思い出「諦めきれない悪夢」
【悪夢】
9歳の頃。
今でも忘れられない凄く怖い夢を見た。
その夢は、というと。
真っ赤な夕日の夕方、俺は家のすぐ裏の路地をてくてく歩いていた。
多分、家に帰ろうとしていたんだと思う。
そうしたら、後ろに誰かいる気配がして振り向いてみた。
そこには、50代くらいのおじさんがいた。
俺と目があったら突然ニコッと笑ってきた。
そしたらいきなり15㎝位の刃物を取り出し、俺を刺してきた。
俺はここで、勢いよく目が覚めてしまった。
この時、これが夢で凄くホッとしたのを覚えている。
でも何故か目が覚めた時、恐怖感はなかった。
俺は、この時ある事を思い出していた。
殺される夢を見て、そのまま目が覚めなかったら死んでしまう。
その噂を知っていたので、恐怖はなかったが安心した。
これが真実なのかどうかは、解らない。
【占い師】
俺は、学校に行きこの夢の事を友達に話した。
その友達は、葛西昭君と言う子だった。
その子は、この話を聞いたら何かをひらめいた顔をした。
そして、とある女子を紹介してくれた。
名前は忘れたが、占いに詳しい女子だった。
メガネをかけたオカルト狂の子だった気がする。
その子なら、何か解るかと思い、殺される夢の事を話して見る事にした。
そこ子は、こう教えてくれた。
この夢を見たと言う事は、自分の消し去りたい人間性がある証拠だという。
俺は、思い当たる節がありすぎて、どの部分の事なのか解らなかった。
臆病な所?泣き虫な所?意気地なしな所?全部当てはまる。
あと、こうも言っていた。
他人に刺殺される夢は、他人のせいで今の生活を強制的に変えられると。
その事で、苦しまなくてはならないらしい。
俺はこの時、この事が全く分からず理解できなかった。
【父親の陰謀】
ある時、父親が望んでもいないのにパソコンを買ってきた。
名前は「マックスマシーン」
昔の物なので、今のパソコンとは、全く別物のパソコンだった。
このパソコンには、ゲームソフトがカセット式だった。
俺は、このパソコンのゲームが楽しくて毎日やりまくっていた。
でも、ある時このパソコンのマニュアルが枕元に置かれていた。
多分、父親だろう。
俺は、マニュアルは難しくて読む気がせず、放置していたのだ。
丁度ゲームの楽しさが解り、自分でもゲームを作りたい欲求が出て来た。
そこで、少し無理してマニュアルを読み始めてみた。
このマニュアルには、Dos-V のプログラム方法が載っていた。
最初、少しDos-Vをやったら、意外に面白くだんだん夢中になる。
Dos-Vは、小学生でも解る物だった事に驚いた。
非常によくできたプログラム言語だと感心した。
【理想の限界】
俺は、マニュアルを全部読み、基本的なDos-V操作が出来るようになった。
そして早速ゲームを作る為に、プログラムを作って見る事にした。
そうしたら、全然ゲームを作れるだけの文字数が入りきらない。
俺は、諦めきれず2進数4進数を使い、入力出来る文字数を増やしていった。
そうしたら今度は、処理が遅すぎてゲーム処ではなかった。
当時の記憶媒体は、データレコーダと言うカセットテープだった。
それの読み込みが遅すぎて、非常にゲームのテンポが悪い。
でも、この状況が嫌で諦めきれず、処理を早くするために改善して行った。
俺は、今度は文字数を減らす試みをした。
そうしたら減るわ減るわで、相当無駄な文字を入れている事が解った。
でも、まだ自分が理想としているゲームが出来ない。
この後も改善を試みたが、PCの性能が悪すぎてダメだった。
俺が作りたかったものは、実はアニメーション。
1コマ1コマ絵を描いて、スムーズに動かしたかった。
でもこのパソコンでは、不可能と解ってがっかりした。
きっとこれが、殺される夢を見た結果なのだろうと思った。