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どうしたらいいのか? 判断できかねる状態に「耐える」ということ

 わたしたちは常日頃、さまざまな判断や決断にせまられているものです。すぐに判断がつくことならば良いのですが、なかにはじっくりと思案が必要なこともあるかと思います。


 こんな時、さっさと決めてしまえば、気持ちもスッキリ!頭のモヤモヤ感もサッパリ!しますね。
 ですから、誰しも、つい早く決めてしまおうと思うのではないでしょうか。私も同じです。


 自分事や関わるのが自分だけのことであれば、たとえ間違えたとしても影響範囲は自分だけで済みます。


 ところが、経営者となると話は違ってきます。合議制で決定することの多い大手企業ならともかく、結果的にオーナー社長が1人で決めることが多くなる中小企業にあってはそうはいかないでしょう。
自分の判断が間違っていれば、多くの社員や従業員に影響が及んでしまうからです。


 企業経営にしても個々人の生活上の事柄に関してでも、物事がいずれにも決められずにいる状態に耐えるのは大変つらいことだと思います。つい、その耐える辛さに耐えかねて早々にどちらかに決めてしまうということが多々あると思います。


 しかし、この「宙ぶらりん状態」にじっと耐えておく姿勢も大切ではないかと思います。それは例えば、気が熟すまで判断や決断を待つとか、タイミングを計るというような言葉で表されることです。


 しかしながら、このような姿勢は近年ますます難しくなってきているように思います。

 近年ではネット時代ならではの求められる速度というものがあるように思います。今日では物事の賞味期限がどんどん早くなり、あっという間に陳腐化してしまいます。 
 新しいモノが次々に現れてくるので、ついそちらに気が行ってしまい吟味するとか反芻してみることの時間を取ることなく、新しいもののほうがよりベターなのではないかと考えてしまうことにあると思います。

 その結果何が起きるかというと、良く考えれば手を出すべきでない施策に手を出してしまうということもあるのではないかと思います。 

 従って、このような環境のなかで、物事をじっくりと考えるとか、気が熟すのを待つ、とかタイミングを計るというような姿勢は困難になっていくのではと考えます。



 昔、英国にリデル・ハートという著名な軍事評論家で思想家がいたそうです。彼は「このつらい宙ぶらりん状態に耐えることこそ、打つべきではない策を決断してしまい台無しにするよりは、はるかに優れた選択である」と述べています。


 企業経営者、特に中小企業のオーナー経営者にあっては、何事も自分が決めなくては前に進まないという社内環境の中にあって、周囲からの「決断バイアス」に耐え切れずに、時期尚早とは思いつつも進めてしまうということがあるように思われます。


 人の意見というのは、悩んでいる本人が聞くと一見もっともらしく思えるような考え方や判断に思えてしまうということは間々あるものです。しかし、経営者は、このような意見等に惑わされることなく判断していくことが求められます。


 それだけ経営者は、日々さまざまな決断を迫られているということでもあります。
 よく経営者には「胆力」が必要だといわれますが、それはこのような場合に「宙ぶらりん状態」をじっと耐えるということを指しているのではないかと思います。

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