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姉妹

 私は彼女の意見に賛成し、季節外れのセブンティーンアイスクリームを片手にベンチにかけた。冬が託されたなけなしの体温を全部おっぴろげたような暖かな午後で、空にはくるくると旋回するグライダーが映えた。

 その伸びやかな上昇をぼーっと眺めていると、公園の方からちいさな女の子が勢いよく駆けてきた。彼女は私たちの横の自販機の前で大げさに立ち止まり、クマのぬいぐるみのようなその口を目一杯に開いて、「ひゃくさんじゅーえん」と発した。それは、手元にない丸い硬貨たちの存在を、もう一度いちからこの世に生み出すための呪文だった。

 あとからきた女の子の母親は、今しがた存在を新たにしたそれを、一枚一枚丁寧に彼女の掌にのせていった。横では、ベビーカーに乗った妹が満面の笑みを湛えていたが、「まだ寒いからふたりでひとつよ」という母親の声を聞くと、絵に描いたようなふくれっ面になった。妹の言葉の3分の2ほどがきっと姉に奪われていて、アイスにしても同じことなのだ。

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