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サウジ・ツアー2022第2ステージ&エトワール・ド・ベセージュ2022第1ステージ&ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2022第1ステージ

寝不足の日々がいよいよ始まる。

昨日から始まったサウジ・ツアーの第2ステージに加え、今日からは南フランスを舞台としたエトワール・ド・ベセージュ、そしてスペイン・バレンシア州を舞台とした今年最初のプロシリーズのレース、ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナの第1ステージが開催される。

それぞれのレースについて、以下軽く触れていこう。


サウジ・ツアー2022 第2ステージ

第1ステージはこちらから

第2ステージはタイバ大学からアブー・ラカまでの163.9㎞丘陵ステージ。フィニッシュに10%近い勾配の登りが用意されたパンチャー向けステージで、スプリンターがこなせるかどうか微妙なところであった。

逃げは3名。昨日と同じマーティン・ウリアンスタッド(ノルウェー、22歳、Uno-Xプロサイクリングチーム)とポリクロニス・ゾルタキス(ギリシャ、33歳、クウェート・プロサイクリングチーム)の2人に加え、昨日逃げたモードシャルール・マットアミンと同じトレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチームのイェロン・メイヤース(オランダ、29歳)。

そしてこの日も2つあるスプリントポイント、そして最後のボーナスタイムポイントのすべてをウリアンスタッドが先頭通過。「アクティブ賞」というおそらくは中間スプリントポイントでの得点で得られる特別賞ランキングにおいて、ウリアンスタッドが首位を走ることになっているようだ。


残り22㎞。ボーナスタイムポイント前の登りでゾルタキスが脱落し、ウリアンスタッドとメイヤースの2人だけとなった先頭。

その後残り13.2㎞でウリアンスタッドも集団に捕まり、メイヤースだけが単独で残る。

これも間もなく捕まえられて、残り7㎞でクウェート・プロサイクリングチームのジェイド・ジュリアス(南アフリカ、28歳)が果敢な飛び出しを見せるがすぐに捕まえられて、いよいよフィニッシュの登りへと近づいていく。


ラスト1.5㎞から始まる激坂。前日のスプリントで2位につけこの日はポイント賞ジャージを繰り下がりで着ていたマーティン・ラース(ボーラ・ハンスグローエ)もアシストに徹し、本格的な登りの前に脱落していく。

それでも、総合リーダージャージを着るカレブ・ユアンはチームメートたちに助けられながら集団の前方に。過去UAEツアーのハッタ・ダムの登りフィニッシュでも勝ったことのある彼にとって、この日もチャンスであることには間違いない。

ただ、残り1.1㎞で集団からサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、22歳、バーレーン・ヴィクトリアス)がアタック。ここにダニエル・オス(イタリア、35歳、トタルエナジーズ)が食らいつき、クイックステップ・アルファヴィニルが支配する集団からはアンドレア・バジョーリ(イタリア、22歳)が飛び出して先頭の2人に追い付く。

さらにバジョーリが先頭に立ってペースを上げるとオスが脱落。集団内ではユアンが前から4番手に位置しており悪くないものの、すでにバジョーリたちとのギャップはかなり大きくなっており、これは追いつけない。

勝負はバジョーリとブイトラゴに。スプリント力ではバジョーリが上手かと思ったが・・・うまくバジョーリを使って足を貯めていたブイトラゴと、昨日落車したダメージがもしかしたら残っているかもしれないバジョーリとの対決は、最後にバジョーリが諦めてブイトラゴに軍配。

22歳コロンビア人。プロ3年目。近いうちに花開くと思われていた才能が、順調に実力を伸ばしついにプロ初勝利を飾った。

バジョーリは2位。そして追走集団の先頭を獲って3位に入ったのがUno-Xプロサイクリングチームのネオプロ(昨年はUno-Xの育成チームに所属)、アントン・チャーマ。昨年もツアー・オブ・ターキーとかで頑張っていた有望クライマーである。

総合はもちろんブイトラゴだが、ユアンもしっかりと7秒差6位で食らいついたため、総合でも7秒差の総合2位。ただ、この先第4ステージがより本格的な登りのため、さすがに厳しいか。

なお、バジョーリは第1ステージの落車で大きくタイムを失っており、総合ではすでに脱落している。期待していただけに残念。

明日の第3ステージは再び平坦ステージ。カレブ・ユアンの2勝目か、それともディラン・フルーネウェーヘンやフェルナンド・ガビリアがこれを奪い取るか。


エトワール・ド・ベセージュ2022 第1ステージ

「ベセージュの星」を意味するこのレースは、その名の通りマルセイユ北西200㎞弱に位置する都市ベセージュを中心に、南仏ガール県を巡る5日間のステージレースとなっており、「ツール・デュ・ガール」の名でも売り出している。世界遺産の水道橋「ポン・デュ・ガール」で有名な地域である。

