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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2022 第7ステージ

第6ステージはこちらから

標高2,642mのガリビエ峠、標高2,067mのクロワ・ド・フェール峠、そして最後は実質的に登坂距離4㎞・平均勾配9.45%の激坂フィニッシュ。今年のツール本戦の第12ステージを模した目玉ステージで、総合争いがいよいよ開幕する。


最初のガリビエ峠を経て、長い下りの末に最終的に形成された逃げは18名。

アンドレイ・アマドール(イネオス・グレナディアーズ)
マッテオ・ファッブロ(ボーラ・ハンスグローエ)
ルイスレオン・サンチェス(バーレーン・ヴィクトリアス)
グレゴール・ミュールベルガー(モビスター・チーム)
カルロス・ベローナ(モビスター・チーム)
ブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)
オメル・ゴールドスタイン(イスラエル・プレミアテック)
ドリス・デヴェナインス(クイックステップ・アルファヴィニル)
アンドレス・アルディラ(UAEチーム・エミレーツ)
ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)
トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード)
ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
ヴィクトル・ラフェ(コフィディス)
シモン・グリエルミ(アルケア・サムシック)
ローレンス・ハイス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ケヴィン・ヴォーケレン(チームDSM)
マーク・ドノヴァン(チームDSM)
ピエール・ロラン(B&Bホテルス・KTM)

残り30.9㎞地点の超級クロワ・ド・フェール峠(登坂距離29㎞、平均勾配5.2%)へと至る登りでこの先頭集団もミュールベルガーベローナエリッソンドラフェロランの5名に絞り込まれ、その頂上はロランが先頭通過。

連日しっかりと逃げに乗り続け、手堅くポイントを集め続けてきたロランはこれで山岳賞を確定。2011年ラルプ・デュエズ覇者にしてマイヨ・ブラン獲得者、フランスの未来を嘱望されながらも長くプレッシャーと戦い続けてきた男が、そのキャリア終盤に差し掛かる今、また一つ実績をチームに持ち帰ることに成功した。


そしてメイン集団ではこの登りでグルパマFDJが強力に牽引し、この中でなんとエンリク・マス(モビスター・チーム)が脱落。

昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位。多くの有望選手が去っていくモビスター・チームの中でスペイン人エースとして大きな期待を寄せられている彼だったが、2日前の落車による影響が続いているのか、このタイミングで力なく遅れていくのはあまりにもショッキング。

ツール・ド・フランスに影響が残らなければいいのだが・・・クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは、これが本当に怖い。

さらにマイヨ・ジョーヌを着るワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィズマ)もさすがにここで脱落。予定通り、今日からはログリッチの日となる。


クロワ・ド・フェールからの下りで、先頭5名の中からベローナとエリッソンドが抜け出す。エリッソンドは終始、ベローナに協調するよう働きかけるが、ベローナはこれを拒否。そして最後の2級山岳ヴォジャニー(登坂距離5.7㎞、平均勾配7.2%)に突入するやいなや、登り始めの平均勾配10%区間で一気にエリッソンドを突き放し、ベローナは独走を開始した。

メイン集団でも登り初めから動きが巻き起こる。マイヨ・ブランを着るイーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ)やファンアールト脱落後バーチャル・マイヨジョーヌを着ていた総合2位マッティア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル)も早速落ちていく。もちろんこれも、予定通りだ。

メイン集団の先頭はグルパマFDJのマイケル・ストーラー。その後ろにエースのダヴィド・ゴデュ、AG2Rシトロエン・チームのベン・オコーナー、ログリッチ、ヨナス・ヴィンゲゴー、そしてテイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)の順で連なっていく。

残り4㎞台でのルーベン・ゲレイロ(EFエデュケーション・イージーポスト)のアタックを皮切りにこのメイン集団も活発化。

残り3㎞前後から平均勾配12%超の区間に入っていくと昨年ツール・ド・フランス総合2位のヨナス・ヴィンゲゴーが先頭で強力牽引を開始。ここに食らいついていけたのはベン・オコーナーとログリッチ、ゴデュ、トビアスハラン・ヨハンネセン(Uno-Xプロサイクリングチーム)、ゲレイロ、エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)といった面々。

期待されていた昨年ジロ・デ・イタリア総合2位のダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)や昨年ブエルタ・ア・アンダルシア総合3位ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ゲイガンハート、ブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター・チーム)らは遅れていってしまう。

残り2㎞。さらに加速していくヴィンゲゴーのペースについていけず、オコーナーとログリッチ以外のライバルたちはやや離れていってしまう。

そして残り1.5㎞。ついにここでログリッチがアタック。すぐさまオコーナーは腰を上げこれを追いかけようとするが、あっという間にその差は開いていく。

チームとしても完璧な体制の中、他を圧倒する段違いの加速で総合争いから飛び出していくログリッチ。

ツール・ド・フランス前哨戦の最終総合争い1日目として、全く問題のない「勝ち方」をしてみせた。


但し、ステージまでは取るのは難しかった。残り4㎞時点でなお1分半近くタイム差を残していた先頭ベローナは、ヴィンゲゴーによる加速が始まってからその貯金を少しずつ切り崩していくものの、ログリッチが飛び出した残り2㎞の時点でまだ50秒近く残していた。

残り1.6㎞でそのタイム差は34秒にまで縮まるも、ここで激坂区間は終了。あとは下りと緩やかな登りだけとなり、逃げ切るには十分なタイムをキープすることができた。

当時はコンチネンタルチームだったブルゴスBH出身で、2013年にオメガファルマ・クイックステップでプロデビュー。2016-2018シーズンのミッチェルトン・スコット(現チーム・バイクエクスチェンジ)時代を経て、2019年からモビスター入り。

ここ数年はツール・ド・フランスでの区間3位やブエルタ・ア・エスパーニャでの区間2位、UAEツアーでの総合6位など、着実にその実力を伸ばしつつあった29歳の中堅が、プロ10年目にしてついに掴み取った、プロ初勝利であった。

総合順位でいえば、総合首位ログリッチと総合2位ヴィンゲゴーとのタイム差が44秒。オコーナーは1分24秒差と、ログリッチによる「前哨戦制覇」は秒読み段階となった。

ただ、彼にとって、ステージレースの最終日というのは常に「魔」が潜んでいる危険地帯。パリ~ニースでは辛くもこの魔の追撃を振り切ったものの、最後まで油断できないのは今回も変わらない。

とくに、最も重要なツール・ド・フランスを前にして、怪我などがないようにしてもらうのが肝要だ。


最終日は1級コロンビエ―ル峠(登坂距離11.8㎞、平均勾配5.8%)を経て超級プラトー・ド・ソレゾン(登坂距離11.3㎞、平均勾配9.2%)に至る最終日に相応しい本格難関山頂フィニッシュ。

5年前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ最終日も登場し、総合3位につけていたヤコブ・フルサンが、1分15秒差をひっくり返してリッチー・ポート、クリス・フルームに対して逆転総合優勝を果たした伝説の峠。

今回、ライバルのオコーナーとはそれ以上のタイム差ではあるものの、何が起こるか分からない、そんなステージとなるだろう。


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