『キングオブコント2022』感想

今年も書きます。

◆ファーストステージ◆

クロコップ【ホイリスト】…460点(ファーストステージ8位)
これ面白かったなー。準決勝の配信で観れなかったコントなので純粋に楽しめたし。
とにかく遊戯王の「熱き決闘者たち」がオモシロBGMすぎて最高だったし音ハメが完璧だった。グレイモヤ の出囃子に使われてる時点でお笑いオタクからしたらオモシロBGMなので余計に。
カードゲームと見せかけてあっち向いてホイだったってのをしょうたさんのターンで提示した後の、荒木さんのターンでのポーズが最高すぎた。キレよくホイする必要性は別にないだろ。あそこだけ何度も見ちゃう。
ちょっと出オチっぽくなりそうな発想なのに、そこからのアイテムカードによる展開がぜんぶ無駄がないのが凄すぎてビックリした。バカバカしさが全然失速しなくて飽きさせないパワーが物凄い。上下封印の時の荒木さんの顔の向き方とか笑ったなぁ。
最後の二人でダブルフィンガーやってるところとかめちゃくちゃバカで最高だったし、「しまった!同じ方向に!」って声揃えて言うシーンはコントというよりアニメのギャグパート的な面白さを感じた。
本当に学生時代の昼休みの延長線上みたいなコントだなってのがいろんなところに詰まってた。
しかもBGM終わってからのヘリの縄梯子でもうひと盛り上がり作られてるのめちゃくちゃ笑った。BGMの気持ち良さだけじゃないのが良かった。

ネルソンズ【結婚式】…466点(ファーストステージ4位)
とにかくまんじゅうさんの持ってるパワーが凄くて、「よかった」とか「ドキドキした」とか、言ってるのは文脈的にもかなり普通の言葉なのにめちゃくちゃ面白くて底知れないパワーを感じる。
「お前が誰だ」とかも言い方最高すぎるもんな。とにかくタイミングとかイントネーションがパワーメーター振り切ったベストショットをバンバン叩き出してる。
それでいてちゃんと台本的な面白さがあって、面白い台本を面白い人達が集まって演じてて強さを見せつけられる。
一貫して足が速いことが第一条件なミユキさんも意味分かんないし、最終的にどっちが足が速いかでどちらがミユキさんに相応しいかを決めようとしてるのが意味分からなすぎて良い。
ネルソンズのコント、割と哀愁漂うものが多くてだいぶ可哀想な展開のまま終わることも多い気がするけど、このコントは最後に結局花嫁を奪われず幸せに落ち着いててそれも嬉しくなった。

かが屋【S】…463点(ファーストステージ5位)
このコントは、実は準決勝配信で観た時点ではかが屋の中で特段強いコントとまでは思わなかったんだけど、K-PRO『行列の先頭』というライブで生で観た際にとてつもなく仕上がっていて一気に好きなコントになってしまった。しかもそのライブの数日後だった決勝でさらにスゴくなってたので余計に。
好意を寄せている後輩がドMと知って頑張りすぎてしまう先輩と、それを汲み取れない後輩との微妙なボタンのかけ違いが、綺麗に合致していく様が美しすぎる。
加賀さんの「賀屋さん僕がドMなの知ってるんですか!?」というセリフにおける感情の変遷が好きなんだけど、予選や直前のライブでは3段階だったのが決勝では2段階で、後日「会場の空気を判断してその場で2回に減らした」と知って「おお!」となった。
その後の加賀さんの表情の変わり方も好き。ライブで遠くから観ても分かるような大きな表情の動き方なのに、それでいて誇張しすぎず自然なのがスゴい。
イビツなようで円のような関係性。結果的にこれだけ上手くいったらカオリさんも嬉しいだろうな。
かが屋は最小限の衣装や小道具のコントが特徴だけど、決勝でのしっかりした衣装のコントもやっぱり良いなぁ…となった。扉があったのも良かった。以前決勝に行った際『親友』というコタツのコントを2本目にやる際は、最終的に扉を使わない方向でいってたらしいので、その辺の見せ方に対しての二人の考え方も変わってきたのかなぁと。

