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ツアー・オブ・ターキー2022第7ステージ&パリ~ルーベ・ファム2022
2022年4月16日に開催された2レース(ベオグラード・バンジャルカと2クラスのレース、ツール・デュ・ジュラを除く。なお、JCL第1戦「カンセキ真岡芳賀ロードレース」についてはこちらでレビューしています)を振り返る。
ツアー・オブ・ターキー2022 第7ステージ
1週間にわたり繰り広げられたトルコ最大のステージレース。最終ステージは日曜日の第8ステージだったのだが、雨によりレース途中でキャンセルが決定。この第7ステージが実質的な最終ステージとなった。
そして、これは非常に波乱に満ちた1日であった。
基本的には集団スプリントが予想されたステージではあったが、フィニッシュまで30㎞を残した地点にある2級山岳でイスラエル・プレミアテックが隊列を作って集団を猛牽引。そこからエースの総合2位、総合首位エドゥアルド・セプルベダとわずか11秒差のパトリック・ベヴィンが、集団から抜け出した。
このベヴィンに追随したのが、25秒遅れの総合3位ジェイ・ヴァインと、53秒遅れの総合6位ニコラ・エデ。セプルベダを守るドローンホッパー・アンドローニジョカトリは懸命に追走を仕掛けるもアシストは次々と消耗し、セプルベダ自ら牽引せざるをえない事態にまで陥る。
もちろんそうなれば、タイム差は広がる一方、ベヴィンの11秒やヴァインの25秒どころか、残り4.6㎞でタイム差は1分以上に広がり、エデにすら追い抜かれ総合4位に陥る可能性まで見えてきてしまっていた。
だが、最後は先頭で牽制合戦が繰り広げられ、後続でもなんとかスプリント勝利を狙いたいジャスパー・フィリプセンらがペースを上げたことにより、最終的には先頭から41秒差でフィニッシュ。セプルベダはなんとか総合表彰台を守ることには成功した。
そして先頭のスプリント勝負。ときにピュアスプリンターと競うことすらあるベヴィンの圧倒的なスプリント力が、彼に3年ぶりの勝利をもたらした。
そしてそれは、3年前のツアー・ダウンアンダーで、目の前にまでやってきて突然零れ落ちてしまったあの「総合優勝」をついに手繰り寄せた瞬間でもあった。
All In For All-rounder Bevin!
— Israel – Premier Tech / Israel Cycling Academy (@IsraelPremTech) April 16, 2022
We love it when a good plan comes together! Go behind the scenes of @PaddyBevin’s win and learn more about the Kiwi leader.#AllInForBevin #YallaIPT #TUR2022 pic.twitter.com/SJjoNxJSBw
“Everyone is a little bit disappointed about canceling the stage: it would have been great to race through such a beautiful city, but it was an important decision to make for the safety of the riders.”
— Israel – Premier Tech / Israel Cycling Academy (@IsraelPremTech) April 17, 2022
“I am proud to be this year’s winner of the Tour of Turkey.”#TUR2022 pic.twitter.com/GfvRTaPXe3
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パリ~ルーベ・ファム2022
半年前の10月に第1回が開催された「女子版」パリ~ルーベ。今年は男子レースと共に本来の春の季節にやってきて、栄えある第2回を開催した。
大雨と共に、最初の石畳区間からのまさかの80㎞独走勝利となった第1回。そのときの覇者エリザベス・ダイグナンも、これを鬼気迫る勢いで追った女王マリアンヌ・フォスもいない中、晴れ模様の中で繰り広げられた「正統派」パリ~ルーベ女子版の結果やいかに。
最初に動いたのは、今年オンループ・ヘットニュースブラッドとロンド・ファン・フラーンデレンで、もう1人の女王アネミエク・ファンフルーテンを相手に2度勝利している大ブレイク中のロッテ・コペッキー(チーム・SDワークス)。
残り50㎞。最初の5つ星パヴェ区間であるモン=サン=ペヴェルを前にしてアタック。ここにマルタ・バスティアネッリ(UAEチーム・ADQ)、そしてシクロクロスで女子初の「グランドスラム」を達成しているルシンダ・ブラント(トレック・セガフレード)が食らいつく。
同じタイミングで世界王者エリザ・バルサモ(トレック・セガフレード)が後輪パンク。その後、復帰のためにスティッキーボトルを行ったとして失格が言い渡されている。今年ここまでかなり好調で今大会も期待されていただけに、悔しい結末となった。
トレック・セガフレードはバルサモだけでなく、同じくスプリントで勝負できるクロエ・ホスキングも落車で失っている。駒が限られていた彼女らにとって、もはや頼みの綱はこの女だけだった。
エリーザ・ロンゴボルギーニ。昨年も残り20㎞で集団から飛び出したマリアンヌ・フォスを追って唯一食らいつきかけていた実力者。但し、今年はここまでかなり調子が悪く、今回も、決して優勝候補の一人とは思われていなかった部分もある彼女が、残り33㎞で集団から飛び出した。
ルシンダ・ブラントが重し役に徹していた先頭3名はその直前に集団に吸収されており、しばらく難易度の低い石畳が続く「急速区間」と思われていた中での不意打ちだった。すぐさまエレナ・チェッキーニ(SDワークス)とエマセシル・ノースガード(モビスター・チーム)とが追走を仕掛けるが、これはすぐに引き戻される。
残り20㎞の4つ星カンファナン=ペヴェル。90度カーブで落車しそうになりながらも持ちこたえつつ、なおもロンゴボルギーニは独走を続ける。20秒差でこれを追いかけるメイン集団の先頭はシャンタル・ブラーク(SDワークス)。しかし、そのすぐ後ろにエレン・ファンダイク(トレック・セガフレード)が抑え役として貼りついており、コペッキーもその後ろに位置している時点で勝ち目はなかった。
最後の5つ星カルフール・ド・ラルブルを越えてもなお、先頭ロンゴボルギーニとメイン集団とのタイム差は30秒超。
勝敗は決した。
イタリア王者エリーザ・ロンゴボルギーニ。昨年のエリザベス・ダイグナンに続き、トレック・セガフレードに女子版パリ~ルーベ「連覇」をもたらした。
Simply incredible. @ElisaLongoB you are amazing! #ParisRoubaixFemmes
— Trek-Segafredo (@TrekSegafredo) April 16, 2022
📸 Sprint Cycling pic.twitter.com/yaoFzNl75V
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