ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第4ステージ
ブルゴスでの3連戦を終え、カスティーリャ・イ・レオン州からカスティーリャ=ラ・マンチャ州にかけて横断していく移動ステージ。
ラストはわずかな登りスプリントとも言われるこの日、大会2回目の集団スプリントを制する者は?
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逃げは3名。
カルロス・カナル(ブルゴスBH)
アンヘル・マドラソ(ブルゴスBH)
ジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)
この日も山岳ポイントが一切ない集団スプリントステージということで、UCIプロチームだけで構成された3名の逃げは完全に「泳がせ」モード。最大で4分程度のタイム差しか許されず、残り13.5㎞で3人まとめて吸収された。
そして、集団スプリント。
残り3㎞までイネオス・グレナディアーズ、ユンボ・ヴィスマ、モビスター・チームといった総合系チームが先頭を支配し続け、3㎞を切った後に集団中ほどでマイヨ・ロホを着るレイン・タラマエが単独落車。幸いにも、救済措置が適用される残り距離だったため、マイヨ・ロホを失うことはないが、大きな怪我がなければいいのだが・・・。
残り1.5㎞。アルペシン・フェニックスがアシスト2枚でジャスパー・フィリプセンを率いながら先頭へ。その後ろにはグルパマFDJ。
残り1㎞。緩やかな登りが始まるとともに、一旦アルペシンとグルパマが抜け出す形に。しかしフィリプセンもすでにアシストが1枚しか残っておらず、そのまま前の方にいるのはリスクと判断。
2枚のアシストを残していたデマールの番手を取ることにした。
残り300m。FDJがなおもアシスト2枚。その最後尾につけたデマールの後ろに、マイヨ・プントスを着たフィリプセン。
そしてフィリプセンの後ろから一気に加速したアシストのサッシャ・モドロが、FDJ3名も追い抜いて先頭に躍り出る。
そのままさらなる加速を見せるモドロ。このままフィニッシュに突入してもFDJが盤石すぎるトレインで勝利するだろうし、かといってこのタイミングでフィリプセンを直接アシストはできない。
ならば捨て身の早駆けでFDJのペースを乱し、フィリプセンの勝機を生み出す――そんな思惑で飛び出したモドロだったのが、後ろを振り返ると、フィリプセンがデマールの番手から零れ落ち、ポジションを下げてしまっている。
「マジかよ!」そんなモドロの心の叫びが聞こえるかのような瞬間。だが、そうなればもう自ら行くしかない。アクセルを踏むモドロだが、しかし、元々勝つためではない無理のあるタイミングでのスプリント。
残り150mでモドロはさすがに崩れ落ち、代わって先頭に飛び出したのは、アルノー・デマール。
しかし、やはりモドロの撹乱は、FDJを崩すという意味では成功していたのか。
残り300m時点でアシスト2枚を残しており完璧な状態だったはずのデマールだが、結局は残り150mというちょっと早めのタイミングで自ら仕掛けざるを得なくなっていた。
そしてその背後についていたのはフィリプセンではなく、コーナーのイン側を潜り抜けて見事にデマールの番手に入り込んでいたファビオ・ヤコブセン。
残り75mまでしっかりとデマールのスリップストリームに入り込めていた彼が、最高のタイミングで、最強の足を見せつけた。
前日も目の前のマシューズによって進路を阻まれて遠回りをせざるをえなかったがゆえにフィリプセンに敗れてしまったヤコブセン。その実力は、決して負けてはいなかった。
ファビオ・ヤコブセン。昨年のポローニュでの命の危険すらありうる落車から1年。
完全復活とも言うべき勝利を、掴み取った。
結局フィリプセンは9位に沈む。
そして第2ステージでは早々に脱落してしまっていたデマールとそのチームは今日は完璧な仕事ぶりであった。
第2ステージではアシストに回っていたトレンティンがこの日は緩やかな登りスプリントだったからか今日はチームの先頭でフィニッシュし8位。フアン・モラノは18位だった。
第1週に待ち受けるスプリントステージはあと2つ。
果たして、最強スプリンター争いの行方は。
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