激しい音楽のススメ#03 mors principium est - finality
人間は歳を取ると素直に感動できなくなるというか、何を鑑賞してもつい自分の培ってきたモノサシで測り、その延長線でしかないと冷めた目で見てしまいます。私もある程度激しい音楽を聞いてきた身ですし、「まぁ有名所ならそれなりに知っているかな」と思っていました。いえ、自惚れていました。昨日、職場で聞いていたSpotifyで流れるまでは。
昨日、私はSpotifyを垂れ流していました。いえ、在宅勤務でヘッドホンをしながら仕事をしていたわけではありません。職場で職場のスマホを職場のwifiにつないで職場のアカウントのspotifyを聞いていました。職場のイヤホンで。お前の職場は大学の研究室かなにかなのかと言われそうですが、まぁそれは置いておいて。普段は適当に日本のbest hitsとかチルとか作業っぽいやつとかを流しています。あとケルトとかエロゲソングとかわかりやすくオタクなプレイリストも流したり。ただ残業も佳境に入ってくると気合を入れたくなって、デスラッシュのプレイリストを選択しました。心のレッドブル的な。で、まぁCarnal ForgeとかDimension Zeroとか、「ああ^~」となるようなバンドが続々流れて悦に入っていました。defleshedが無くて不満でしたが、defleshedが宇宙最強のデスラッシュバンドだという話は別の場でお話しましょう。その中で、本日の主題となる曲が流れたのです。驚きました。衝撃です。開始数秒で鳥肌が立ち、「そういえば音楽を聞いて鳥肌が立ったのなんて何年ぶりだろう」と自分の音楽遍歴が走馬灯のように頭をよぎりました。特に最近はメタルコア方面ばかりで、ガッツリメロデス系はあまり聞いていませんでした。しかし帰巣本能のようなもので、自分がハマるきっかけになったジャンルというものは好き嫌いを超越した特別な存在になるのでしょうね。「自分の源流はメロデスとデスラッシュだ」と改めて認識させてもらいました。毎回無駄に前置きが長いのでもはや「前置きが長くなりましたが」とも書かなくてよい気もしますが、前置きが長くなりました。本日のバンドはこちらです。
Mors Principium Est。
フィンランド出身ですが、SexMachinegunsもかくやというペースでメンバー交代を続けた結果、多国籍バンドとなったようです。自分もなにぶん昨日知ったばかりでして、あまりメタデータについては語れません。今はもう創設メンバーは居ない?とか?(要出典) 日本のwikipediaもわりと詳しく書かれていますから、結構メジャーなバンドのようです。曲がりなりにもメタル好きを自称する者としては、知らなかったことは恥ずかしい限りです。アルバムは2003年から2017年の間に6枚出しているようです。そしてタイムリーなのですが、どうやら2020年10月に新譜を発売するようです。これは期待だ!amazonでMors Principium Estと調べてもらえればわかりますが、すべてのアルバムがかなり高評価です。6枚出して全部受け入れられるのは、なかなか無いと思いますよ。なにせ路線を変えると「これじゃない」と言われ、同一路線でも「マンネリ」とか「bad religionalityが高い(全部同じに聞こえるの意)」とか言われます。いえ、後者は今自分が考えました。嘘でした。ただし、何でもそうですが特に音楽に関しては、他人の評価はあまり当てになりません。違う人間である以上、好みが完全に一致することは有り得ませんから。原宿を歩いているパンケーキ大好きなゆるふわ女子の口にラーメン二郎をぶち込んでも、きっと星2.5を付けるでしょう(食べログ基準)。次郎を神と讃えて、「麺、オレ好みのモチとしたもの。完飲」とか言ってる人もいるのに、です。何の話だ。そうだ、アルバムの評価の話でした。要は、「これだけ高評価を連発しているということは、少なくとも曲のクオリティについては折り紙付きだ」ということです。好み以前にクオリティが足りていない場合もインディーズ界隈ではありますから、そういう意味では安心です。これだけメンバーが目まぐるしく変わって、根幹が変わらないというのはすごいですね。あとは実際に自分の好みに合っているかどうかですが、今は大変恵まれています。youtubeに違法アップロードでないヤツが上がっていますので動画を開くだけです。
それでは参りましょう。
