雨男や晴れ女って言っちゃうバカの理由 「コントロール幻想」
認知バイアス大全マガジン
人間が不合理な行動をしてしまう理由のひとつは認知バイアスというもの。これは、人間が進化の過程で獲得した生き抜くための工夫の“バグ部分”。この236ある認知バイアスを紹介するのが「認知バイアス大全」マガジンです。
雨男?晴れ女?
わたしたちは宗教より科学を頼りに生きている現代社会に生きてなお、ちょっとした迷信がかったことをよくまあまあ信じていることがあります。たとえば雨男とか晴れ女など。よーく考えたら、1個人が天気を左右できたら、マーベルの映画に出られるほどの超能力です。なのに「やっぱお前は雨男だなぁ」とか「ね?わたし晴れ女でしょ」という言葉を冗談以上の信念を込めて口にしたりします。これは「コントロール幻想」というもので、認知バイアスのひとつです。ジンクスもこのコントロール幻想のひとつです。
コントロール幻想
コントロール幻想 (Illusion of control)とは
認知の歪みのひとつ「個人化(persionalization)」もこのコントロール幻想に相当します。個人化とは「自分がコントロールできないような結果が起こった時、それを自分の個人的責任として帰属させること」です。映画や漫画でよくある「あのときわたしが『死んじゃえ!』なんて言っちゃったから」というセリフは個人化です。
コントロール幻想の生まれ方
コントロール幻想は4つの要因が働いて形成されます。
(1)選択機会
自分で選ぶと、制御・コントロールできると感じます。ロト6など自分で数字を選ぶ宝くじなどがこれが該当します。自分で数字を選んでも、予め番号を振られた宝くじを買おうと当たる確率は同じです。
(2)関与
自ら関与することで、コントロールできると感じます。与えられた宝くじより自分で店を選んで買った宝くじのほうが当たる気がします。エレン・ラガー(Ellen Langer )の研究によると、人々には高い数字が必要なときは強く投げ、小さい数字が必要なときは柔らかく投げる傾向がありました。
(3)親近性
自分の近くにあるもののほうが、コントロールできると感じます。
(4)競争
「競争」とは、能力が高かったり、よく考えることでコントロールできると感じることです。自分が研究しているほど宝くじに当たる確率が高いと感じます。
対策
ものごとのは、関与できる部分とできない部分があります。たとえば、人間の幸福の5割は遺伝子によってきまります。しかし2割は行動によって形成できます。なれば、この2割に注力すればいい。コントロールできないものには関与せず、できるものに関与すると余計な迷信に踊らされずにすみます。
たとえば「すべての人に好かれたい」という気持ちがありますが、これ不可能なんですよね。それを諦めるととたんに楽になります。諦めたほうが良いのは、それはコントロール外のものだから。このようにコントロール可能かどうかで世界を捉えること、これがコントロール幻想という知識武器の使い方です。
応用
コントロール幻想は、ポジティブな応用が可能です。人間は、コントロールできていると感じると幸福度があがるんです。植物の世話を自分でした老人と他者がした老人のグループを比較したところ、自分で世話をした老人たちのほうが死亡率が半分という結果が出ました(※1)。わたしたちは、自分が何かをコントロールできると感じることで、このように寿命が伸びるほどの力を得られます。これを自己効力感(self-efficacy)と言います。これをどう応用するのかと言うと自分でコントロール可能なものをコントロールするということです。実現できそうなTo Doリストを書いて実行したら消す。確実にできる習慣を実行するなど。これを重ねると「ああ、自分はちゃんとやれている」と感じられるようになります。
関連した認知バイアス
個人化 (persionalization)と非難(blaming)
個人化:自分がコントロールできないような結果が起こった時、それを自分の個人的責任として帰属させることである。
非難:個人化の対象が他人になったもの
参照
※1:【コントロール幻想】とは?雨男・晴れ女を信じてしまう現象!
※2:The Illusion of Control – You Are Your Worst Enemy
※3:Trading on illusions: Unrealistic perceptions of control and trading performance
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