全体的には平坦が多めで、短い登りを含む個人TTがあることも特徴。クライマーというよりはパンチャーやオールラウンダーに有利なステージレースと言える。

ただし、この地域はミストラルと呼ばれる地中海から吹く風が悪さをすることもしばしば。そして開幕ステージとなったこの日も、そのミストラルがレースを大きく破壊した。

正直、ちゃんとは見れていなかったため状況は良く分からない。ただ、先頭にはリチャル・カラパスやグレッグ・ファンアーヴェルマートなどを含む20名ほどの有力集団が抜け出し、これをティボー・ピノなどが含まれる追走集団が30秒前後を維持しながら追いかけっこをする展開。

結局、この秒差は縮まることなく、勝負は先頭集団の中で決することに。


そしてラストは10%弱の短い登りスプリント。トタルエナジーズはピエール・ラトゥールのアシストを受けながらクリス・ローレスを発射させるが、その後ろに先日のグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ2位のマッス・ピーダスンがしっかりと食らいつく。

そして残り200mでローレスを突き放してピーダスンが一気に加速。最後は2位以下に1秒差をつけてチームに今季初勝利をもたらした。


ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2022 第1ステージ

マヨルカ・チャレンジの舞台マヨルカ島の対岸に位置する、スペイン東岸のバレンシア州を舞台とした5日間のステージレース。

元々は1クラスのレースだったが、2020年からプロシリーズに昇格。今シーズン最初のプロシリーズレースとなった。

第1ステージから早速山岳まみれの実にスペインらしいコース。とはいえ、さすがに序盤戦ということもあり集団は落ち着いた様子。逃げはダビド・ゴンサレス(スペイン、25歳、カハルラル・セグロスRGA)、ヘスス・エスケラ(スペイン、31歳、ブルゴスBH)、ジョアン・ボウ(スペイン、25歳、エウスカルテル・エウスカディ)、イバン・モレノ(スペイン、25歳、エキッポ・ケルンファルマ)、そしてかつてはキャノンデールやディメンションデータでも走っていたベンジャミン・キング(アメリカ、32歳、ヒューマン・パワード・ヘルス)の5名。

残り32㎞ですべて集団につかまえられ、そのあとも一度、シャビエルミケル・アスパレン(スペイン、22歳、エウスカルテル・エウスカディ)が果敢に飛び出したりもするが、結局は20㎞近く集団が先頭のままゆったりと展開が進んでいく。

だが、残り10㎞。最後の登りが始まったところで、バーレーン・ヴィクトリアスが集団先頭を強力に牽引し始め、一気に集団が絞られていく。

さらには残り5㎞からはモビスターのアシストが先頭に立ち、さらなるペースアップ。バーレーンはエースのペリョ・ビルバオ一人になり、集団の先頭付近には、過去このレースで3回総合優勝しており、先日のマヨルカ・チャレンジでも早速勝利して今年も絶好調のアレハンドロ・バルベルデが控えており、誰もがその存在に注目。

そんな中、アタックを繰り出したのが、アントワン・トールク。昨年までユンボ・ヴィスマ、今年からトレック・セガフレードに移籍してきた27歳の元・若手。個人的にはずっと期待している男の一人が、強烈な飛び出しを見せる。

さらにこれに追随していったのが、今年からイスラエル・プレミアテックに移籍しているヤコブ・フルサン。だが、これらの動きはしっかりと集団が引き戻しにかかり、集団先頭がやや混乱し始める。

その隙を突いたのが、この男であった。

こういうタイミングで絶対に逃がしてはいけない男、レムコ・エヴェネプール

だが、集団はバルベルデを警戒したのか? お見合い状態となり、エヴェネプールの先行を許してしまう。

先日のマヨルカ・チャレンジでも2位に入り込んでいた好調のアレクサンドル・ウラソフが単独で追走を仕掛けるが、登りもすでに終わっており、世界トップクラスの独走力を持つエヴェネプールを捕まえることは誰にも不可能なことであった。


昨年はジロ・デ・イタリアでの復帰戦と2週目の苦戦、そして世界選手権でのゴタゴタなど、ネガティブなイメージも多かったレムコ・エヴェネプール。

今年はブエルタ・ア・エスパーニャに挑戦することを宣言しており、その意味で重要なスペインでのこのデビュー戦を、いきなり勝利で飾ることに成功したエヴェネプール。

今年は再び大成功の年にしていきたい。

2位にはそのままウラソフが入り込み、3位には昨年のツール・ド・ラヴニール総合2位、イネオスの若き才能のカルロス・ロドリゲス。

4位以下もトップクライマーたちが中心に名を連ねており、いずれも今シーズンの活躍が楽しみになる。


このままエヴェネプールが第2ステージ以降もこのリードを保って行けるか。

ただ、クイーンステージとなる第3ステージには結構激しいグラベル区間も用意されているため、果たしてそこでどんなドラマが待ち構えているのか・・・。

バルベルデも活躍した1月のレースについてはこちらから


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