mors principium est - finality
00:00
もう開始3秒で好きかどうかわかりますよ。もしこの曲が好きになれるのなら、3秒以内に惚れます。なんだこのイントロ。嘘だろ。爆走のアグレッションと美麗な旋律が見事に調和していて、奇跡の産物と言わざるを得ない。思わず丁寧語も吹き飛びます。そんなところに脳のリソースを割いていられないくらいテンションぶち上げ略してテンアゲ。イエテボリリフと結婚したい。フィンランドだからイエテボリ関係ないし、もはやフィンランド人メンバーがいるのかもわかりませんが。
00:15
イントロの興奮も冷めやらぬ中、verse1が始まります。これ以上更にテンション上げろっていうのか?やめてくれ、もう120%かっこいいじゃないか。これ以上はテンションをあげられないよ。そんな思いは爆走リフに押し流されて江戸川を流れ、太平洋へ流入していきます。イントロで120%だったはずのテンションはここで150%へ。
00:30
一旦休憩です。ギタリスト的には鬼ダウンなので休憩よりむしろ疲れますが、聞き手にとってはとりあえず休憩です。でもここまで聞いてもうわかってしまいます。このバンドは自分の好みのど真ん中をぶち抜いてくる。だからきっと、この休憩は次の爆走を際立たせるための一休みにすぎない。
00:45
やっぱりまたverse1で爆走するじゃないですかーやだー。「来るよなー…これは来るよなー……来る……来る……ほらやっぱり来た!」というカタルシスを、初見で感じさせてくれる素晴らしさ。様式美的な型にははめるものの、型破りなかっこよさも備える。ああ、素晴らしき新世界。
01:00
ここでリフはイントロに戻り、しかしドラムはスネアを裏から表へ変えてくる!同じ爆走でも決して飽きさせないよ、というニクい心遣いです。ここまで裏打ちで爆走してきたところに、表打ちの力強さを見せられてしまっては降伏せざるを得ません。私が柴犬であれば、パーフェクトなちんちんポーズを披露したことでしょう。あれってメスでもちんちんって言うんでしょうか。ていうか誰だよちんちんなんて名付けたヤツは。
01:15
えっここでソロ?!ワウと速弾きとメロディで「ザ・ソロ」って感じです。わりと音は引っ込み目というか、バッキングギターのエッヂ立った音と比べると地味です。まぁソロ単体でハイパー素晴らしいわけではありません。あるべきところにあるべきソロが配置された感じです。でもこれだけパーフェクトにかっこいいこのバンドが、あっても無くても変わらない弁当のしなびたレタスのようなソロを、考えなく入れるのでしょうか?本当に?
02:00
ソロは次の爆走のための休憩に過ぎねェ!!!!
そうです。ソロはバッキングのためにあったのです。普通、ソロはギターの一番の見せ場です。その時だけはソロが主役です。しかしこれは違います。一番の主役はバッキングリフです。だからバッキングを一番引き立たせる構成になっているわけです。(私の主観と妄想であり真実ではありません)
02:15
ふぅ、休憩か…。これ以上はもう、心臓が持たないぞ。体はすでにテンアゲしすぎてVO2MAXを超え、無酸素運動になっています。メタルは筋トレ。しかしこれ以上は…。ブートキャンプのビリーだってもっと優しさがあったぞ。……あ、この流れは知っているぞ。これは。
02:30
死ぬ気で突っ込めェ!!!!(ProjectDのダブルエース並の感想)
休憩したら爆走する。それが北欧の不文律です。知ってた。知ってたけど、本当に容赦がない。北欧出身のバンドは冷たい感じというか、冷徹な美しさを感じるバンドが多いですが、これは曲展開すら冷徹です。だからこの先は、全部爆走です。止まるんじゃねぇぞと言わずとも止まらないです。03:15の曲終端まで、本当に全くスピードを緩めることなく走り続けます。そして何もなくスパっと終わるところに、美学を感じます。爆走に、余韻は要らない。
おわりに
爆走と爆走を引き立たせる休憩の2つだけで最初から最後まで突っ走った、素晴らしいトラックでした。はぁー神。この素晴らしいトラックのように、私も一息で本稿を書きました。感動はフレッシュなうちに出力しておいたほうが良いでしょう。今日は早く眠ろうと思っていましたが、只今の時刻は午前2時です。でもいいんです。ずっとこの素晴らしいトラックをリピートして、自分の思いの丈をぶちまけられたんですから。
最初から最後まで全部気持ちよかった(小並感)