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ランダムなかに無い意味を見つけてしまう 「クラスター錯覚」

認知バイアスとは

認知バイアスとは、進化の過程で生まれた人間の不合理な行動や判断です。認知バイアス大全は、認知バイアスを集めたマガジンです。


この図の中に点の塊や筋が有りませんか?

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CaitlinJo - 投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27249546による

こちらをみると正方形の区画の中に、10,000個の点がランダムに打たれていくプロセスをみることができます。見ているとときどき点の塊(クラスター)や線が見えてきます。ランダムな情報にもかかわらず、ある一定の塊や傾向を見出すような線(ストリーク)を見つけてしまいます。これをクラスター錯覚と言います。


クラスター錯覚

クラスター錯覚(Clustering illusion)とは

ランダムな現象に一定の法則があるように錯覚する傾向

です。サンプル数の少ない場合のランダム分布において、偶然ながら必然的に生じるストリーク(線)やクラスター(塊)を、ランダムなものではなく、意味があるものと間違って判断することです。データのバラつきの程度について、人は過小評価しがちなために生まれる認知バイアスです

これは、顔がないところに顔を見つけてしまうパレイドリア(Pareidolia)やアポフェニア(apophenia)に近い錯覚です。ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーらによれば、このクラスター錯覚は、代表性ヒューリスティックが原因とのこと。

代表性ヒューリスティック

あるものの代表的な特徴と合致しているならば、それに近いだろうと直感的に判断すること。


錯覚はわかっていても、そう見えてしまう

錯覚というのは、わかっていてもそう見えてしまうものです。たとえば、カフェウォール錯視。

カフェウォール錯視

平行線の両側に等間隔に同じ色の正方形を描く(上下互い違いになるようにする)。すると、平行なはずの線分が歪んで見えます。その線分を灰色にしたものをカフェウォール錯視と言います。

対策

知っておくこと

研究者であるなら、クラスター錯覚、バークソンのパラドックスなど、データを歪んで認知してしまう人間のバイアスを差し引くようなチェック項目を設けることがこれらのバイアスから間違った結論を出すことを避ける対策となるでしょう。研究者じゃない場合では、意味があるように見えて実は無い、ということがあるということを知るだけで、迷信やジンクス、狙いをもったスピリチュアルな甘言から思考や判断を守ることができる可能性が高まるでしょう。たとえば、パレイドリアを知るだけで、変な迷信に判断を歪められることがなくなります。


こちらの岩をみると「人の顔」がみえるのではないでしょうか。これは、普段からよく知ったパターンを本来そこに存在しないにもかかわらず心に思い浮かべるパレイドリア現象パレイドリア効果というものです。オカルトや迷信によく使われます。

応用

クラスター錯覚を応用する場合、「本来そこに意味がないのに意味があるように見せる」ということになります。本当にランダムな出現から意図的に意味があるように見せる応用はちょっと難しそうです。

関連した認知バイアス

パレイドリア(Pareidolia)無作為あるいは無意味な情報の中から、普段からよく知ったパターンを思い浮かべる現象。


代表性ヒューリスティック

あるものの代表的な特徴と合致しているならば、それに近いだろうと直感的に判断すること


認知バイアス一覧

認知バイアスは200以上あるので、こちらの記事で一覧にしています。



参照

※1:Clustering illusion

※2:クラスター錯覚




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