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「カラーバス効果」とは、認知バイアスの「頻度錯誤」

「カラーバス効果」は科学で使われる言葉ではない

「カラーバス効果」をご存知でしょうか。ある色を意識して過ごすとその色のものがよく目に入ってくるという人間の傾向を意味した言葉なのですが、この言葉、調べても論文や研究が出てきません。使われるようになったのは、加藤 昌治という方が、著書『考具』で使って以降。おそらく加藤さんの造語なのではないでしょうか。しかしこれに相当する科学で認められている人間の傾向はあります。それは「頻度錯誤」という認知バイアスです。

こちらが加藤 昌治さんの『考具』


頻度錯誤

頻度錯誤 (Frequency illusion)とは、

一旦気にし始めると、急にそれを頻繁に目にするようになる錯覚

です。またの名をバーダー・マインホフ現象(Baader–Meinhof phenomenon)と言います。頻度錯誤(Frequency illusion)は、スタンフォード大学の言語学教授のアーノルド・ズウィッキー(Arnold Zwicky)によって2006年に作られた言葉でした。その意味は以下の通り。

「一度見つけたら、どこにでもある(Once found, it's everywhere)」


バーダー・マインホフ現象

「バーダー・マインホフ現象」の名前の由来は、ドイツの新聞、St. Paul Pioneer Press(セントポール・パイオニア・プレス)に寄せられた読者投稿。ドイツ赤軍のバーダー・マインホフというテロリストグループ(the Baader-Meinhof Group)の話を友人としたその翌日に、その友人から「ニュースでそのテロリストグループの話が流れた!」という連絡があった、という内容の投稿でした。この投稿をみた他の読者からも似たような体験をしたという声が寄せられ、この現象が周知されていったのでこの名前が付きました。研究した博士の名前ではありません。

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© REGIS BOSSU/SYGMA/CORBIS


頻度錯誤のメカニズム

新しい知識を得て、脳は活性化されて選択的知覚が働き始める

脳が、新しく学習した知識に合致するもの、または似たものを探す状態になる

何度か気づくと今度は確証バイアスが作用し始め、意識を向けた途端に頻繁に目にするようなった錯覚に陥る

選択的注意とは

選択的注意(Selective Attension)とは、情報がいくつもあるときに、あるものを選び、それに注意を向けること。大勢の人々がいるなかで、自分の名前が口にされたときに、それに気づくカクテルパーティー効果は、選択的注意のひとつ。


対策

「頻度錯誤」という認知バイアスを知っておくだけ。

知らないと振り回されますが、知っていると「あ、これ、頻度錯誤だなぁ」という気付きが発生します。むしろ一度見えてしまうと気づいてしまうことになるかもしれません。頻度錯誤の弊害とは、「気のせい」と「実際に存在している」の境目が溶けてしまうこと。気になることで、かつ重要な場合は、頻度錯誤か実際に存在しているのかを検証することになるでしょう。

認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、「認知バイアス大全」マガジンにまとめていきます。


応用

相手に一度気にさせると頻繁に気づくようになる

「みんなあなたのことを噂しているよ」という仕掛けは、本当は存在していなくても、頻度錯誤によって、そんな気にさせる可能性があります。その他にも、「最近になって、コードつきのイヤフォンが流行り始めている」と情報を与えれば、聞かされたほうが、実際にコードつきのイヤフォンをしている人を探し、見つけては「本当に流行っているのかも」と思わせることができます。

まとめ

「最近、やけにミニスカートの女の子ばかり目につくんだけどなぁ」と感じたら、それは頻度錯誤かもしれません。もしくは、ミニスカートが大好きなためかもしれません。


関連した認知バイアス

焦点錯覚(Focusing illusion or focalism)

最初に接した情報に引きずられ、物事の全体像ではなく一部分の側面しか見ようとしない傾向。(あなたがあることを考えているとき、人生においてそのこと以上に重要なことは存在しない)


確証バイアス(Confirmation bias)

仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向。


選択的知覚 (Selective perception)

選択的知覚とは、情報がいくつもあるときに、あるものを選び、それに注意を向けること。大勢の人々がいるなかで、自分の名前が口にされたときに、それに気づくカクテルパーティー効果は選択的知覚のひとつ。


参照


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