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経営戦略の作り方(前編)〜overflowの場合〜
Offersを通じて人材循環型社会を実現したい鈴木です。
今年も残り二カ月を切りましたが、10-11月は事業戦略や体制の変更がある企業も多く、忙しい時期かと思います。
再構築されたチームに、改めて経営思想や事業戦略を浸透させ、実行に移していけるか。経営者やマネージャーの方は迷われる時期ですね。
特にスタートアップでは変化が多く、常に柔軟な対応が求められます。overflowでも今まさに新戦略・新体制のもと再始動しています!
弊社では半期ごとに振り返りと次半期の戦略を策定していますが、今回は内容も方法も大幅にアップデートしました。これが非常に有用性を強く感じたため、備忘録として残すことにしました。
こちらのnoteは、以下のような方の参考になるかもしれません。
- 従業員が20人以上の会社を経営されている方
- 戦略策定の役割を担っているマネージャーや事業責任者の方
- 組織戦略や採用計画を策定する人事責任者の方
前提としてoverflowってどんな会社なのか
本備忘録は、overflowという会社で実行した半期の振り返りと戦略策定です。overlowとは事業フェーズや企業規模が大きく異なる場合は、参考にならない部分も出てくるかと思います。
そのため、まずはoverflowってどんな会社なのかを記載しておきます。
overflowは社員30名強、副業・フリーランスのメンバーを合わせて約150名のフレキシブル経営を採用しています。
ITエンジニア / デザイナーの副業・転職サービスOffersを提供し、19,000人のユーザー様と400社の企業様にご利用いただいています。
「副業開発組織のつくり方」についてご相談いただく機会が多く、ノウハウをこちらのPodcastに集約しています。こちらが最も視聴回数が多い回になっています。
なぜ戦略改定を半期ごとに行うのか
結論から言うと、「仮説の経年劣化を補正する」ためです。
会社は日々変化を起こしています。人材や資産、機能、そして社会の潮流によって、期初に立てた仮説は現実とズレ始め、経過とともに乖離が広がっていきます。
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例えば、MVVは組織のサイズや事業転換など、大きな転機に合わせて見直す必要があるものであり、3年ほどの頻度で改定をするとします。overflowでは、コーポレートビジョン「時間をふやす」Offersミッション「人材循環型社会の実装」が該当します。
組織戦略は、現場からのニーズと財務戦略の折り合いをつけながら、半期や四半期で見直す必要が出てくるでしょう。overflowでは等級・評価・報酬制度やoverflow Benefitsなどが該当します。
最後に、営業活動はどうでしょうか。
毎日何十件とお客様と話す機会があり、その都度貴重なフィードバックをいただきます。
今日期待に応えられなかったことは、明日は応えられるべきです。
資料やスクリプトの改善、理解が深まる市場・独自データの提供など施策のリードタイムは短く、選択肢も多く存在しています。
このように戦略や行動にはレイヤーがあり、それぞれ適切な経年劣化の期間を持っています。
それらを適切なタイミングで補正していくために、戦略改定は半期ごとに実施しなければならないのです。
また、各所の戦略のズレは関連するチームやメンバーの「もやもや感」にもつながります。
言語化できない「もやもや感」は十中八九、正しい感覚だと考えているので、各々の直感を言語化・Issue化し、共通課題とする過程も非常に大切です。
ステークホルダーの範囲とアサインコストを鑑みると、Q→3年のレンジを半期で見直していくのが、overflowのフェーズではリーズナブルな選択だと考えています。
まずは前期の振り返り
半期の戦略を見直す前に、いくつか課題が散見されていました。
- 経営層を含み、中長期戦略に即したリソース配分ができていない
- 中長期戦略のマイルストーンが抽象的でステップがわからない
- 組織規模の拡大に耐えうる等級・報酬・評価制度の準備ができていない
- 各メンバーのミッションと役割が曖昧であり、兼務も多い
- 誰が何をやっているのかがわかりづらく、改善やケミストリーが起こりづらい
- ターゲット顧客(企業、ユーザー)の認識が各人でズレている
- etc…
いくつか、どころではないですね、今見ると驚きです笑
どのように進めたか
戦略の改定は以下の順序で進めていきました。
次半期スタートに向けたロードマップを策定
次半期で達成すべき状態目標を策定
組織図を策定
事業計画を策定
人員計画を策定
財務戦略を策定
3-5年後の中長期マイルストーンを策定
MVVの見直し
全社周知 / 浸透
