実験でわかった不幸になる人の特徴?最高を求めるほど幸せからは遠くなる。
誰だっていい仕事に就きたいですし、いい生活を送りたいですよね。
しかし、そういった最善を求める行動が、不幸の罠にはまってしまう原因かもしれません。
「いったいどういうこと?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
今回もとにした実験では、最善を求めれば求めるほど、現状に不満を持ちやすくなるという、なんとも不思議な結果となっています。(実際には良い結果を得ているにも関わらず満足できていない)
努力するほど満足できないとはおかしな話です。なぜこのような結果が出たのでしょうか?
この原因を探るためにも、実験の概要を紹介していきたいと思います。
参考にするのはバリー・シュワルツ、シーナ・イェンガーらの実験です。
結論から
よりよい仕事を探そうとする最大化人間(マキシマイザー)は、そこそこの仕事で満足する人間よりも、給料や条件のいい仕事にありつけていました。しかし、満足化人間(非マキシマイザー)よりも現在の仕事に対する満足度は低くなっていました。
実験概要
大学十一校で卒業後の就職先を決める大学四年生の学生たちを追跡調査しました。
学生たちに向けて、満足化人間と最大化人間にわけるアンケートに答えてもらいました。アンケートの内容は以下のものです。
「車でラジオを聴くときには、今聞いているものにそこそこ満足でも、他の曲でもっといいものがないかチェックする」
「買い物で、本当に気に入った服を見つけるのに苦労する」
これらの質問にYES/NOで答えてもらいました。
最大化人間の特徴としては、職探しでもあらゆる可能性を考慮し、徹底的に調べる傾向がありました。
それとは反対に満足化人間は「これで十分」というところで職探しをやめていました。
こうした両者の違いは明らかな差となって表れていました。
年の終わりに学生たちの職探しの結果がどうなったかを調べたところ、想像通り最大化人間は満足人間よりも高級取りの仕事についていました。
その給料の差も決して小さいものではなく、最大化人間は満足化人間よりも平均して7430ドルも多い初任給を獲得していました。
この値は満足化人間と比べて実に2割以上の値です。
もちろん、これは諸々の条件(成績や大学の専攻など)を調整したうえでの値です。
しかし、驚くのはここからでして、職探しを終えた学生たちに今の気持ちを聞いてみると意外な答えが返ってきたのです。
研究者のバリー・シュワルツはこう報告しています。
「最大化人間は、相対的にみて大成功しているのに、職探しの結果についての満足度が低かった。さらに、落胆、不安、フラストレーション、後悔の念を感じていた」
最大化人間は、金銭的メリットを獲得していたが、あまり現状に満足していなかったというのです。
あらゆる可能性を徹底的に調べるがゆえに、選択をした後に「もっといい就職口があったのではないか」と思い悩むそうです。
こういった研究結果は選択の多さが幸せにつながると考える自由主義思想にたいして、一石を投じているようにも感じますね。
まとめ
今回の実験では「最善を求めるほど不幸になる」をテーマにしてみました。
なんだか気がめいりそうになる結果でしたが、こういった実験からは様々な教訓が得られると私は思います。
結果から見るに、最大化人間と満足化人間は一長一短に見えますね。
最大化は、徹底的に調べて実行するため、実際にいい結果を得やすい。しかし、現状に不満や後悔の念を抱きやすくなる。
満足化は、自分が十分だと思うところでやめてしまうため、最大化と比べるといい結果は得にくい。しかし、現状への満足度は高くなる。
こういった両者のメリット、デメリットを加味すれば、どちらが一方が正しいとは言えないように思えますね。
わたしがここで提案したいのは「思考の使い分け」です。
目標を達成するまでは最大化人間のように徹底的に行い、ある程度の結果が得られたら満足化人間のように現状を満喫する。
こうすることで、良い結果を得つつ、現状に不満を持ちにくくなるとわたしは思います。
考えるだけなら無料ですから、試してみても損は無いと思いますよ。
このあたりで記事も終わりにしたいと思います。
この記事が、みなさんのお役に立てれば幸いです。
それではまた会いましょう。
参考文献
・Doing Better but Feeling Worse: Looking for the “Best” Job Undermines Satisfaction.SS Iyengar, RE Wells, B Schwartz - Psychological Science, 2006 -journals.sagepu
・Maximizing versus satisficing: Happiness is a matter of choice.
Schwartz, Barry Ward, Andrew Monterosso, John Lyubomirsky, Sonja White, Katherine Lehman, Darrin R.
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