ブリグズビー・ベアは、そういうお話だった。
ブリグズビー・ベアみながら、いろんな映画のことを思い出しました。
最初、
『ルーム』(レニー・エイブラハムソン監督/2015)みたいな、何年間も監禁されていて外の世界を知らない主人公が、戸惑いながらも世界の大きさと美しさに包まれていく話かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。
それから、
『エド・ウッド』(ティム・バートン監督/1994)みたいに、だめな映画監督が映画を作りたい一心で、泥棒とかいろいろやらかしながらだめな仲間たちとだめな映画をつくるかわいい話かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。
あと、
『ギャラクシー・クエスト』(ディーン・パリソット監督/1999)みたいに、フィクションと真実の区別がつかなくなったファンが、現実の出演者の姿に幻滅しつつも結局フィクションの方を信じて、やらかした出演者と再び関係を築くっていう話かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。
さらに、
『アメリカの夜』(フランソワ・トリュフォー監督/1973)みたいに、映画つくるってほんっとうにほんっとうにほんっとうに大変だけど、映画が完成すること自体が癒しなんだっていう話かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。
おまけに、
『ぼくと魔法の言葉たち』(ドキュメンタリー/2016)みたいに、キャラクターに生命が吹き込まれ心に働きかけてくれることで、人が困難を乗り越える力になるって話かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。
最後は、
『ライフ・イズ・ビューティフル』(ロベルト・ベニーニ監督/1997)みたいに、つくり話がひとの魂を救うこともあるんだっていう、
映画が、もういちど好きになるような映画
かなと思ったんです…そしたらそういうお話だった。