自転車のコンポーネント交換
以下の記事でも少し触れた昨年購入した中古自転車のコンポーネントを9速のTiagra(R4500)から前世代の105(R5800)に自力換装してみました。
具体的に交換したコンポーネントは以下の12点です。
STIレバー(変速やブレーキのレバー)※中古
クランク(フロントギア+ペダルのアーム)※中古
前後両方のブレーキ ※中古
フロントディレイラー(フロントギアの変速装置)※中古
リアディレイラー(リアギアの変速装置)※中古
カセットスプロケット(リアギア)※中古
フロントディレイラーのバンドアダプター28.6mm(新品で千円ぐらい)
チェーン(新品で6千円ぐらい)
ペダル(新品で5千円ぐらい)
前後両方のホイール(新品で2万円ぐらい)
ブレーキとシフトのインナーケーブル(新品で全部で2千円ぐらい)
バーテープ(新品で千円ぐらい)
ほぼ全部ですね。
アウターケーブル類とBBだけ流用しました。
なお、フロントディレイラーのバンドアダプターは径の長さを間違える人が結構多いらしい(私も間違えた)ので、気をつけましょう。径の長さは「ノギスなどで測ると良い」という情報があったのですが、ノギスで測っても基準サイズを間違えた人(私)も存在します。一度フロントディレイラーを外してバンド部分の内側を見ればサイズが書いてあるので、面倒臭がらずに確認してから同じサイズのものを注文するのが無難です。
お店で換装すると工賃だけで3〜4万円ぐらい掛かるらしいです。
1〜6のコンポセットは新品だと8万円ぐらいするので、メルカリで中古(3万5千円)で買いました。
それでも中々お高い…
新品の自転車が買えるのでは?と錯覚する勢いです。
参考までにクロモリフレームで105装備の新品の自転車は23万円ぐらいらしいです。
予算を可能な限り(目安として高くても総コスト20万円未満に)抑えたかったので、必要な工具を調達して自力換装しました。既に持っている工具を含めて換装に必要だった工具は次の通りです。
色々なサイズの六角レンチやプラスドライバー(全部で2000円ぐらいだったかな)
シマノのディーラー向けマニュアルをじっくり読みながら作業する必要があります。
マニュアルには各ナット類の締め付けの強さがnm(ニュートンメートル)で記載されているので、その強さに設定できるトルクレンチを使わないと保全上の問題が発生するかもしれません。
マニュアルを読むのが基本ですが、イメージし難い部分はYouTubeの動画などを参考にするのも良いと思われます。以下のチャンネルがかなりわかり易かったかも。(今回私が交換する機材よりグレードが高い機材だったのですが共通しているところも結構多くあります)
工具の購入に掛かった費用は全部で2万円ぐらいですが、私はチェーンカッターを壊してしまったので、シマノ製より剛性の高いプロ用のものに交換したので+7千円ほど多く出費してしまいました…
チェーンはアンプルピンではなくミッシングリンクで取り付けますが、ミッシングリンクでも最初にチェーンの長さを合わせる時にチェーンカッターが必要になります。そして、チェーンカッターの台座が壊れていても一応カットは出来るのですが、位置が少しでもズレるとチェーンを駄目にしてしまいます。(1敗)
チェーンも結構高いので、チェーンカッターは多少値段が高くても頑丈な良い工具を使った方が良いと思われます。私が使っている11s用DuraAceのチェーンは1本6,000円ぐらいするので1ミスの損失額がかなりデカイです。
工具込みのトータルで掛かった費用は、
中古コンポセット→3.5万円
新品部品→3.5万円
工具一式 → 3万円ぐらい
ということで約10万円ぐらいです。
なんやかや、ショップで換装して貰うのと大差が無く、何なら労力分(丸3日ぐらい)だけマイナスです。工具が手元に残るので次以降の換装ではだいぶお安く&スピーディーにできると思いますが、あまりカジュアルに交換するものでもないので、「どうしても自分で換装したい」とか「ショップで購入した自転車ではないから断られた」というやんごとなき事情がある場合以外はショップに頼んだ方が良いです。
自転車本体(中古)が7万円ぐらいだったので、約17万円で2x11速の105の自転車が手に入ったと思えばそこそこお得感があります。しかし、中古比率高めだから新品23万円なら新品の方がお得では…ということを気にしてはいけません。(105も今回換装したのは中古のR5800なのに対してFELLEOなら新品のR7000ですね)
実のところコスト的なことは全然気にして無く、シンプルに機械弄りが好きなだけかもしれません。
Tiagra(Sora相当) vs 105 の性能差
性能差を一番実感できるのはブレーキキャリパーです。
制動力が別物。
予算を抑えつつ性能差を実感したければブレーキ交換だけで良いかもしれません。(中古のBR5800は5千円ぐらいで手に入り、インナーワイヤーを交換しても1万円でお釣りがきます)
もちろん、ディスクブレーキには敵わないと思いますが。
なお、ディスクブレーキは自力メンテが出来ないので導入してません。
そもそも、ディスクブレーキはフレームへの負荷の掛かり方の関係でフレームも交換する必要があり、私が好きな鉄(クロモリ)フレームだとディスク対応のものにすると車体が重くなり過ぎるから登りがキツくなるなど、制動力のメリット以上に走行性能が落ちるデメリットが大きいです。
以下の動画でも「鉄フレームだとディスクブレーキは微妙」と言及されていました。
参考までに、GIOSのAIRONEだとリムブレーキモデルの重量は9.8kg、ディスクブレーキモデルの重量は10.6kgなので800gほど重量が増加します。