いぬ【夢の中で】…459点(ファーストステージ9位)
とにかくずっと気持ち悪くてバカなコントだなぁ。めっちゃ変なネタ。
これだけバカなコントなのに、最後30秒ぐらいは無駄に感動しちゃうのが面白い。マジで世界一無駄なカタルシス。バカコントなのになんか精神状態によってはちょっと泣いてしまいそうになる。
太田さんのヒゲとか背丈とか筋力とか、ぜんぶコントに生きてて面白いし、有馬さんのオバハン感も謎に面白かった。
このコント、「キスは禁じ手」か否かが争点になると思うけど、個人的には賞レースにおいて限りなく禁じ手に近いのはなんとなく分かる。
ソウドリで鬼越が漫才の最後キスしたやつとかめっちゃ面白かったけど、M-1予選でやったら絶対減点対象だろうし、意外とメタとかと並んで賞レースにおける悪魔の果実なのかもしれない。
ただ、禁じ手だという事を踏まえて見ると、あまりにも禁じ手をやりまくってるので逆に面白いという見方もできてイイ。

ロングコートダディ【料理頂上決戦】…461点(ファーストステージ7位)
このコントでの兎さん、兎さんすぎて凄い。兎さんでしか考えられないキャラ。ホクロの数すら面白く感じる。
帽子が引っかかって落ちる部分もシンプルに面白いのは勿論のこと、二人のやり取りの機微がとても良い。兎さんの緊張してるからなのか元々要領を得ないヤツなのか分からない変な感じがたまらない。
「ツカモトユウイチロウ」の噛み方とか自然ですごいし、「かがむ」が分かってないとこもめちゃ面白いな。「む」の時の口、なに?
そんでとにかく最後の「目的を理解してないですよね?(ボワ~~ン)」が面白すぎる。「目的を理解してないですよね?」の後のドラがこの世の効果音の中で一番面白い。
あと堂前さんの「全然って万能な言葉じゃないですよ?」のタイミングと、それに至るまでの「全然」ってワードの回数とかもめちゃくちゃ良い。個人的には予選の時の「ですね」ってワードも好きだった。
全体的なことで言うと、ネタが進むごとに「一見お断り」のナレーションのリフレインがどんどん面白く感じてきて、「なんでこいつの店が一見お断りなんだよ」と思った。

や団【バーベキュー】…470点(ファーストステージ2位タイ)
1回目から出場している古株トリオで、雰囲気的には2010年頃のKOC的な懐かしさもありつつ、しっかり新しいのでハイブリッド的な良さのあるコントだと思った。
死体処理の怖さをロングさんがしっかりと描きながらも、何故か死体としての演技を貫き通す中嶋さんのサイコぶりも加わる事で笑いが生まれる感じ。マイナス×マイナス=プラス的な感じなのかな。
種類の違う二人のサイコに振り回される本間さんって感じで、演技力とかとかはまた違う良さのあるツッコミ。
小学校からの友達みたいな設定は前まではなかった気がするので、余計に非情感が増幅されてて良かったし、直前にiPhone14が発売された事も追い風になったなぁと思う。
前半のロングさんの古臭いムカつく演技が終盤効いてくるのもコワ面白い。あとちゃんとSMAって感じの世知辛さがどこか漂ってるのも良い。や団ってSMAの中だとハゲでもデブでも裸芸でもなくて相当正統派なんだけど、世知辛さだけはSMA共通だなぁと思う。

コットン【証拠】…470点(ファーストステージ2位タイ)
色々小道具を活用したり、きょんさんの憑依ぶりが前面に押し出されてたりとか、拍手笑いをコンスタントに稼げるような仕組みが物凄く仕込まれてて、とても優良健康的なコント。
「結構長いこといらっ…!」のところ、感情の高ぶりと共に言葉が消え入ってく感じが面白かった。
予選だと浮気証拠バスターの名刺を渡してたけど、普通にそれが彼女に見つかるのが一番のクロなので決勝だと警察手帳システムに代わっててなるほどなと思った。
お酒を全然飲まないので、お酒のくだりだけあんま分かんなかったのが無念。あとジブリ見たことないから釜爺分かんなかったのも無念。自分、固有名詞に明るくない節がある。

