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甘いブドウができるには

先日農家さんとお話しさせていただく機会に恵まれ、美味しくて、甘いブドウを栽培するためにたくさんの工程があることをお伺いさせていただきました。工程も大事だけれども条件もかなり大事とのことでした。

美味しいブドウが育つ条件には以下のようなものがあるそうです。

○雨が少なくて、乾燥している
○朝晩の寒暖差が大きい
○晴れが多く、日照時間が長い

「朝晩の寒暖差が大きい」状態はブドウに何をもたらすのか。

晴れて暖かい時にブドウは光合成をして糖を合成します。この糖は呼吸の際にも使われるので暖かくなると消費量も多くなります。ですが、日中光合成を行い糖をたくさん合成するので果実に甘みが蓄積されていきます。

夜になるとブドウは光合成ができず、呼吸のみを行うので、果実から糖が消費されていきます。ただ、気温が低いと呼吸が少なくなり、果実から消費される糖が抑えられるので果実の中には甘みが蓄積されていきます。

ブドウが甘くなるためには、
○昼間に暖かい場所でたくさん光合成をして糖を合成すること
○寒い夜を迎えて、呼吸を少なく抑えられれば糖が消費されるのを抑えることができその分蓄えることができる

この2点を満たすことが重要で、この2点を満たすことができれば果実の糖度が上がるとのことでした。
水捌けがよく、昼夜の寒暖差が10℃以上あると甘いブドウが収穫できるそうです。

植物にとっても寒さというのは逆境であると考えています。逆に昼間は光合成ができていて、生存には都合の良い状況です。
大切なのはどちらも経験すること。

ちなみに秋に起こる紅葉も寒暖差がないと綺麗に変化しないそうです。一見逆境に見えたり、思えるような環境も後に輝くためには大事な1ピースなんですね。

ブドウについてのお話しのあと、人間も同じだと農家さんが教えてくれました。
「良い時ばかりじゃ悪い時がきた時に立ち直れないし、悪い時ばかりじゃ不憫だね。」
「両方のバランスが大事」

農家さんの話は、説得力があって今の自分にとても響きました。

また、以前読んだ外山滋比古さんの「空気の研究」にブドウが甘くなるには寒暖差が必要だと書いてあったことを思い出し、感動しました。

思わぬ形で、裏が取れました。

「ぬるま湯のようなところでのんびり暮していては、人間も味が出てこない。湯の中にいたかと思うと、突如、氷の海に投げ込まれる。そうかと思うと、また、成功をも経験する。こういう波乱万丈の生き方をした人が人間としてのおもしろさを身につけるようになる。この落差は大きければ大きいほどよいのである。」

人としての味を出すには、「追い風」の時も「向かい風」の時も「順境」の時も、「逆境」時も経験することが糧になるのだと改めて感じさせていただきました。
大切なのはバランスと様々な経験をしていること。

辛い時には、「人間としての味が出るかもしれない」と耐えていこうと思えましたし、「酸いも甘いも知る」ことによって「味」「深み」のある人間を目指して動いていきたいと感じた日でした。


サポートしていただけたら、実験用具を買うか、実験用の薬品を買うかまだ決めていませんが、生徒さんたちと授業のために使いたいと考えています。