児童相談所の登場 | 虐待を疑われて子供を一時保護された夫婦の話
はじめに
病院から、次男がけいれんの再発もなく、順調に回復してきてくれているという説明をうけ、まもなく一般病棟に移れることを夫婦で喜んでいました。しかしそれも束の間、児童相談所と警察に通報したと告げられてしまいます。
虐待を疑われたのであろうことはショックでしたが、その瞬間はまだ「警察からは事情聴取、児童相談所からも話を聞かれるんだろうな…」くらいにしか思っていませんでした。
記事の概要
今回の記事では、児童相談所に長男と次男が一時保護されてしまった際のやり取りと、その後の児童相談所とのコミュニケーションの内容を整理・共有しています。
※私たちが経験したことや児童相談所の担当者等とのやりとりを整理し、共有する趣旨で執筆していますので、児童相談所や一時保護の制度に対する批判をするものではありません。
この記事を読んでほしい方
私たちと同じように子どもが硬膜下血腫等の怪我をしてしまった方へ、私たちの事例の共有をして、怪我の原因究明の一助にしてもらいたい。また、私たちと同じような経験をしている方の焦りや不安等を少しでも緩和できればという想いで記事を書いています。
児童相談所の登場
・一時保護処分の通達
病院で医師から最終診断結果の報告、そして次男の怪我について児童相談所と警察に情報共有したと伝えられると、児童相談所の職員2名が入れ替わりで部屋に入ってきました。
児童相談所の職員からは、「本日から長男と次男はそれぞれ一時保護処分となった」と開口一番に伝えられました。
そして、長男も次男も家に帰ることができないこと、どこで保護されているかも伝えられないこと、保育園に登園している長男はすでに別の職員が保護していることも伝えられました。
次男については入院中でしたが、場所を秘匿するため転院する可能性があることも告げられ、本日までの入院中のミルク等の費用の請求がありました。(入院中のミルク等の費用は、保険証や医療証の対象外だそうです。)
・無関係であるはずの長男の一時保護処分
次男が入院して硬膜下血腫だと診断された時から、万が一私たち夫婦の虐待が疑われた場合、次男と私たちがどうなってしまうのか、少しですが調べていました。
とはいえ、SBS等の揺さぶり行為等をしていない私たちが虐待が疑われることはないと思っていましたし、まして今回一切怪我をしていない長男について一時保護をされるとは夢にも思っていませんでした。
次男が大怪我をしてしまったショックや不安で心が押しつぶされそうだった私たち夫婦は、長男まで不安になってしまわないよう、家ではいつも通り明るく振る舞っていました。また私たちにとっても、長男といつも通り遊んだりご飯を食べたりできることが、心の支えにもなっていました。
この心の支えが、次男と共に一瞬で失われてしまったあの瞬間を、私たち夫婦は一生忘れられません。
・長男の一時保護処分の理由
児童相談所の職員に、なぜ怪我をしていない長男も一時保護されたのか理由を尋ねると、長男自体に虐待をされた形跡はないものの、次男が虐待されているところ目撃したことによる心理的虐待があった可能性があるためだと説明がありました。
次男が虐待をされているという仮定の上に、それを見た長男が心理的虐待を受けているという仮定を更に乗せた処分…
人の想像力というものは恐ろしいなと率直に感じてしまいました。
(後で調べてわかったのですが、子どもの片方に身体的虐待が疑われる場合は、仮にもう片方に身体的虐待が疑われていなくても両名を一時保護するというのが、児童相談所の運用として定着しているようです。)
続けて、児童相談所の担当者に、長男が通っている保育園にヒアリング等をした上での処分なのかを尋ねました。(長男は1年以上同じ保育園に通っているので、保育園の先生方は私たちの家庭環境や長男の様子を把握されています。)
これに対して担当者は、まだ実施していないので、今後実施することになるだろうと回答していました。
長男が一時保護されてしまったことはもちろんですが、担当者の上記回答にも驚きと違和感を感じざるを得ませんでした。
今まで病院の医師やソーシャルワーカーとの間で長男についての話題は一切なかったため、私たち夫婦が長男の生活環境等の説明をする機会は全くありませんでした。この状況下で保育園へのヒアリングも全くないということは、児童相談所は一時保護をする長男について事前に何も調査することなく一時保護を決定・実行したということになります。(一時保護の前に児童相談所が事情聴取をすることもあるらしいのですが、今回はそのようなものはありませんでした。)
児童相談所が掲げる「子どもの命・身体を守る」という正義を否定するつもりは全くありませんし、この正義感は(私たち夫婦を含め)万人が賛同するような素晴らしい思想だとは思います。
ただ、事前に調査をすることなく子どもを親元から引き離してしまう行為は、子どもに対する心理的虐待にはならないのでしょうか。
翌週に組まれた個別面接
・面接の日程調整
児童相談所の担当者からは、私たち夫婦との個別面接と家庭訪問の実施をしたいと提案がありました。私たち夫婦は二人とも長めに育児休業を取得しており時間の調整はいくらでもできるので、最短のスケジュールで実施してほしいとお願いをしました。
保護された日は金曜日だったの、翌週から個別面接(1人2.5時間程)が組まれました。
細かいですが、「面談」ではなく「面接」となります。
一時保護の制度は、子どもに虐待があったかの調査のための一時的な措置なのですが、この「面接」という文言からすると、児童相談所は中立の立場で調査をして虐待の有無を判断するというわけではなく、両親が虐待をしていることを前提として証拠を集めようとしているのかもしれないと感じてしまいました。(考えすぎかもしれませんが)
・個別面接の内容
個別面接で聞かれたことは以下の事項となります。
児童相談所の担当者は、上記事項の質疑を繰り返しつつ、すずとまこととの面接を別個に行うことによって、矛盾点がないかを探し、虐待の認定につながる要素がないかを探しているような雰囲気でした。
家庭訪問
個別面接の翌週に行われた家庭訪問では、実際に児童相談所の担当者が私たちの家に訪れ、1時間ほど質疑に答えました。家庭訪問で確認されたことは以下の事項になります。
これらの確認をされつつ、デジカメで20〜30枚程撮影をされました。
児童相談所の担当者が、家の床材やクッションの有無を確認していたのは、子どもが転倒したり、私たちが子どもを落としてしまったりした場合の怪我の可能性を意識していたのだと思われます。
児童相談所のスピード感
子どもたちを一時保護をされてしまった私たちにとっては、1日がとても長く感じてしまうのですが(育児休暇と取得している夫婦から、育児がなくなると何も残りません)、児童相談所のレスポンスやスケジュール調整は週に1回何か一つを実施するというスピード感でした。
つまり、今週まことの個別面談がある場合は、翌週にすずの個別面談、翌々週に家庭訪問といったスケジュールで1週間で一つ何かが進むという印象です。個別面接の内容の分析や夫婦の言動の整合性の調査等、やることは色々あるとは思うのですが、IT業界等の民間企業で仕事をしていた私たち夫婦が考えるスピード感とは全く異なるものでした。
一時保護は、原則2ヶ月(延長可能)という制度なのですが、このスケジュールで果たして2ヶ月以内に子どもたちが家庭復帰できるのだろうか、私たち夫婦は更に不安になってしまいました。
児童相談所と警察に通報されるまでの話はこちら↓