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BLBコモンカードPauper評価

2024年8月2日発売の新セット『ブルームバロウ』の全コモンカード(81種類)が公開されました。
『モダンホライゾン3』の発売から日も浅く、なんなら私事ながらモダホラ発売後に大会に参加できていないくらいですが、9月には『ダスクモーン:戦慄の館』、11月には『ファウンデーションズ』の発売が控えているなど環境の変化に圧倒されてしまいます。
そんなブルームバロウですが、発売前から次元の世界観が最高と言われていて、公開されたカードは評判に違わず素晴らしいアートが目白押しとなっています。
反面、カードパワーとしてはモダホラ後のコモン構築の環境に影響を与えそうなものは皆無と言っても差し支えないレベル。
折角の可愛い動物達をパウパーで使えないのは残念ですが、その分リミテッドを存分に楽しみたいですね。


ブルームバロウのメカニズム

新生

キッカーのように唱える際に追加のコストを支払うことで、元のクリーチャーの1/1のコピーを生み出す能力。
普通に考えれば横並びのアグロで使うべきでしょうが、見た感じでは、どれも新生込みのコストがかなり重く性能が足りていない印象。
キッカーと同様に明滅とはシナジーにならないのもマイナス評価。
一応、色に関係なく全色に用意されています。

贈呈

追加でコストを支払うのではなく、相手に無料でプレゼントをすることで効果が高まる面白いデザイン。
コモンでは贈呈するのも1/1の魚トークンや食物トークンで大したデメリットでもなく使い易い。
何気に相手に無条件でクリーチャーを押し付けるという能力がコモンでは珍しく、《焼尽の猛火》のように相手がクリーチャーをコントロールしていることが必須になるカードをアクティブにするのに使えたりもします。
これも全色に用意されています。

給餌

黒と緑に割り当てられた墓地のカードや食物をリソースとして活用する能力。
墓地は自然と貯まっていくものですし、食物を生成するカードもコモンにはかなりの数がありますので、それらを有効活用できるとなると有用そうではあります。

雄姿

白と赤に割り当てられた英雄的類似の能力ですが、各ターンに1回の制限がある代わりに能力の対象にしても誘発するため、装備品などのパーマネントを利用すれば容易に誘発させられます。
新規の能力なのでカードの枚数自体は少ないですが、既存の英雄的と組み合わせもよいため、新しいアーキタイプに発展して欲しいところです。

積算

赤と緑に割り当てられた呪文を唱える際に使用したマナの数をカウントするという今までにないタイプの能力。
積算のためにマナやカードを消費しなくて良いため、実質的に無料でボーナスを得ていると言えなくもないですが、能力の起動などで使われたマナはカウントせず、あくまでもカードを唱える必要があるため、ドローを多くしたりフラッシュバック呪文を活用するなどの工夫がないと思うように扱えないことにもなりそう。
《魔力変》や《炎樹族の使者》のようにマナを生み出すカードとは好相性で、色も合致しているため採用を検討するのも良さそう。

《一生の絆の二人組》

同コストに《縫合の僧侶》が存在し、能力だけ見れば僧侶のほうが特有の性能をしていますが、こちらはタフネスが2なので《祭典壊し》で一掃されない、飛行を持つので《クラーク族のシャーマン》に耐性があるなど、ソウルシスターズ系のアーキタイプにとって嬉しい要素もあります。
通常の白単アグロで採用するのであれば《月皇の古参兵》でライフ回復は十分だとも思いますので、ライフ回復に特化する場合に選択肢になり得るかどうかというライン。

《イラクサの護衛》

《聖戦士の奇襲兵》の瞬速が雄姿に置き換わっていますが、これはこれで殴り値の高さを存分に活かせるので悪くなさそう。
奇襲兵は瞬速による通し易さだったり、能力が効果的でない相手にもブロッカーとして相打ちを取るなどトリッキーな動きができましたが、こちらは雄姿を可能な限り誘発させて2/3/3として動かしつつクリティカルな置物を破壊していくのがメインの運用になるでしょうか。
クリーチャーとしての性能を取るか置物破壊としての性能を取るかで選択。

《巣穴の長老》

過去にも白単アグロに《不動のユニコーン》の採用実績があるなど、この手の能力はパウパーでも有用です。
2/2/2というスタッツも最低限ではあるものの、単体で殴りに行ける性能があると評価できます。
一方で、トップから引いたときに設置から能力起動という動きをするために必要なマナが6マナと白単アグロでは届きにくいラインになってしまっている点はマイナス要素。
現状、ユニコーンだけで十分という気もしますが、デッキ全体で見て熊のほうが欲しいということがあり得なくもないので、選択肢ではありそう。

《満ち欠けの証人》

4マナという時点で厳しめかなという印象ですが、飛行警戒と能力の組み合わせが優秀なのでワンチャンあるかも?
《天界のユニコーン》と異なり修整値が残らないのが残念ですが、ライフを失った際にもパワー上昇があるのが珍しい。
これでタフネス修整もあれば金属術を達成した《感電破》も容易に躱せただけに惜しいですね。
速度も安定性もないですが、《血の執行司祭》を起動できれば任意の回数のライフ支払いが可能なので《憎悪》コンボになります。