会社の評価額やCFなどの「制約条件が強いもの」と、VISIONやテクノロジー、価値観の変化などの「時間軸の遠いもの」から決めていくのが、意思決定のフォーカス範囲を狭める上で効果的であり、合意形成がしやすいというのが学びでした。(本来はMVVの見直しからスタートしていけると良かった)
1. 次半期スタートに向けたロードマップを策定
最初に、決めるべき項目と順序をロードマップとして策定しました。会社の意思決定はAが決まったらBやCにも影響を及ぼすシステムでできているので、何が出発点となり得るかをタイムラインで整理していきます。
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2. 次半期で達成すべき状態目標を策定
状態目標はCEOが議論のたたき台を用意し、大まかな方向性を示した上で肉付けしていくのが良いと思います。
状態目標とは
ありたい理想の姿を定義した目標。VISIONに向かう過程としてのこの半期で、事業・組織がこういう状態でありたいというものを言語化したもの。
弊社の場合は、成すべき事業とプロダクトのロードマップは数カ年分できあがっていたため、逆算して次半期で必ず達成すべきものを私が列挙しました。
その上で経営ボードとの議論を経て、4つの必達状態目標を定義しました。
OKRを導入している会社では、いわゆる全社Objectiveに相当するものとイメージしていただけると良いかと思います。
3. 組織図を策定
今回もっとも価値があったとも言えるプロセスが組織図策定です。
振り返ると今年の6月ぐらいから頭を悩ませていたようです。
リモートベースで組織がスケールしてくると、組織図の重要性と一般的な組織図では実現できない部分の再発明が必要になってくる。
— 鈴木裕斗 | Offers | overflow Inc. (@yutosuzuki) June 22, 2022
これだ!っていうSaaSプロダクトも見つからないので自前で作りにいくしかないのかこれは
overflowはフレキシブル経営を採用しているため、従来の組織図に加えて「コミットレベル」の考慮も必要になってきます。
コミットレベル
フレキシブル経営では、正社員・業務委託といった雇用形態でラベリングせず、full(週5) / flexible(週2-3) / partner (スポット)で設定する
よって、誰が何をしているのか、を把握するためには工夫が必要になります。
組織図を作る上で様々なツールも調べましたが、理想を実現できるものは見つけられず、結果として原点回帰のスプレッドシートで作っていくことにしました。
組織図でクリアしたかった課題は以下の通りです。
- 視覚的にパッと全体像がわかること
- レポートラインがわかること
- 誰が何のKPIに責任を持っているのかがわかること
- 兼務を正確に把握すること
本来は兼務ダメ絶対!だが、しょうがないところもある……。今回は、誰が何を兼務しているのかを知ることが大事だと割り切りました。
また、これらを検討するにあたり、前提として先に議論したのは「機能軸組織 or 事業軸組織」です。
事業軸組織と機能軸組織
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昨今はスタートアップの複数事業展開が増えてきていますが、overflowもご多分に漏れず複数プロダクトを持つ会社です。
このフェーズで議論に上がるのが機能軸 or 事業軸の話です。
例えば、もともとあるAという事業ではThe Model型のチームが存在していたとしましょう。
後にBという新規事業を立ち上げたときに、当然の発想として「すでにインサイドセールスチームがAにいるから、Bもやってもらおう」となるわけです。
結論として、overflowでは以下2点を判断軸とすることで、今回は事業軸を採択しました。
- 新規事業は事業軸で立ち上げるべき
- 各機能同時に、チームをマネジメントしうるタレントが揃っているべき
新規事業は生半可な気持ちでは到底立ち上がりません。全員が寝ても覚めてもその事業のことだけを考える少数精鋭のチームが挑戦して、初めて数%の可能性があるものと考えています。
また、組織の成熟度にも依存します。
overflowでは階層をつくらずフラットな組織運営をしてきましたが、直近は逆に非効率なケースも目立ってきていました。
ちょうどマネジメント、レポートラインの仕組みが導入され始めたタイミングでもあったので、overflowが求めるマネジメント人材の定義と成熟にリードタイムがかかると判断しました(とはいえ、この1-2ヶ月ですごい勢いでマネジメント人材が成長しているので嬉しい誤算です)。
以上から、今回は事業軸で進めていく判断をしました。
後編へ続く
書き出してみると思いの外、ボリューミーになってきたので今回はここまでにしたいとおもいます。
後編も近日中にリリースしたいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
追記:後編はこちら
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