手話通訳者全国統一試験「障害福祉サービス」2020過去問⑫解説〜自立支援給付〜
2020年度手話通訳者全国統一試験の過去問について、参考文献をもとに独自に解説をまとめたものです。
問12.障害福祉サービスの自立支援給付
問題解説
(4)が正しい。障害者総合支援法の福祉サービスの体系と内容は多岐にわたるが正確に理解しておきたい。
障害者総合支援法の障害福祉サービス
障害者総合支援法の障害福祉サービスは、【自立支援給付】と【地域生活支援事業】にわかれる。
【自立支援給付】は「介護給付」、「訓練等給付」、「相談支援」、「自立支援医療」、「装身具」からなる(表の通り)。
介護給付の「居宅介護」
「介護給付」には9種類のサービスがある。「介護給付」のうち「居宅介護」は、居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行う。
障害支援区分が区分1以上(障害児にあってはこれに相当する支援の度合)である者が対象である。
介護給付の「生活介護」
「介護給付」のうち「生活介護」は、障害者支援施設その他の以下に掲げる便宜を適切に供与することができる施設において、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する障害者であって、常時介護を要するものにつき、主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援を行う。対象は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者である。
(1) 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者
(2) 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者
(3) 生活介護と施設入所支援との利用の組合わせを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続を経た上で、市町村により利用の組合わせの必要性が認められた者
訓練等給付の「就労継続支援」
「訓練等給付」には6種類のサービスがある。
就労支援継続支援A型(雇用型)
そのうちの「就労継続支援」はA型(雇用型)とB型(非雇用型)がある。
「就労継続支援A型(雇用型)」は通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う。
就労支援継続支援B型(非雇用型)
「就労継続支援B型(非雇用型)」は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う。
訓練等給付の「共同生活援助(グループホーム)」
訓練等給付のサービスのひとつに、「共同生活援助(グループホーム)」がある。共同生活援助(グループホーム)は、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。
具体的な対象像は以下の通りである。
・単身での生活は不安があるため、一定の支援を受けながら地域の中で暮らしたい障害者
・一定の介護が必要であるが、施設ではなく地域の中で暮らしたい障害者
・施設を退所して、地域生活へ移行したいがいきなりの単身生活には不安がある障害者など
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000670104.pdf
よって(4)が正しい。(1)の就労継続支援A型は雇用型であり、「通常の事業所に雇用されることが困難」が間違い。就労継続支援B型は非雇用型であり、「通常の事業所に雇用されることが困難」は正しい。(2)の生活介護は「常時介護を要する障害者」を対象とし、主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援等の支援を行う。(3)は、地域で共同生活を営むための支援を行う福祉サービスである。