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詐欺がバレても離れない信者がいる理由? 「誤信の継続的影響」

認知バイアス

人間の不合理な行動は認知バイアスによるものが多い。そんな認知バイアスを集めたマガジンです。


フワフワの泡は皮脂の汚れを落とす!?

以前よく広告に出てきた「フワフワの泡で皮脂の汚れを落とす」とフレーズ。これには科学的根拠はないことがその後広まりました。それでもつい石鹸の泡をフワフワにしてから洗顔してしまうことがあります。このように一度信じてしまったことは、のちに誤りであることを知った後も思考に影響を及ぼし続けいます。「人は脳の10%しか使っていない」もそうです。これを「誤信の継続的影響」といいます。


誤信の継続的影響

誤信の継続的影響(the continued influence of misinformation)とは、

間違った信念が、訂正された後も持続する傾向

です。継続的影響力効果(Continued Influence Effect)ともいいます。誤信の継続的影響は、保守性バイアスに近い認知バイアスです。これは、新しい証拠が提示されても自分の信念を十分に修正しない傾向です。このように、わたしたちは、一度形成した信念を訂正するのがとても苦手です。


保守性バイアス同様に投資家たちの落とし穴

保守性バイアス同様、誤信の継続的影響は、新しい情報にわたしたちはすぐに対応できないことを示しています。投資家たちは、自分たちの調査をもとに投資方針を決定した後、それを覆す新しい情報が入ってきても、最初に立てた方針に固執しがちです。

「誤信の継続的影響」は、アンカリングの延長線上にある

「誤信の継続的影響」は、トヴェルスキーとダニエル・カーネマンが研究したアンカリングにも通じています。アンカリングとは、先行した刺激に、後続した判断が歪められるというもの。


対策

誤信の継続的影響を覚えて、情報の更新とそれにともなった行動指針の変更に慣れる

「脳の10%しかつかっていない」程度の誤信は、日常生活やビジネスにさほど影響はありませんが、誤信の継続的影響は無視できない脅威にもなります。例えば投資。あなたはチームを率いて市場や企業を調査し、投資の方針を決定したとします。いざ実行しようという直前になって、その調査を覆すような新情報が入ってきたとします。しかしあなたはその新しい情報を投資に十分には反映させない可能性が高い。なぜなら誤信の継続的影響が及ぶからです。

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ということで対策としては、認知バイアスあるあるですが、やっぱり「知ること」。わたしたちは、新しい情報への対応が苦手、だということをしっておくと自分を疑うことが可能人あります。

応用

一度信じさせる。このとき、相手が信じたいことで釣り、釣ったあと、相手にそれをなんらかのかたちでそれを表明させる。

一度信じてしまうと先に紹介した保守性バイアスも手伝って、変更が難しくなります。この傾向をつかうと詐欺行為は、不正がバレたあともまだ信じさせ続けられるかもしれません。オンラインサロンや結婚などの詐欺では、不正がバレたあとも継続するツワモノがいますが、これは一度信じてしまった人は、発覚した情報に対応できないため。お気をつけあそばせ。また、時間やお金の投資をさせるとその損失を考えると信じるのをやめるコストがその分かさむため、信じ続けたい気持ちが生まれます。これを「サンクコスト効果」といいます。


認知バイアス一覧

こちらの記事に認知バイアスは一覧にもしています。

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