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三匹が行くコロンビアの旅(12)

<20XX年2月16日>
 朝4時に起床。メールチェックなど、少々デスクワーク。
 6時半、当初の予定では朝6時にサンタンデールの教会へ向けてみなで出発するはずだったのだが、昨日La Granja Tenjoで遊び疲れたのか、ルピタがぐっすり眠っていて起こすのが忍びない。
 ということで、教会はアレクサ、ドン・ネストル、ドニャ・クラウディアの3人のみで行くことになり、アナは私とルピタと共に残り、昼ごろに祖父母宅で合流する予定で、3人はタクシーで出発した。
 朝食はアナが用意してくれた。ルピタの着替えを済ませ、またPCをいじっているうちにフリエータが到着。
 10時ごろ、フリエータの運転で、アナ、ルピタと共に祖父母宅へ出発。1時間ほどで到着し、三々五々集まり始めた親戚一同に交じってヘラティナおばのローラ手作りのゼリーなどを食べていると、アレクサ達も到着。マリーとクリスの夫婦も例のヒュンダイに乗って教会から一緒に来て、彼らは空港での見送りはできないということなので、ここでお別れの挨拶。今回の旅行ではあまり一緒にいられなかったが、前回はモネタリオ(コインショップ)にも付き合ってくれた。あっという間にお別れの時が来てしまった感じがある。

 ドン・ネストル、アナと一緒に徒歩で近所の店へエンパナーダを買いに行く。途中、ホットドッグ屋のようなリヤカーを引いた路上売りの男がいて、小さな粒のイモを売り歩いているらしいのだが、呼び込みのために流しているテープの声が衝撃的であった。なんと言うか、叫ぶように、怒鳴るように、わめき散らしているような感じなのだ。言葉では説明しにくい。例えるなら、魚市場の競りの声とでも言うべきか。ひと昔前の八百屋が「らっしゃい!らっしゃい!」をダミ声で怒鳴っていたようなものか。スペイン語なので何と言っているのかわからないということもあるが、とにかく激しい。あとでアレクサに聞いてみたところ、このあたりではごく普通の光景らしい。「Cheap Potato! Cheap Potato! Cheap Potato!」みたいなことを連呼しているようだ(リズムもそんな感じだ)。

 エンパナーダを買って戻ると、ルピタがトイレに行きたいという。実はそのトイレが問題だ。ルピタに問題があるのではなく、トイレ自体に問題がある。というのは、ここ祖父母宅のトイレは、1階が濃紺の便器、2階が濃緑色の便器というかなり個性的なカラーリングで、子どもたちが怖がってトイレに入りたがらないという、親戚の間でも評判のトイレなのだ。ではルピタはどうかというと・・・怖がっている。怖がって、便器のあるバスルームにも入りたがらない。
 しかしおしっこがしたいのは間違いないので、根競べが始まる。コンクラーベだ。ルピタを連れてバスルームに入り、おしっこをするとルピタが自分で言うまで、何度も質問して、やり取りして、最後はようやく自分でおしっこするところまでたどり着く。

 昼過ぎ、親戚一同との別れを済ませ、祖父母宅を出発。ドニャ・クラウディアの運転で、ドン・ネストル、アレクサ、ルピタと私が乗り込む。アナとフリエータはタクシーを使うことになった。

 午後1時半、フリエータ宅に到着。アナとフリエータはすでに到着していた。お手伝いのルーシアがお昼を用意してくれていた。チャーハン(という言い方はいかにも日本的だが)、パクチー入りのコンソメスープ、サラダだ。食後のコーヒーを楽しんでいると、外は雨。屋上のテラスで遊ぶのは無理そうだった。

 午後3時半、フリエータの運転で、アナ、アレクサ、ルピタと私が乗り込んで近くのスーパーマーケットEXITOへ向かう。昨日、時間切れでやり残したお土産その他の買い出しだ。ドン・ネストルとドニャ・クラウディアは徒歩で帰宅した(フリエータはドン・ネストル宅と徒歩で行き来できる距離に居を定めたわけだ)。

 あまり買い込むつもりもなかったのだが、コーヒーやチョコ、ポテトチップスなど、いろいろ購入したら最終的になかなかの量になった(たいていそういう結果になる)。
 帰路、気になっていた天然石の店に寄ってもらい、ペリドットを置いているか聞いてみる。ペリドットを扱っているか否かでその店の質やレベルを判定したくなるのだ。この店では扱っていたが、小粒のものが日本円で1000円くらい。高くはないが、安くもない。買いたいと思う金額ではなかったのでパスした。先日店先に置いてあるのを見かけて気になっていたクリスタルスカルは2個あって、値段を聞くとどちらも日本円で1万円越え。5000円なら買ってもいいが、結局手ぶらで店を後にした。
 つまるところ、天然石は日本で買うのもコロンビアで買うのも、金額的には大差ないわけだ。そして、この国の給与水準を考えるなら、むしろ贅沢品と言える。コロンビアで買ったペリドット、という意味ではある種の箔はつくが、「コロンビアで買った」と枕詞を付けるのであれば、断然エメラルドのほうがいいだろう。コロンビアで買うなら(そこそこのカネを使うのなら)エメラルド一択になるゆえんか。

 午後5時半、帰宅。
 スーツケースのパッキングを開始する。お土産はあまり買うつもりがないので帰りは空になるスーツケースもあるんじゃないかなどと思っていたが、とんでもない。なんだかんだですべてのスーツケースをフル活用している。
 ボゴタ滞在最後の夕食は、到着初日と一緒でピザ「コロンビアーナ」と「ハワイアナ」。明朝の出発にはディエゴは来れないということなので、この夕食の席がディエゴとのお別れの場となる。

 夜、ルピタの幼稚園に電話。明日の説明会に行けないということをまだ伝えていなかったのだ。来週のいずれかの日に改めるということで電話を切る。まさかコロンビアから架電しているとは思うまい、等としょうもないことを考える。新聞の配達を止めてもらうためマイアミから新聞配達所に電話したときは国番号+81を付けなくてもつながったのだが、ボゴタからは国番号を付けないとつながらなかった。アメリカから日本にかける時なら要らないのか…などと思う。

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