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22曲目『悪女』(昭和56年 1981)中島みゆき

 前回の『いちご白書をもう一度』の勢いで、ベタな名曲を取り上げてしまえ!というノリでこの曲を。

 この曲が私の琴線ストックに入ったのは去年でありました(遅過ぎ)。
 この曲の良さ語りもいっちょかみますが、♪マリコの部屋へ~ 電話をかけて~ ンフフフフ~フフフフフ~フフ… てな具合に、歌詞を覚えていなくてもスキャットだけでも口ずさんでしまえるメロディの良さがありますね。
 で、♪あ~くじょにな~るなら 月夜はおよしよ 素直になり過ぎ~る フフフフフフ~フ… とサビの部分までもスキャット語りでもOK(笑)
 しかも、後半、サビを2回繰り返して歌うのがありがちなパターンなのに、1回でスパッと終わっているのも好感です。

 大学時代の友達でマリコさんが居ましたが、全国に居るマリコさんも同様、当時はことあるごとに、この歌を眼前で歌われていました。
 ちなみに、一番の歌詞に出てくるマリコは「あのこ」と呼び、二番に出てくる彼氏が隠す女は「あの娘《こ》」と呼んでちゃんと区別しています。

 さて、ここからが私の琴線ストックに入った理由語りになりますが、 しかし、この『悪女』という題名、当時から違和感を持っていました。ライブではおそらくオーディエンスが手拍子をするよう明るいメロディライン。そして、中島みゆきも、深夜ラジオでおどけているような明るめの音色で歌っています。まあ、聞き慣れてはいるものの、歌詞を覚えていなくてスキャット歌いになっているくらいの私でしたから気付かなかったんですわ。二番の歌詞の凄さに。 

♪女のつけぬ コロンを買って
 深夜のサ店の鏡で うなじにつけたなら
 夜明けを待って 一番電車
 凍えて帰れば わざと捨てゼリフ

 この二番の歌詞でやっている女の所業が“悪女”たる所以ですが、まあ、それでも、この程度で悪女だったら、現代の悪女はなんと呼べばいいでしょうかね(笑)
 まあ、悪女の程度問題はさておき、二番Aメロ冒頭の歌詞です。「女のつけぬ コロンを買って」 要は男物のコロンなわけですし、「男がつける~コロンを買って~」という歌詞にしてもメロディの語呂ははまるのだけど、あえて、「女のつけぬ」とするあたりが憎いです。

 ♪涙も捨てて 情も捨てて
  あなたが早く私に 愛想を尽かすまで
  あなたの隠す あの娘のもとへ
  あなたを早く 渡してしまうまで

 二番のAメロの後半の歌詞、「あなた」から始まる三連発で、撃ち抜かれます。
 この曲全体を通して、この女は悪女気取りでいろいろやっていながら本当の悪女になりきれず、油断すると「行かないで」と言ってしまいそうになる女ですから、このAメロ後半の歌詞もどこまで本気で思っているかわかりません。きっと、だいぶ思っているんでしょうが、安直な表現で言えば、奥ゆかしくてどこまでもかわいい女心の持ち主である、と私は思ってしまいます。
 果たして、現代の女性でこんな心持ちの女性って居るんだろうか… いやあ、居ても、きっと気付かないんじゃないか、って。現代なら「愛想を尽かすのは男の方じゃなくて女の方だろ」って言われるんじゃないかって、ね。

 こんな風に「奥ゆかしくてどこまでもかわいい女」評の私ですが、もちろん、ジメジメしていて、さっぱりしていなくて、あくどい女、と評されてもそれはそれで仕方ありません。

 とまあ、女心を語ってみたわけですが、的外れだったでしょうかね…(^^;

♪『悪女』(昭和56年 1981)中島みゆき
 作詞・作曲:中島みゆき
https://www.youtube.com/watch?v=ZkyCrUolctw