ビスケットブラザーズ【野犬】…481点(ファーストステージ1位)
面白すぎ。面白くない時間帯が一秒もない。
最初からトップスピードで一見ビジュアル的な面白さのコントなのかなと思わせるけど、ワードとか展開とかが全部凄くて五角形パンパンな感じのコント。
そもそも、短ツインテールの上セーラー服・下ブリーフのヤツが山で何もしてなかったら面白すぎる。普通に奨学金払い終わってないのもめっちゃ面白い。「ほら、大学も行ってる」とかボケとして天才的すぎてシビれたな。
原田さんの低い独特のトーンもずっと面白いけど、きんさんのツッコミの感じもこういうバカコントをやる上で一番良い的確なトーンで好き。
とにかくワードぜんぶ激強だけど、中でも「こっちが前さ」が昔から好きすぎる。流石に意味わかんなすぎてその場ではウケないけど、その後のきんさんのツッコミでざわざわウケ出す感じがたまらない。絶対にこっちが前なわけないし。ただの嘘なのが最高。
よくコントだと効果音を口で言うみたいな事も多いけど(2012のバイきんぐ2本目とか)、このコントの場合他の効果音はちゃんとあるのに「きらきらりん」だけ口で言ってるから、「きらきらりん」は本当にこいつが口で言ってるんだろうなってのが面白い。拾った棒だし。
そんで最後無駄にアツくて面白い。結局T.M.Revolution『HOT LIMIT』もめちゃくちゃオモシロ曲なので、それが合ってるとここまで面白いんだという感動も有。「それ、どういう意味?」のくだりとかテンポ感がスパークしてた。

ニッポンの社長【人類再生計画】…455点(ファーストステージ10位)
暗転から明転、明転から暗転のコント。
ケツさんの顔がめちゃくちゃ面白いのは当たり前なんだけど、辻さんの「やっぱええわ」の声量とかトーンがぜんぶ完璧で好きすぎる。
ピンスポの瞬間に鳴る衝撃音からのストリングスのBGM、めちゃくちゃクセになる。
ヴァーリオンというロボットの話で勿論エヴァのパロディというわけだけど個人的にはエヴァ全然知らなくても楽しめた。ただ、知らない中でもシンジくんのポジションがケツさんという面白さはめちゃくちゃあった。
ただ、準決勝会場の舞台がめっちゃ広かったので、決勝以上にケツさんのぽつんと佇んでる感が面白かったというのは確かにあるのかもな…と思った。意外と決勝前から言われてた話ではあったので。

最高の人間【テーマパーク】…462点(ファーストステージ6位)
まず、THE W女王でR-1ファイナリストの吉住さんと、同じくR-1ファイナリストであり「巨匠」としてKOCファイナリストでもある岡野さんという、化け物みたいなユニットでまずシビれる。
吉住さんがKOCの舞台に初めて降り立ったのも、岡野さんがまたKOCの舞台に戻ってきたのも最高だった。特に、異なるコンビで決勝に来た人って賞レース史上でも稀有すぎるので本当に岡野さんは凄い。
その二人のお笑いが融合したコントで本当に良かった。怖いコントだけどちゃんと可愛いコントでもある。
決勝でナンシーの衣装がさらに可愛くなってたのも見ててユカイな気持ちになった。岡野さんが「皆さん無理だと思ってると思うけど…」って言ってる時の吉住さんの動き好き。「ばーん!」のところも、カメラワーク的にももう少ししっかり映ってほしかったな。
そういう可愛さがちゃんと振り切ってる中で、ピエロ恐怖症的な異常な気持ち悪さが漂ってて、それが終盤に爆発していく感じが良い。
だけど、「脳の羞恥心を司る部分を切除」とか、「脳の一部を取ってるのがプロ、取ってないのがアマ」とかめっちゃ面白い部分が意外と刺さってない感じがして悔しい気持ちにも。ただ、冷静に考えるとこういうのでバカ笑ってる僕たちお笑いオタクが頭おかしいって可能性もあるな。脳切除で笑ってるってヤバいもんな。
吉住さんの「逃げて…」の部分もとにかく好きだけど、個人的には準決勝での言い方と間がベストフィットだと思ってる。あそこの歩幅の合わせ方、お客さんの笑いの感じとかで毎回変わるだろうから難しいな。
あと、「お日様が出たらクランベリー 明日のジャムにしようかな」っていう歌詞も絶妙にちゃんと可愛くてちゃんと気持ち悪いな。
後半部分は予選からごっそり変わってて『行列の先頭』で生で観れた時に「女審判みたいだ!」とワクワクした。マスカット食べる岡野さんの狂気面白いなぁ。

