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グラビアはあまり見ないほうが良い理由 「コントラスト効果」

「認知バイア」スマガジン

認知バイアスとは、人間が進化の過程で、生き残るために獲得した工夫のバグ。不合理な行動を引き起こすもの。さが。このマガジンでまとめています。


ニュートラルなグレーは明るいのか?暗いのか?

ニュートラルなグレーの明るさを評価するとき、同時や直前にダークグレーを見せられると「明るいグレー」という評価をします。一方でライトグレーを同時や直前に提示されるとニュートラルなグレーは、「ちょっと暗いグレー」に思えてきます。このように比較対象によって評価が変化することを「コントラスト効果」といいます


コントラスト効果

コントラスト効果(Contrast effect)とは

比較対象によって評価が変わる傾向

です。人は何かを評価するとき他を参照したがるのですが、直近のものを使って比較すると、比較に使った対象に評価が大きく影響を受けてしまいます。1947年の心理学のハリー・ヘルソン(Harry Helson)博士の理論が嚆矢となった認知バイアスです。

視覚的なコントラスト効果

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Image: Hãy để những người bạn siêu mẫu ở nhà – Hiệu ứng Tương phản

コントラスト効果とはなにか知った上でもなお、疑いの目で観てしまいますが、お察しの通り、オレンジの円は、左右どちらも同じ大きさです。

もう一つの例は、文章になりますが、3つの桶を用意します。真ん中に常温の水が入った桶、右に火傷するほどではないが熱いお湯、左には、冷たい水。左右の手をそれぞれ熱いお湯と冷たい水に入れたあとに真ん中の桶に両手を入れると同じ温度なのに、右手は冷たく、左手は熱く感じます

これらがコントラスト効果です。価格設定にもよく利用されます。松竹梅と3ランクの価格設定をするとほとんど人が真ん中の商品を選びます。これもコントラスト効果の応用です。このコントラスト効果は購買などの行動のみならず、恋愛や結婚生活にも影響を及ぼします。

起源

コントラスト効果は、17世紀の哲学者ジョン・ロックが、ぬるま湯を触った手が、そのまえに熱いお湯に浸かっていたか、冷たい水に浸かっていたかによって、熱く感じたり冷たく感じたりすることを観察したことに端を発しています(※2)。


グラビアアイドル、モデルばかり見ていると男性はパートナーへの献身度が下がる

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美人ばかり観続けると男性は、男性はパートナーへの献身度が下がります。パートナーがいない場合であれば、日常生活(つまりリアルライフ)のなかで出会う女性に対しての評価が下がります。「そんなことないよー!」と世の男性たちは思いたくなりますが、先のオレンジの円はどう頑張っても同じ大きさに見えようにわたしたちはバリバリにコントラスト効果の餌食になっています。あまり自分を信じないのが得策です。論拠は、アリゾナ州立大学のダグラス・ケンリック(Douglas T. Kenrick)博士の研究と著書。

彼の研究によると美人を多く見た後では、パートナーへの「どこまで交際に熱心か」の度合いが下がりました。ちょっと追記しておくと美人で献身的で独り身の女性がより効果的だったようです。しかしこれは男性の場合のみでした。女性は、イケメンを多く見た後でも、パートナーの献身度は変わりませんでした

ということは、男は浮気性で美女にだらしなくて、女性は誠実で男性にくらべてフラフラしないものだ!と言えるのか?……そうではありませんでした

男性にとってのグラビアアイドルと同じ効果が女性にとっての○○な男

女性はイケメンやいい体をした男性を観ても、パートナーへの献身度をそれほど大きく変えませんでした。男性にとっての美女に相当する、女性にとっての男性のキャラクターが存在していました。それは

上昇思考の高い、リーダーシップがありそうな男性

こういう男性を多く見ると女性は、パートナーへの献身度を下げました。つまり出世しそうな、またはしている男性は、女性にとって「より求めたい」キャラクターであるということです。女性が誠実、男性が浮気性というわけでもなく(ある時期、ある条件では「そのとおり」と言えるんですけど)、女性と男性では、相手に求めるものが違う。つまり生存戦略が異なるわけです。

自己評価にも影響する

パートナーへの献身度のみならず、自己評価にも影響を及ぼします。「他者からどう思われているか」という認識に影響を及ぼします。具体的にはどういうこことかというと魅力的な同性ばかりみている女性は、自分の結婚できる見通しを下げ、社会的に優位な同性ばかりみている男性も自分が結婚の相手としてふさわしくないと感じてしまうということです。しかし比較して妬む、またはその地位を目指す、というのは人の本来もっている性(さが)でもあります。その性(さが)は自然なんですが、現代のわたしたちを取り巻く環境のほうが不自然なんです。

SNSがどうしてわたしたちを不幸にするのか

SNS、グラビアアイドル、ゴシップ誌、タレント、そしておそらく一部のアニメ、ポルノが不自然な環境です。SNSを観れば見るほど人は不幸になるのは、多くの人は、自分たちの生活の華やかな部分を切り取ってSNSにアップします。そんなものばかり観ているとコントラスト効果で自分の生活や自分自身の評価が下がってしまいます。

対策

(1)コントラスト効果を知る
(2)SNSやメディア(他人のマウンティング)に触れる時間をへらす
(3)基準点を設ける
(4)グラビアやAVをみない

応用

売りのものがよく見える対象を設定して、事前に、または同時に触れさせる。

価格、割引、捨て商品・サービスを設定する。おとり効果に近い。


オススメの本

進化心理学は、率直な心理学で、ちょっといいにくような部分にまで容赦なく切り込んでておもしろいです。この本は、翻訳者が巻末で、本書を少し批判しているところが変わっています。


関連した認知バイアス

おとり効果(Decoy effect)

実際には選ばれる事のない選択肢を混入させる事によって、意志決定が変わる効果。


区別バイアス(Distinction bias)

二つ選択肢を別の機会に評価すると似ていると感じるが、同時に評価すると似ていないと感じる傾向。


認知バイアス一覧


参照

※1:Contrast effect

※2:Contrast in judgments of mental health

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