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自民党政治の二つの闇 ー 岸信介・暴力団・旧統一教会

 自民党にはふたつの闇がありました。そんなふたつの闇が2022年7月8日に至るまでどのような経緯をたどったかについて簡単に整理します。ここでの”闇”は、何かの目的や利益のために大規模で継続的な違法行為や明らかな社会問題をみてみぬふりをすること、くらいの意味で使います。

暴力団を組織:

 いわゆる 【自民党政治の闇】 で代表的なものが暴力団/右翼との関係です。浜田幸一なんて自他ともに認めるヤクザでしたが衆議院議員当選7回です。

 元はといえば1960年前後、日米安全保障条約反対運動~各種共産主義勢力に対する実働部隊として、右翼が多数の暴力団を組織化しました。具体的な組織の例は条約批准後1960年に訪日予定だったアイゼンハワー大統領警備のための アイク歓迎実行委員会。当時の警視庁の人員は貧弱で首相岸信介は警備体制に不安を抱き、任侠団体に協力を要請。実行したのは自民党の衆議院議員橋本登美三郎(後に建設大臣他)で彼が委員長に就任。暴力団を動員した警備計画も策定されたものの、結局アイゼンハワー来日は中止に。安保反対で連日10万人規模のデモが発生しており、事前来日した大統領報道官がデモ隊に囲まれて立ち往生し、米海兵隊が救出するなどの事件も発生。危険性が高いという判断でした。この辺から自民党は暴力団と関係をもち、同時に組織犯罪の取り締まりは進みませんでした。

 ところが時は流れて、1990年冷戦終結。自民党はさくっと手のひらをかえします。1991年には暴対法成立。1996年に組織犯罪処罰法…とどんどん厳しくなって、今や反社は銀行口座も作らせてもらえません。長い間 市民生活を脅かしていた反社勢力は冷戦終結をきっかけに段階的に締めつけられてきて、今や青息吐息のようです。

統一教会:

 一方で70年安保前後、岸信介~安倍晋太郎はおおっぴらに国際勝共連合に協力して今度は統一教会のさまざまな問題をを放置。暴力団に加えて統一教会が闇勢力デビューです。つーかまた岸信介の仕業。
ただ大きな違いがありました。同じ闇の癖に、冷戦が終結しても信仰の自由で守られた彼らは、身ぐるみはがされた信者(の家族)などから時々訴えられたり、フロント企業の詐欺事業で逮捕者を時々出す程度で勢力を維持し続けていました…

 とはいえ冷戦が終結してから15年以上経過しており、安倍晋三氏が首相になったタイミングでは勝共連合の積極的利用価値はありませんでした。そればかりか文鮮明は北朝鮮で金儲けを開始していたので、勝共連合じゃなくて商共連合。ただ、おそらく日本で政治資金の透明化が進んだせいで、各種の利権から切り離された政治家の困窮化が進んでいた。そこで現金の代わりに秘書含む各種ボランティアを出してくれたり、一応票も集めてくれる統一教会が政界に浸透していきました…

 こうして暴力団は人権侵害レベルで規制されている一方、冷戦終結後も統一教会は非常にユニークな方法で勢力を維持し日本の政治に浸透して来ました。
①信仰の自由を盾に規制を回避し極端な経済活動や極端な献金誘導をロンダリングする 
②極端な行為で集めた資金を原資にしかつ信者を選挙ボランティアなどで派遣し政治家と関係をもち、極端な活動を規制されないようにする 
③コントロールが成功した日本での極端な集金活動を財源にしつつ、米国での活動は一応合法的なものに留めカルト臭を脱臭する 
④脱臭して日本の政治家が統一教会との関係をもつことの罪悪感を軽減しロンダリングを継続する
…統一教会は以上の①~④のプロセスを循環させているのです。
暴力団はもちろん他の宗教団体と比較しても極端すぎて真似できないような、統一教会ならではのモデルで存続し続けてきたということになります。

闇の末端は何を標的にしたのか:

 統一教会の循環プロセスは、極端な行為を継続的に実行するためのモデルなので歪みが生じ縁辺や末端に不幸になる人が大勢出ます。そんな末端で統一教会に家族を壊され自身も追い詰められた犯人は、最初教団幹部を狙うが断念。仮に断念せず事件を起こしていたとしたら、信者の家族による教団幹部の暗殺なんて、カルトの周辺犯罪として矮小化されて終わりだったはずでした。 
 ところが消去法とはいえ安倍元首相を標的にすることで、他の誰を襲うよりも効果的に日本全部を巻き込んで統一教会に大打撃を与えることになりました。首相経験者でかつ統一教会との関係があると報道されたことのある政治家なら、菅儀偉でも麻生太郎でも小泉純一郎でも、お好みで森喜朗でも鳩山由紀夫でも良かったわけです。
 ただ結局、安倍元首相は親子孫三代にわたる関係が比較問題として突出していました。
    また安倍氏個人との関係も比較問題で希薄と考えるのが妥当かどうか?みんな大好き森友学園では昭恵夫人をとっかかりに森友側に詰め寄られていた様子ですが、晋三氏本人との関係は希薄。さらに安倍晋三氏は首相在任中の靖国神社参拝は色々あって中止。一方で統一教会の関連団体には満面の笑みでメッセージ送付。挙句、安倍氏が国会議員にまで育てあげた元秘書井上義行氏のことを統一教会は信徒呼ばわりしたとのこと。
 祖父・父を切り離して安倍晋三氏個人に限定しても関係の濃淡は、
  森友学園  < 靖国神社 < 統一教会(旧統一教会)
くらいの並び順になってしまいます。犯人にはそれが許せないほど深い関係にみえた。そしていよいよ犯人には関係ないことかもしれませんが、彼はたまたま自民党最大派閥の長として、首相退任後も党を指導する立場にあった。

 犯人の尻馬にのって統一教会を批判するのはテロ行為の肯定なので絶対に許されないと思います。ただ普通に構造を説明しようとするとこうなちゃう。どうもすみませんでした。

【追記 ありふれた思い出】
 学生の頃、お調子者のクラスメートが”論破してやる!”と話を聞きに行ってあっさり入信してしまったことがありました。
 また、当時は受験番号をベニヤ板の掲示板に掲示する方式だった入試合格発表の現場で、原理研が合格者を勧誘しているのをまたま見かけたので、横から割って入って合格者を逃がしてあげたこともありました。その時は原理研の人に凄い顔で睨まれて、消されるんじゃないかと思って後悔した… とか色々思い出してなかなか冷静になれない話題です。