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Minimoで0円外見磨きと、日本社会への批判

この一年位、美容サロン予約アプリ「Minimo」を使って無料で外見を磨くことにハマっていた。ネイルやまつげパーマ、眉スタイリングに加えて、フェイスワックスやフットケア、ヘッドスパ、整体までいろいろな美容施術を試してみた。予算を0円に設定して検索すると、100以上のメニューが出てきて、毎週どこかのサロンに通うようになっていた。

子供の頃は勉強とスポーツが優先で、母親も「女らしさ」を出すことに嫌悪感を持っていたから、中学・高校時代は髪をヘアバンドでまとめるくらいで、おしゃれも一切しなかった。だから、Minimoは身だしなみや美容を一から学ぶ場になった。初めてのサロンに2時間以上かけて行くこともあったけど、それは20代まで抑圧されていた「女性らしさ」を発見し、表現するための執着だったのかもしれない。

常に予約でいっぱいのアプリ。依存の域。

トリートメントやヘアセットをした髪で外を歩いたり、ネイルをして手入れされた手をデートで見せたり、フェイシャルを受けた後の顔で趣味の集まりに行くと、自分のエゴが満たされる感じがする。でも、髪や肌、ネイルに無頓着な外国人(特に東アジア以外)が、コミュ力や親しみやすさで楽しんでいる姿を見ていると、平均して日本人がいかに外見で勝負しようとしているかが分かる。外見に時間とお金をかけている日本人だって、結局は他者との温かいつながりや無償の愛が欲しいのに。これは、高級車を見せびらかす欧米の富裕層が、実は心の中で愛を求めているのと同じだと思う。

外見は時間とともに変わっていくものなのに、その理想の瞬間を切り取って永遠にしようとして、時間やお金を費やすのは悲しいものだ。日本に戻って3年が経つが、確かに見た目が綺麗な人は多い。しかし、動きや表情、仕草などを含めた総合的なセクシーさや美しさを持つ人は少ないように感じる。他人との関わりに余裕がなくて、遊びがない感じがして、遠くから見たら氷のように冷たい美しさばかりという印象がある。人の心を溶かすのは氷ではなく、暖かさだ。

Minimoを通じて、外見的な美を追い求めながらも社会に失望することがあったが、一方で、動的な自己表現を学ぶ場にもなっていた。正式名称は「Minimodel」で、撮影モデルを探しているサロンも多く、その多くがクリエイティブでパワフルな作品を作っている。美容のプロたちが、想像力を駆使してメイクやヘアセット、衣装や小道具を使って自己表現をしている。モデルとしてそのプロセスに参加することで、雑誌や広告にあるような画一的な美ではなく、もっとパワフルで生きた自己表現を学ぶことができた。無意識に「女性は笑顔が大事」という固定観念を持って育った自分にとって、口角を下げて怒りを目に込めた写真は、自分が無視してきた側面を表に出して昇華する大事なプロセスだった。

バイトをしながら、無料の美容施術を求めていろんなサロンに通い続けたこの一年、自分の見せ方も少しずつ変わってきた。かつては「こけし」か「スネイプ先生」としか思えなかった黒髪ストレートも、今では自分の長所として捉えられるようになった。これからは、Minimoに依存しすぎず、時折使いながらも、人としての魅力を磨いて、もっと自信を持っていろんなことに挑戦していきたいと思う。

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バレエ用メイクブランドで、発色と持ちが桁違いに良いChacottのパウダー。日本人の肌に合う色味で開発され、舞台だけでなく日常生活でこそ使う。

モデルで学んだ。この一手間で「なんかわからないけど綺麗、可愛い」が完成することを。


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バレエ、フィットネスインストラクター|ライフコーチ|欧米での学びを本にします|RYT200|Bowspring yoga修了|マットピラティス講師資格取得|スクールカウンセラー よろしければサポートお願いします! 本制作、イントラ活動に使わせていただきます!