◆ファイナルステージ◆

や団【雨】…473点(ファイナルステージ3位)・合計得点…943点(全体3位)
普段はびーちぶとか中野芸小とかのイメージで、テレビ的な衣装やセットを使ってのコントはあまり見た事なかったけど、実はや団ってテレビコント向きなのかも?と思った。
ちゃんとベテラン天気予報士っぽいカツラを被ってたり、軒先のセットがあることで予選よりめっちゃ面白く感じられた。
それに加えて、準決勝からだいぶ内容をパワーアップさせてるのが楽しかった。割と前から予選でかけてるネタなのに、プロポーズの失敗みたいな大きなブロックがこの一ヶ月間でネタに入ったの中々の冒険というか。
そもそも序盤、もともとは本間さんがロングさんに声かけられてから気付く展開だったのが、こっち側からロングさんの存在に気付いて「諦めちゃってるなぁ…」ってセリフが入るようになってて最初からガラッと印象変わった。
とにかくロングさんのこのコントでのキャラって他では見た事ないようなこのコントだけのキャラだなと思う。全部どうでもよくなった人が発する、「ヘイヘイヘイヘーイ!!」ってやつなんなんだ。
あとソラタローのぬいぐるみが普通に可愛くて、欲しい。

コットン【お見合い】…474点(ファイナルステージ2位)・合計得点…944点(全体2位)
上品な人がタバコを吸っているというギャップを表現するうえで、前半でカリカチュア的なぐらいに描かれる上品さが凄く効いてるなと思った。「面白い、面白いです」の言い方イイ感じにムカつくなぁ。
最後はベタベタな展開から久保田利伸『LA・LA・LA LOVE SONG』が流れて、指輪をタバコの煙で作るバカバカしいハートフルさで良かった。
だけど、色々なものを踏襲したパロディ的な面白さかオリジナルストーリーか否かで、や団と面白さが僅差な中で審査に響いたのが興味深かった。
個人的に言うと、タバコ吸わない上に周りに喫煙者が一切いないのでタバコあるあるがちょこちょこ分からないのが悔しい。
なんか1本目もお酒とかジブリとか分からんかったし、なんか100%楽しめてない自分がもどかしい…コットン100%じゃないなこれは。ポリエステル20%とかかな。

ビスケットブラザーズ【ぴったり】…482点(ファイナルステージ1位)・合計得点…963点(全体1位)
まず、コントタイトル「ぴったり」って!面白すぎるって!
まずこのフォルムの二人がベンチにぎゅうぎゅうに座ってる画がめっちゃ良い。なんか普通のベンチより小さい気がするんだけど錯視なのかビスブラ用のベストサイズなのか気になる。
原田さんがカツラと服ぜんぶ取った後の「どうも、紹介してもらったダイスケです」の声の低さ、めっちゃ面白い。「せっかくだし君が完成させてみる?」とかセリフとしてちょっと凄すぎるなと思う。完成って何?
その後、フミカはダイスケを紹介した側の立場なのに「ダイスケが来るよ?」って脅しみたいにしてるのめっちゃ笑った。あと、とにかく「ダイスケゴール」がとにかく好きすぎる。あれ本当にどういう意味?「って言って…」みたいな歯切れ悪く終わってるのも意味分かんなくてめっちゃ笑っちゃうんだよな。
で、このコントのキモさであり肝って、ダイスケに初めて出会った後のキミカの「もう一度フミコに会いたい」という感情だと思う。なんでもう一回会いたいんだ。ちゃんと対話を大切にしてる変なやつ。
この変さこそがこのコントの一番の根幹で、両方変なやつだからこその「ぴったり」だし、なんなら最終的に付き合うのは付き合うキミカの方がおかしいと思う。
そしてオチ、予選では「こちらこそ~」で終わっててハッピーエンドだけどなんとなくふわっとしてたのに、決勝でさらにひとくだり追加されてて「うわあ!」となった。ちゃんと最後大爆笑で終わるようになってるのぬかりなさすぎて。ハッピーかつ爆笑できるという一番理想的なオチで最高だった。

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