フレームの構造を詳しく見てみると、ディスクブレーキモデルの場合下図Eの部分とSTACKが長くREACHが短くなっていることが分かります。(これでディスクブレーキの負荷を逃がせるということかな…知らんけど)
7kg弱のカーボンと比べるとそもそもリムブレーキのモデル(9.8kg)でも相当重いので「800gなんて誤差の内」と見ることもできますが、それでもディスクブレーキを導入する予定はありません。
ブレーキ以外の性能差
Tiagraと105のブレーキ以外の性能は私の体感ではほぼ同じです。
スプロケットのギア数が9速(18s)から11速(22s)に増えたので「ギアの選択肢が4段増えた」というメリットはありますが、その変化が走行性能に影響するほどのものかと問われると正直なところ微妙です。
1998年にダブルツールを達成した時のマルコパンターニ選手の自転車が2x9s(Bianchi MegaPro XL、コンポ: カンパニョーロレコード)なので、「どんなキツイ坂でもリア9速もあれば十分」(10s以上は飾り)という脳筋な考え方もあるかもしれません。
今回、私は自力換装をしたことでブレーキ性能以外にもメンテナンス性能の差について実感することができました。具体的にはFDとRDの調整がTiagraだとかなり絶妙ですが、105だと簡単にバチッと決まりました。
「調整が絶妙」ということは「調整が狂いやすい」とも言えると思われるので、Tiagraよりも105の方が調整が狂いにくいメリットがあるかもしれません。(Tiagraの調整が狂い出したのは2,000km程度走行したあたりで、まだ105に換装してから100kmぐらいしか走っていないので実際に狂いにくいかどうかはまだ検証中ですが)
YouTubeの整備動画で確認した限り、105より1ランク上のUltegraは更に簡単に調整できそうだったので、コンポはグレードが上がるほど調整難度が下がるということなのかもしれません。(UltegraとDuraAceの違いはよく分かりませんが…)
自転車の性能は年々進化していると錯覚しがちですが、以下のデータ(1890年以降のLBLの平均速度)を見る限り「目に見える劇的な変化」があったのは変速機構が登場した1930年代だけのようです。
1995年以降も少し上がってますが1930年代ほどの大きな変化ではなく、多分テクノロジー起因ではないと私は見ていますが、仮にそれがテクノロジー起因だったとしても「機材の走行性能は1995年で頭打ち」ということになり、1995年以降でアップデート余地があったものはブレーキやメンテナンス性などの走行性能とは直接的には関係ない部分に限られそうな気がします。
1995年以降の平均速度の変化がテクノロジー起因だとすると何か?と思い考察してみたところ、「主流のフレーム素材の変化」あたりかと思われます。1994年のツール・ド・フランスで優勝したミゲル・インドゥライン選手の自転車がクロモリ製でしたが、ツール・ド・フランスではそれが最後に優勝したクロモリ自転車のようで、以降のハイエンド自転車の主流素材はアルミやカーボンなどの軽い素材へシフトしていったようです。
余談ですが、1994年のミゲル・インドゥライン選手のクロモリ自転車が昨年オークションにかけられて7万5,000ユーロだとか。
少し古いですがクロモリは重いけど丈夫なのでまだ十分に乗れると思います。(絶対に乗らないとは思いますがw)
アルミがハイエンド自転車の素材として使われ始めたのは1990年代半ばあたりからで、カーボンは1980年代からありましたが「主流」になったのは2000年代以降とのことです。(※主流が変化することで平均値が上がるというのが私の想定です)
クロモリが幻想入りしたと考えられる1995年以降のハイエンドモデルは、先述したマルコ・パンターニ選手のBianchi MegaPro XL(※フレーム素材はアルミ)でカンパニョーロ・レコードの2x9sコンポあたりだと思われ、その辺りが(走行性能に限れば)機材の進化限界となります。
現行のシマノ製コンポであればSoraですね。Soraのアルミフレームなら10万円以下のお手頃価格で買えるものも結構あります。
GIOSだと2x9sのモデルはありませんが…
ちなみに、私がGIOSにした理由は鉄フレームに力を入れているためです。本当はBianchiが良かったのですが既に鉄フレームのモデルは作ってなくて、Fujiにしようとメルカリで中古車を眺めていたところ、サイズがジャストフィット(520)の鉄フレームがGIOSしか無かった程度の拘り…(そういえばBianchiと同じイタリア車ですね)
私が鉄フレーム(クロモリ)が好きな理由を挙げるとすれば、シンプルに見た目がアルミやカーボンの太いチューブよりもカッコイイことと丈夫で長持ちする耐久性能です。
アルミは金属疲労が蓄積されやすいため数年程度で乗り換える前提でなければ選択肢に入らず、カーボンは高額過ぎるから消去法で「クロモリ一択」となります。
アルミやカーボンの方が軽いでの山道での走行が楽になりそうではありますが。(静岡は東京と比べて山が多い)
ツール・ド・フランスの場合、21ステージでの獲得標高が50km〜55km程度で1ステージ平均の獲得標高は平均2500m前後なので、伊豆いち(獲得標高3000m以上)よりは若干緩いですがそれでも結構登りがキツイため、そういうガチ勢向けのコースを走るのであれば高額でもカーボン一択かと思われます。
私はそこまで過酷なコースを走る体力が無いエンジョイ勢なのでクロモリで十分。