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映画感想:ラストマイル


ずっとずっと楽しみにしていた映画、見てきました。


はぁあああああああああああああああああああ・・・・・

あぁああああああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(語彙力)


良かった。
良すぎた。
期待を裏切らないさすが塚原監督×野木先生×新井Pタッグ
もうずっと大好きありがとう。

もともとMIU404に恐ろしい勢いで沼り、ブルーレイからシナリオブックまで買うに至った私の中での伝説のドラマで大好きな志摩と伊吹がまた見られるなんて思わないじゃないですか…もう音楽かかった瞬間からかみしめちゃったよ…脳内ガッツポーズ。

思ってたより全然しゃべるし、本当にうれしくてボルテージ上がった。
アンナチュラルもリアルタイムで見てたんだけど、「すごくよかった、好きだった」の感情だけを覚えていて詳細あんま覚えてなかったけどもう全然、中堂先生出てきた瞬間ぶちあがったwwwwwwwwwww

はぁ、
でもその嬉しい楽しいの感情だけには収まらないのが、塚原野木タッグの世界観であります、その後の頭が焼かれて痺れるくらいの強いメッセージで情緒ぐちゃぐちゃにされて帰ってきました。


以降は死ぬほどネタバレ感想するので、
見てない方はご注意ください。


















物流をテーマにする、と聞いてからああ、野木先生らしいというか
昨今の問題として一番といっていいほど考えさせられる部分に触れるなあって最初から感じていた。

私たちはスマホ一つで簡単に買い物ができるし、待ってれば届く利便性。
東京在住ではないからAmazonも即日配達ではないにしろ、それなりの速さで物が届く。
便利だけどセールで買い物しまくった日なんて毎日ヤマトや佐川の人たちが私の家に届けに来ることなんてザラにある。

急がないからまとめて届けてくれていいのに、と思う反面
在庫として持っておくことも、住所ごとにまとめることすら手間だろう。


この利便性は人の命を懸けてまでやる大切なことなのか、
それを命を懸けて示した犯人。

止めたかった人、その思い。
それをどう受け止めるのか。


どのキャラクターの立場にもやるべきこと・感情・それぞれの思いと考え思惑があって、立場によって出す正解も違う。

会社にとっての正解と
個人にとっての正解は違う

どの立場で見るのかで、景色がガラっと変わる。

「お客様のために」の言葉ひとつとっても、こんなにも意味が変わるんだな。

メタ的発言をすると、こういうミステリー映画って犯人は大体大物有名俳優さんを起用したりする。
だからこそ満島ひかりが怪しく見えたけど、最初から怪しすぎて多分違うんだろうななんて思いながら。
でも、名前が発覚してそれに覚えがなくてもその人にあった人生と思いをこれだけ表現されれば映画を見てる側の満足度が全然違うなって思った。


最後の洗濯機の回収なんてもう鮮やかすぎたね。
こ、こまけぇ伏線もきっちり回収~~~美しい~~~気持ちいい~~~


シングルマザーで頑張ってる家族の物語も、
低賃金ながらも誇りを持って働いてる家族の物語も、
上と取引先に挟まれて発狂しそうな羊のやぎさんの物語も、
一見悪にみえそうだけど、会社が言う信念を信じ、強さを貫いた五十嵐の物語も、

一つひとつが、人生で、それぞれ気持ちがあって、その人なりの正解があって、どこかしらでだれかが絶対に共感できる何かがあった。

エンディングの曲、相変わらず米津さんがいい仕事しすぎて
一番泣いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あらゆるシーンが走馬灯した。本当になんていう曲をつくるんだ。


予告だけ見ると「止めませんよ、絶対に」っていうセリフから
この物流が止まった時におこる問題の話かと思ったけど
(いやそうなんだけど)


止めようとした人の意図、気持ち、人生をつぶしてしまうくらいの仕事、
それは、本当に、止めてはいけないものですか、と予告でセリフを言った本人が考えて出した答えなのかと思うと胸が熱くなる。

