牛と暮らした日々-そこにあった句#39 雪の階段
節分の牛舎へ雪の小さき階 鈴木牛後
(せつぶんのぎゅうしゃへゆきのちさきはし)
11月下旬から根雪となる北海道では、2月の節分の頃になると積雪量も1メートルほどになる。傾斜地に建っている牛舎なので、夏でも下りで入る牛舎への出入り口が、冬にはもっと低くなってしまう。
忙しさとめんどくささでそのままにしていると、踏み固められた雪が下りのスロープになり、もう、すべるすべる。
夕方、牛舎へ行こうとすると、滑り込みの勢いが余って、待ち構えている牛舎猫達と衝突しそうになってしまう。うちの猫は野良が勝手に牛舎に住みついたのだが、搾乳前に煮干をやっているうちにだんだん人に懐くようになり、今では出入り口で人間が来るのを待ち構えているのだ。
「早くステップを切ってよ」と夫に言ったり、なかなかやってくれなかったら自分でやったりして、除雪スコップで雪を切るように小さな階段を作ってていく。
猫にも好評だ(たぶん)。