千葉県新人ハンター入門セミナー

 「えっ?もう3年も前の話なの?」と自分自身が驚いてしまうくらい、もうそんなに前の話かと思う。千葉県新人ハンター入門セミナーなるものに参加したときのことである。

 ハンターの高齢化が進む中、有害鳥獣の担い手となる若手を育成するために、狩猟に興味のある若者や女性にきっかけを提供する、という趣旨で千葉県猟友会の協力のもと、千葉県が主催したのがこの「新人ハンター入門セミナー」である。

 もともと狩猟やハンティングには興味があるので、こうしたイベントには参加してみたいと以前から思っていたのだが、初めて開催されたときにも応募したものの抽選で外れたため参加できなかった。今回は、申し込んだことあるけど参加できなかったというヒトとか、まだ参加したことが無いということが応募条件になっていた。

 開始時間の朝10時に間に合うよう自宅を出発し、9時半くらいには会場である千葉県射撃場に到着した。射撃場は、清澄養老ラインを高滝湖方面に少し入ったところにある。養老渓谷方面へドライブに向かうとき走ったことのあるコースだ。

 管理棟の2階で受付を済ませてそのまま研修室に入ると、既にかなり多数の人が集まっていた。セミナー参加者は100名くらいいるようだ。チバテレビと思われるマスコミも来ている。

 午前中は座学である。

 ガイダンスや今回のセミナーを手伝ってくれるベテラン及び若手ハンター―の紹介、狩猟のルールや免許取得に関する手続き的なことの他、写真や動画を使って狩猟の様子を見たり、イノシシの解体の仕方を見せてもらった。

 イノシシ汁の試食を兼ねた昼休みを挟み、午後は各種ワークショップが用意されており、具体的には実射見学、網・わなの展示や実演、ビームライフルの体験などがあった。

 弁当を食べてのんびりしていたところ、その研修室は次の準備があるというので、半ば追い出されるような形で外に出ることになってしまい、とりあえず散歩がてら実射見学場まで歩いていくことにした。

 実射見学では、実際の銃猟に使用する空気銃・猟銃・ライフル銃の3種類を、ベテランハンター数人が1発ずつ撃つところを見せてくれた。空気銃は以前某国で撃ったことがあるエアライフルと似ている感じで、猟銃のほうはいわゆる12ゲージの二連式ショットガン、ライフル銃は7.62mm弾を使用しているようだった。

 ライフルは、射撃時の空気圧から察するにやはり7.62mmだなと思っていたところ、そばにいた若い参加者の男が、実弾射撃の目の当たりにして興奮してしまったのか、弾薬や装薬に関してややエキセントリックな質問を連発。「グアムへ行った時に撃った感じでは…」を2回くらい言っている。インストラクター役のベテランハンターも苦笑気味だ。少なくとも彼の質問から、ライフルは308Win.のファクトリー弾を使っていることが分かった。

 次に向かったのはビームライフルの体験射撃とわなの展示が行われている建物だ。箱わなのミニチュアを使って構造を説明してくれている。どうやらわな猟の実際の免許試験でもこのミニチュアが使われるようだ。一度獲物を捕らえた箱わなは、あちこちのパーツが痛むので一つ一つ交換する必要があるらしい。思っていたよりも手間と部品が必要なようだ。くくりわなや網の展示もあった。くくりや網は銃のような危険を伴わないので、県内のかなり広いエリアで認められている猟であるらしい。

 部屋の奥ではビームライフルの体験が行われていて、私の直前に体験射撃をしていた若い女性2名のうち1名は、ライフルを構えることが上手くできないらしく、的を狙うことすら満足にできない模様。

 他の参加者の撃ち方を拝見すると、銃身を置いておける台があるにもかかわらず、やはり皆ハンドガードに手を添えている。バッグでも枕でも、銃身を何かに載せて的を狙えるなら、左手はハンドガードに添える必要は無く、ストックの下に添えて狙いを定める際の上下の微調整に使うほうがいい。しかし、さっきの実射の時のベテランハンターはどこに手を置いていたかな…。

 エイムしてフロントサイトの下にあるボタンを押し、引き金を絞る、というのがビームライフルの手順だということを知った。これを5回繰り返す。

 その後、駐車場のそばに設置されている実物の箱わなを見て、檻に入っているイノシシの子供を覗いてみる。千葉県では、特に南部では、夜になると家のそばまでイノシシが近づいてくる地域もあるそうだ。セミナーに講師として参加していた若手ハンターの一人は、夜になると出てくるイノシシを食べてやりたくなって狩猟に参加するようになったと冗談交じりに語っていたことを思い出した。

 最後は、ベテランや若手ハンターたちとのフリートークということで、午前中に座学で利用した研修室を会場に、思い思いに経験談を尋ねたり手続き的な相談なども自由に受け付けてもらえる時間になったが、およそこういうことにあまり乗り気になれない私はほとんど参加しない。そろそろいいかなという頃合いを見計らって、係の人に声を掛けて早びけさせてもらった。

 ちなみに、午前中のイントロダクションから通して、ハンターかつまた氏がこのイベントの中心になっているように感じた。ハンターかつまた氏は県職員の若手女性ハンターらしい。今回のイベントで集まってくれたハンターたちの中にはかつまた氏が個人的にお願いして来てもらった人もいるようで、猟友会などの狩猟の現場と役所をつなぐパイプ役のような感じだ。プロジェクト・マネージャーとでも言うのか。狩猟を始めるきっかけとなった話なども、狩猟に興味はあるけどどこから始めてよいのかわからないといった初心者には非常に参考となったに違いない。

 さて、このイベントに参加した後はどうするか。

 ハンターかつまた氏の場合は猟銃の所持許可の手続きから始めて特に問題なく進んだようだが、女性ならまだしも、申請者が若い男だとそうはいかないのではないか。いきなり警察署で相談しても、「なぜ急に銃を持ちたくなったんですか?」などと詰問されるような気がする。「なぜ?」「どうして?」「急に?」「いや別に、急ではないんですけどね」云々のやり取りが容易に想像される…。とにかく取らせたくないという感じなのでは?

 千葉ではかなり獣害があるようなので、事情は違うのかもしれない。猟友会に参加したり、わな猟から始めたりするのもいいだろう。今回の参加者を見た感じ、とりあえず猟銃、という感じの人が多かった気もするが…。

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