「だれも、なにもしなかったから、こうなったんじゃないですか」


人は、流される
空気にも、環境にも、良くも悪くも。

それが正解だって、便利だって、みんながおもってるからやるしかない

本当に?
そう疑問に思っていたって個人が
一人だけが抱えていたんじゃ、かわらない。

でも声をあげて、それをまとめて流れを変えれば、変わる。
それができる人は多くはないかもしれないけど。

これはフィクションだから
映画というエンターテインメントだから
そういう強く、賢い主人公がいて導かれた美しい答えだけど
絶対わたしたちにだってできることなんだって
そう思える、本当に強くなれる作品だなって感じた。

塚原さんや野木さんが描く世界は、
現実にある問題に向き合ってる上に、真っ正面からぶつけてくる容赦のなさがあるので正直結構見るのは気力がいるなって思う。

(MIU404の8話はねぇ、多分もう見れない。リアルタイムで頭が焼かれて涙が止まらなくて寝れなくなった記憶しかない。あれ以来見れてない。ほかの話は飽きるほど見直してるくせに)



でもそれだけの重たいメッセージをものすごく上手にエンターテインメントに昇華して芸術的なまでに美しい物語にまとめてくる。天才。ほんと天才。大好き。


細かいところだけど
パソコン部って言えずに印象よさそうなサッカー部だったってとっさに答えちゃう孔くんにあまりにも共感してしまったw
岡田将生好きなんだよな~あんなに爽やかなのにちょっとした陰の部分を醸せるいい俳優です。

あとは「ほしいものがないのは満たされているから」的なセリフもちょっと刺さった。
きっと私は自分が持ってるものをもっともっと自覚したほうがいい。
他人の青い芝ばっかみてるんじゃなくて無自覚的な恵まれていることに目を向けたほうがいい、そんな風に思った。


私はミステリーが好きなので割と色々見てるほうだと思うんだけど
こういう大きな事件を起こす犯人に起きた悲劇とかって
もっと他にエネルギーを使えばって思えるくらいのバカデカ行動力を発揮するキャラクターばかりでそれだけの行動を起こせてしまうくらい人を好きになったり、絶望するって想像できなくていつもそのキャラクターに思いをはせる。

(だからこそMIU404の久住の「お前らの物語にはならない」はくそほど刺さりました。こうやって勝手に同情したり思いを馳せたって犯人にとっては無意味であることを突き付けられたから)

「そんな根性ならないほうがいい」っていうミコトのことば。
私にはあるのかな、とか考えちゃう
大切な人がもし、とか
それだけの絶望に私は耐えて生きていけるのかとか

「見上げた根性だ」と言ってしまう中堂先生も
それは自分にはできなかったから、と思ってしまって出てくる言葉なのかな。

悲しい気持ちに寄り添ってる時のほうが心地いいのかもしれない。
それは本当の悲しみを知らないからなのかな。

そんな絶望はないほうがいいに決まってる。
知らなくていいことだってある。
想像だけでこんなに涙が出てくるから私には多分息ができないくらい辛いと思う。


「次はあなたの番がきたってこと」って最後のセリフ別にそんな意味はないと思うけど孔くんが働きづめで死にそうな思いするんか・・・ってそっちの意味でとらえた私は社畜精神が身に沁みすぎている。

しょっぱなのエレナ、たとえ話が下手すぎて天然なのか…って身構えたけど
あまりにも頭のいい女性で痺れた。好き。アメリカにいるシーンの満島ひかりあまりに可愛すぎた。

そうだよね、野木さんが描く女性はみんな強い。
私もそうなりたいな

私はこういう、みたあとにたくさん感情が動いて言葉が湧き出てくる作品が大好きです。
本当に良かった。

**********追加

がらくた聴きながらパンフレット読んでたらぼろぼろ涙出てきた

すごいよなLemonも感電も塚原野木ワールドの余韻をずっとずっと味わわせてくれる。
すごい。

悪がいない、映画
なにも解決してない、私たちはどうするかを考える映画。

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