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手話通訳者全国統一試験「障害者福祉概論」2022過去問⑧解説〜盲ろう者友の会活動〜

2022年度手話通訳者全国統一試験の過去問について、参考文献をもとに独自に解説をまとめたものです。

問8.聴覚障害者団体・関連団体

聴覚障害者団体・関連団体について述べています。下記の(1)〜(4)の中から、正しいものを1つ選びなさい。

(1)一般財団法人全日本ろうあ連盟は、2年に1回全国ろうあ者会議開催し、評議員会では、福祉、教育、労働など、聴覚障害者が直面する問題解決に向けて議論され、運動方針が決定されます。
(2)盲ろう者友の会は、社会福祉法人全国盲ろう者協会の設立、続く「第1回全国盲ろう者大会」の開催を契機に参加した人たちによって各地い作られ、盲ろう者の自立と社会参加を目的とした活動をしている。
(3)一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会は、テレビの字幕挿入率や手話番組の放送率向上をあhじめ、邦画の字幕化を増やす活動も行っている。
(4)京都市手話学習会「みみずく」ができたのは、入院した聴覚障害者とのコミュニケーションに苦労した医師が、看護師たちに手話学習を呼びかけたのが契機となっている。

2022年度手話通訳者全国統一試験 筆記試験 問8

問題解説

(2)が正しい。
(1)は「2年に1回」が間違い。毎年6月に開催される。
(3)は「手話番組の放送率の向上」が間違い。
(4)は「医師」が間違い。看護助手が受け持ちのろうあ者とコミュニケーションを取りたいと思ったことがきっかけであった。

全国ろうあ者大会

毎年6月に開かれる全国ろうあ者大会(主催:一般財団法人全日本ろうあ連盟)は、各県持ち回りで開催されている。大会期間中の評議員会では、福祉・教育・労働など、聴覚障害者が直面する問題解決に向けて議論され、運動方針が決定される。参加者は研究分科会、写真展、美術展、アトラクションなどを通して学習・技術の研鑽・交流を深めている。

盲ろう者友の会活動

視覚・聴覚に障害がある人たちを「盲ろう者」という。完全に見えなくて全く聞こえない人たちを「全盲・ろう」といい、他にも「盲・難聴」、「弱視・ろう」、「弱視・難聴」といった人たちも含まれる。
社会福祉法人全国盲ろう者協会は1991(平成3)年3月に設立された。同年8月には「第1回全国盲ろう者大会」が開催された。このことをきっかけに、大会に参加した人たちは各地に「盲ろう者友の会」を作り、全国に45団体がある(2011年現在)。

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の活動

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の目的は定款に「広く社会に対して、難聴者・中途失聴者(以下「難聴者等」という)の理解を深めるため、社会的自立の促進及び難聴者等に対する社会一般の理解向上に関する事業を行い、もって難聴者等の福祉の向上及び権利擁護に寄与することを目的とする。」と定められている。

テレビの字幕挿入率の向上・邦画の字幕化を増やす施策の普及充実に関する活動や、ホームページや機関紙発行による難聴者などの社会への理解を促進するための広報活動を実施している。
中途失聴・難聴者のコミュニケーションを支援するため、要約筆記者の公的派遣制度がある。要約筆記は、話の内容を予約し、文字によって伝える情報保障手段である。1983(昭和58)年に結成された特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会が中心になって要約筆記活動に取り組んでいる。

事業は以下の通りである。

(1)難聴者等の社会参加促進のための施策の充実普及に関する事業
(2)難聴者等に対する理解促進のための啓発、広報に関する事業
(3)難聴者等のニーズに関する調査
(4)難聴者等の社会参加促進のためのコミュニケーション手段等に関する調査研究
(5)難聴者等の相互交流促進、情報提供等に関する事業
(6)関係諸団体との連絡調整に関する事業
(7)災害支援に関する事業
(8)その他、本会の目的を達成するために必要な事業

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

手話学習会みみずく設立

1963(昭和38)年、京都市で京都市手話学習会「みみずく」が結成された。きっかけは、入院したろうあ者が医師や看護師と十分コミュニケーションがとれない様子をみた看護助手が「通じたい」「話したい」と思い、看護師の通っていた夜間高校の仲間に呼びかけ、結成されたのが「みみずく会」であった。特徴的なのは、単なる手話の学習サークルではなく、「手話を学んで、ろうあ者の良き友となり、ともに手をつないで差別や偏見のない社会を実現するために努力すること。また、そのために必要な学習や事業を行うこと」と会則に活動の目的が掲げられた。当時のろうあ者は厳しい差別や偏見のなかで、人としての自由や権利が奪われていたり制限されていたという時代背景があった。一人ひとりのろうあ者が多くの困難を抱えて暮らしていることを理解、共感し、ともに問題を解決していかなければならないことを「みみずく会」の会員は認識していた。

✔手話の筆記試験対策テキスト,全国手話研修センター
✔手話通訳Ⅰ,ホップステップジャンプ,全国手話研修センター
https://www.zennancho.or.jp

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