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思い出「モミの木の下で」

【巨大ツリー】

8歳の時のクリスマス。

学校で
モミの木を使い
クリスマスツリーを
作ろうとなった。

クリスマスツリーは
3m位のモミの木を
クラスで1本ずつ用意された。

このモミの木に
色々飾りつけをして
綺麗なクリスマスツリーに
装飾しようと言うのだ。

このクリスマスツリーは
想像以上に大きく
全部にくまなく飾りつけをするのは
困難と思われた。

でも
先生の指示で1人3個ずつ
クリスマスツリーの飾りを
作ってくるように言われる。

クリスマスまでの期間は
3週間あり
12月23日に飾り付けをし
このツリーを完成させるらしい。

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【ピカピカ】

俺は
家にツリーの飾りがあったから
それを持っていこうとした。

しかし母親に
「先生が作れと言ったのだから、作りなさい!」
そう言われて
手抜き作業が却下されてしまった。

俺は
仕方なく何を作るか知恵を絞りだす。

しかし
クリスマスっぽい装飾なんて
どうやって作れば良いのかなんて
全く解らない。

でも
クリスマスっぽい雰囲気が出る物は
どんな感じのものか知っていた。

それは
金銀ピカピカ光る物。

要は
「何でも金銀ピカピカ光らせれば良いのだ!」

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【ピカピカプラモ】

俺は
ピカピカ光る物で
最初に思い付いたのが
アルミホイル。

このアルミホイルを
物に付ければ
ピカピカ光って
クリスマスっぽくなる!

この名案を思い付き
早速ロボットのおもちゃに
貼り付け始めた。

しかし
もう形になっている玩具に
アルミホイルを張っても
何か上手く貼れない。

俺は
どうしようか悩んだ。

悩んだ末
思いついたのが
組み立て前のプラモデルに
アルミホイルを貼って組み立てる。

そうすれば
組みあがった時には
アルミホイルで
ピカピカに完成する!

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【シワ寄せ】

俺は
早速まだ組み立ててない
プラモデルを探してみたら
5個くらいある。

その中から
ゴールドライタン
マクロス
ジム
この3機を選んだ。

そして
このプラモデルのパーツに
アルミホイルをつけていく。

アルミホイルのつけ方は
パーツの形に切るのが面倒なので
パーツをくるむ様に
接着剤でつけていった。

当然アルミホイルに
シワが出来たが
それは
歯ブラシでこすって慣らしていった。

でも完全
にシワが取れない。

しかし
当時の俺は
これ以上の事が出来る技術がなく
少しシワが残った状態でも完成とした。

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【クリスマス仕様】

そして俺は
プラモデルのパーツに
アルミホイルを付け終わり
組み立てていく。

そして完成した物は
想像以上にクリスマスっぽく
ピカピカ光っていた。

これを母親と父親に見せて
クリスマスツリーの飾りにすると伝えた。

そしたら母親も父親も口をそろえて
「これを飾ると
クリスマスツリーが異質になるよ」
そんな事を言われてしまう。

俺も何となくそんな気がした。

でも俺は
「クリスマス仕様のこのロボットを
どうしても飾りたい!」
と駄々をこねた。

そうしたら父親が
「色は塗らないのか?」
そう痛い所を突いてきた。

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【着色】

俺は
「アルミホイルに色を塗ると
ピカピカしなくなるから塗れない」
そう伝えた。

そうしたら父親が
「マジックで塗れば
ピカピカするから大丈夫だ」
と言ってきた。

なら早速マジックで色を塗ってみる。

結果
本当にピカピカしたまま色がついた!

俺は
感動して
3機とも全部色を塗りまくった。

完成した物は
想像以上にクリスマスっぽく
大満足いく物が出来上がった!

そして俺は
超ご満悦の気分で
次の日これを学校に持って行き
クリスマスツリーに飾る事にした。

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【温度差】

12月23日
大満足の出来になった
このプラモデルを
鼻息荒くして学校に持って行った。

そして
クリスマスツリーに
飾り付けをしていく時間になり
みんなで装飾品を出した。

女子たちは
折り紙で色々作ってきたり
アルミホイルを丸めた大きな玉等
女子らしい物を作ってきていた。

男子は
豆電球を繋げた物や
ロボットの形に切った段ボールや
何故かミクロマンまであった。

クリスマスの装飾をよく見ると
男子と女子で明らかに
温度差がある。

この状況を見た女子達は
「男子の装飾バカっぽい!」
「女子達が飾った後に飾って!」
そんな事を言われてしまった。

そして女子達は
上の方から飾っていった。

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【大きすぎる飾り】

男子は
余った下の部分だけに
飾るよう女子に命じられ
ブーイングが起こっていた。

でも男子は
女子が怖くて逆らえない。

男子は
仕方なく飾れる場所が
どんどん無くなるのを
指をくわえて待つしかなかった。

やっと女子達が飾り終わり
余った場所は
クリスマスツリー下部
3分の1程度。

その場所に
所狭しと男子の装飾が飾られていく。

しかしここで大問題が出た!

俺のプラモデルは
重くて大きく
飾れる場所が狭すぎてない。

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【反感】

俺は
プラモデルが飾れる場所を
迷いに迷い
ずっと探し続けた。

そして思いついた場所は
「女子達が装飾したスペースしかない!」
という結果に至った。

俺は
仕方なく一か八か
女子達のスペースに
ロボット3機飾ってみた。

そしたら当然
女子達が「ヽ(# `Д´)ノムキー!!」と
怒りをあらわにしてくる。

そして俺のロボットを掴み
「こんな大きなガラクタ
ここに飾っちゃダメ!」
そう言われてしまう。

そのロボットは
1番下の根っこの部分に移動され
足の部分を土に埋められてしまった!

しかも
垂れ下がった枝で
完全に俺のロボットが
見えなくなってしまっている!

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【最下層】

そして女子達に
「絶対ここから動かしちゃダメ!」
そう言われて
もうガッカリしてしまった。

その後
俺の最高傑作品の
ピカピカロボットは
木の根っこの部分で飾れれる事になる。

本当は
こっそり移動させようと思ったけど
女子達に見つかったら怖くて
別の場所に移動させられない。

こうして俺のロボットは
男子の装飾スペースにすら
飾らせてもらえなかった。

なぜ女子達は
この俺の傑作品の良さが解らないのか
残念でならない。

そして俺は
しばらくの間
自分で作ってきたロボットを見るたび
なんだか寂しくなってしまった。

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ジョー「鏡面反射のデジタルアートブログ」(鈴木穣)
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