《吼える叫び屋》

ウェザーライト初出の《マーフォークの交易商人》のパワーとタフネスを入れ替えただけのクリーチャーがまさか令和の時代に出るとは思いませんでした。
構築視点だと、これより数倍は強い《当世》などがあるため使われることはないでしょうが、今後はこれをベースにした上位互換が刷られることを期待したいですね。
というか、これもクリーチャー・タイプをカワウソにして果敢が付いていてもリミテッド的に問題はなかった気しかしません。

《瑪瑙刃の暗殺者》

スタッツが悪くなく、能力によりクロックも十分。
オマケにライフも回復できるため《血の研究者》や《略奪する破戒僧》の能力を誘発させるのにも便利だったりします。
現状、黒系でライフ回復軸のアーキタイプは存在しませんが、今後のカード次第でワンチャン。

《サザキャップの醸造》

《胸躍る可能性》のようなルーター系のドロー呪文にクリーチャー強化が付いているのは異色の組み合わせ。
それらにシナジーがあるわけではないですが、ドロー呪文でありながら雄姿や英雄的の誘発に使えるというのはかなり面白いかなと思います。
前述の通り《焼尽の猛火》の的になるクリーチャーを用意できるというのが1万ゲームに1回くらい活きる可能性がなくはない。

《パン職人を悩ませる二人組》

どの程度に誘発させられるか未知数である積算を考慮せずとも2/2/2に加えて戦場に出たときに食物トークンを生成できるのであれば悪くないパフォーマンス。
緑単のようなデッキだと食物トークンの価値が若干低いですが《茸の番犬》のようなカードもなくはないですし、黒まで色を広げると《大釜の使い魔》などもあり、食物軸のアーキタイプが成立するのであれば序盤に雑に投げられるクリーチャーとして重宝しそうです。

《蓄え放題》

モダンホライゾン3で登場した《邪悪鳴らし》が強力であることは既に知られていますが、インスタントになったところでエルドラージ・落とし子・トークン生成という確実なメリットから条件付きの食物トークン生成に弱体化している点を補い切れているかどうか。
よほど食物軸に振り切る場合にワンチャン。

《山積みの収穫》

効率の悪い《不屈の自然》ですが、0マナで生け贄にする手段があると途端に最高効率のマナ加速になります。
食物軸のアーキタイプでそんなマナ加速が必要かどうかという問題はありますが、そういった組み方もできるというオプションとしてワンチャン。

《長茎の乱闘》

基本である《弱者狩り》が4マナ、その上位互換の《スケムファーのための闘争》が予顕を経由して3マナなので、贈呈したときのマナ効率が非常に優れているのが分かります。
贈呈してしまう魚トークンが次のターン以降のブロッカーになってしまうので、ダメージ効率的には伸び悩むかもしれませんが、そこは《怨恨》などのトランプル付与で補っていきたいところ。
緑には《日を浴びる繁殖鱗》や《進化の証人》など+1/+1カウンターを置くことで追加のリターンを期待できるカードが存在することもあり、緑単の除去としては《凶暴な一振り》や《強行突破》と並んで選択肢になり得ます。

《天気雨のドルイド》

実質1/1/3に加えてライフ回復を持ち、対アグロのブロッカーとして非常に優秀。
また《結合虫》として見た際も、横のクリーチャーを強化しつつ本体が相手のパワー1を止められる壁になるため、盤面で仕事がないということにもなり辛い。
サイド要員としてライフ回復を重視するのであれば《林間の癒し手》に軍配があがりますが、守りだけでなく攻めにも使える汎用性からメインで採用する分には断然こちらが勝るため、役割で競合することはなさそうです。

《樹上の哨兵》

ベースが《大蜘蛛》という時点でナシ寄りですが、とはいえクリーチャーに付いているドローは強いですし、食物をカードに変換できるという点、他の給餌で誘発するカードの誘発チャンスを増やせる点を評価してどうかというところ。

多色

《屍苺の耕作者》

下準備こそ必要ですが、出したターンに戦闘を跨ぐことで3/3/4になれるため、タイミング次第で《稲妻》を耐えられる点は評価できます。
コモンには食物を得られる手段はかなり豊富ですが、それを具体的な(ライフ以外の)リソースに変換する手段に乏しいため、少しでも選択肢が増えるのは嬉しいところ。
並べるほどに1回の給餌で得られる恩恵が多くなるため、採用するのであれば4枚積みたいクリーチャーです。

無色

《噴水港の鐘》

出して直ぐに起動することでライブラリー内の任意の基本土地を手札に加えられるため、《旅行者の護符》と同等の効果を得られます。
それでいて、終盤に土地が不要な場合にはサーチをしない選択ができることで実質的にサイクリングが付与されているようなものです。
また、設置から起動で2マナ消費しなければ土地を引き込めない護符と異なり、序盤であればトップに土地を置ければ十分という状況も多いため、設置や起動のタイミングを調節することでテンポ損も最低限に抑えられるのではないかと思います。
アーティファクトであるため親和や金属術でカウントできたり、《きらめく鷹》などと組み合わせれば、カードこそ増えないものの序盤に安定して土地を伸ばすことも可能。
劇的に強力なカードというわけではなさそうですが、上記のようなシナジーまで考慮して採用すれば《灰のやせ地》と選択肢になるくらいのポテンシャルはありそう。

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