチャー・タイプが人間なのがやや残念ですが《屍肉喰らい》と併せてゾンビ・デッキなどに採用してもアタッカーとして活躍してくれるかもしれません。
《土の帰還者》
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ほぼ《療養所の骸骨》のアーティファクト版で、盤面で活躍するよりかはシナジー重視で墓地と手札を行き来するタイプのクリーチャー。
アーティファクトであることが有効に機能するシナジーも多く、布告除去の避雷針として出しつつ親和や即席のためのアーティファクト・カウントになったり、《ラト=ナムの賢人》や《蛮行オーク》などサクるのがアーティファクトに限定されたサクリ台での利用など《療養所の骸骨》にはできない仕事もあります。
切削で1枚落ちれば十分なカードなので、クリーチャーでありながら前述の《ファラジの考古学者》で実質的にサーチ可能というのも可能性を感じます。
《苦々しい再会》
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《苦しめる声》系統のルーティング呪文ですがエンチャントとして戦場に残るというだけで《コーの空漁師》での回収など相性の良いカードが増えますし、1回のみかつ起動にマナこそかかりますが全体に速攻付与という嵌ればゲームの結果を左右するレベルの能力を持っています。
《ブラストダーム》に速攻を付与する……というのは流石にロマンに過ぎますが、ぜひファッティを速攻で相手にぶつけたいところ。
そういう意味では手札を捨てるのが追加コストでなくなったことにより続唱との相性の悪さが改善されているというのは注目すべき点かもしれません。
(手札を捨てるかどうかも任意です。)
《ゴブリンの爆風走り》
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ゴブリン・デッキのエースになれるかもしれない1枚。
元来《ゴブリンのそり乗り》のようなサクリ台には事欠きませんし《ゴブリンの手投げ弾》のようなコストにクリーチャーの生け贄を要求するカードも豊富です。
また、ゴブリン以外にも《ヴォルダーレンの美食家》の出す血・トークンや《炎の印章》など赤系のアグロデッキには相性の良いカードが多いので、「《僧院の速槍》に加えて、あと1種類1マナが欲しい」という需要を満たしてくれるかもしれません。
《ペンレゴンの剛牛》
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確かに能力の起動にマナがかかるのはいただけないですし3/2/3というスタッツも微妙です。
殊更《感電破》などを耐えようとすると5マナも必要になるため火力への耐性は低いと言わざるを得ません。
しかし《エイトグ》が禁止されて以降、色々と試されながら結局どいつもポンコツだったポスト《エイトグ》のクリーチャーの中では1個のアーティファクトを2点ダメージに変換できるという点で相当な有望株でしょう。
同じく1アーティファクト個を2点ダメージへ変換ができる《屑鉄場の鉄殴り》あたりと比較しても、その性能は雲泥の差です。
2枚目が無駄になる《間に合わせの砲弾》は枠を多く割きづらいですが、2枚目以降も機能するクリーチャーで戦闘に依らない直接ダメージを狙えるという点も、枚数を多く採用することで一貫したプランを取りやすくなるという意味で有益です。
《屑鉄造りの雑種犬》
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本体コストも蘇生コストも軽く、蘇生持ちの中では使用に耐えるかもと思えた1枚。
ルーターは序盤から終盤まで有益ですし、墓地からフラッシュバック的に使えるのは便利です。
しかしながら2/1の攻撃がそうそう通るものでもないので《間に合わせの砲弾》などの有効利用できる手段との併用は必須でしょう。
《ブランチウッドのうろつくもの》
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《サテュロスの道探し》系統のクリーチャーの中では2マナかつETB能力で土地を手札に加えられるという点で5枚目以降の《サテュロスの道探し》となり得ます。
(他の奴らは土地を加えるのがPIG能力だったりで微妙。)
捲る枚数が少なくヒットし辛いものの、その場合は2/2/2と盤面で活躍できるスタッツになるので単体で十分に補えています。
土地が捲れても任意で2/2とすることが可能なので、アグロデッキに適性のない《サテュロスの道探し》と違い緑単ストンピィをやや重めの構成にしたうえで《炎樹族の使者》からの横展開要員と《湿地帯のグロフ》の餌を兼ねるようなポジションを担えるかもしれません。
《岩枝のゴーレム》
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よくある《蜂蜜マンモス》系統のファッティですが試作による早出しによりアグロデッキに対する強力な対抗手段として機能します。
複数枚を引いても試作により手札の消化を阻害しないことでメインから枚数を多く積むことができますし、《古きものの活性》でサーチ可能で素出しに色マナが不要と試作の特性を余すことなく発揮したナイスな一品。
7マナというコストもウルザ土地から出せる7マナちょうど、かつ《大渦の巨人》からの続唱にも対応している点も含め完全に緑トロンのために作られたカード。
《錆ゴライアス》
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コモンカードにおけるCMCの最高値を更新。
《うつろう爆破》でも《稲妻の謎》でも好きに使ってください。
《エネルギー屈折体》
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マナの消費こそありますがカードを消費せずに色マナを安定させられる手段というのはパウパーにおいて極めて強力です。
《予言のプリズム》から弱体化しただけなくタップ不要により起動回数の制限がなくなったという強化されている面もあるため、ウルザトロンのような大量のマナを出せるデッキでは行動回数を増やせる可能性すらあります。
キャントリップにより構築に負担をかけることなく多くのデッキに採用が可能でので、特定の1色の無限マナを出せるデッキが任意の色マナの無限マナを出せるデッキになることで、より安定してループを行えるようになるかもしれません。
(例えば《現実からの遊離》の無限マナの条件が『青マナを含む2マナ』から『任意の3マナ以上』になるなど。)
また、組み合わせることで《アシュノッドの供犠台》が《ファイレクシアの供犠台》となるので新しいコンボデッキの誕生があるかもしれません。
《トカシアの採掘場》
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ストリクスヘイヴン(STX)の学舎サイクルと似たような機能を持ちますが、起動コストの軽さや諜報による墓地リソースの獲得など性能の向上が見られる一方で無色土地でありマナベースとしては脆弱という弱点もしっかりと存在するので採用できるデッキはかなり限られそうです。