ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第4ステージ
オランダ3連戦を終え、移動日を挟んでいよいよプロトンはスペインに足を踏み入れる。その初日はいきなりのバスク地方。アラバ県のアップダウンステージに最後は登坂距離800m・平均勾配10%の激坂パンチャー向けフィニッシュとなっている。
逃げは6名。
アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ジェームス・ショー(EFエデュケーション・イージーポスト)
アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・プレミアテック)
ジャラド・ドリズナー(ロット・スーダル)
アンデル・オカミカ(ブルゴスBH)
ジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)
最大で3分程度のタイム差を許された6名は、残り89㎞地点の今大会最初の2級山岳プエルト・デ・オパクア(登坂距離5㎞、平均勾配6.9%)はジョアン・ボウが先頭通過し、一気に山岳ポイントを5ポイント獲得。ボウが新たに山岳賞ジャージ(マイヨ・モンターニャ)を手に入れることに。
残り60㎞を切って少しずつ先頭から脱落する選手たちが出てきて、残り34㎞地点の中間スプリントポイント直前では先頭は3名に。ショー、デマルキ、ルツェンコの順でスプリントポイントを通過していき、マイヨ・プントス争いの4位以下ではマッス・ピーダスン、サム・ベネットの順で通過していった。
そして直後にすべての逃げが集団に吸収。先頭は一つのまま、残り22㎞からの3級山岳プエルト・デ・ヘレラ(登坂距離6.6㎞、平均勾配5.2%)の登坂が開始される。
この登りでトレック・セガフレードが一気にペースアップ。集団からはマルク・ソレルやロベルト・ヘーシンク、この日の優勝候補だと思われてもいたコロンビアチャンピオンジャージのセルジオ・イギータやイーサン・ヘイター、さらには総合上に入る可能性もあるかもしれないと思われていた若手最有望選手の一人フアン・アユソーすらも、この登りで遅れる姿が。
ボーナスタイムポイントも設定された3級山岳の山頂ではジュリアン・アラフィリップが加速して狙いに行くが、これに追随したプリモシュ・ログリッチが追い抜いて先頭通過。ボーナスタイム3秒を獲得する。
その後は下りでレムコ・エヴェネプールが加速する場面もあったが決定的な分断は巻き起こらず、ラストの激坂勝負へ。
モビスター・チームやエステバン・チャベス、レムコ・エヴェネプールも集団の前の方に陣取りながら互いに様子見。プリモシュ・ログリッチも前方でしっかりと勝利を見据えている。
最初にここから抜け出したのが、シーズン冒頭で激坂フィニッシュを制してもいるマッス・ピーダスンを牽引するケニー・エリッソンド。
しかしログリッチもしっかりとこの後輪を掴んで離さない。残り200mでホームストレートに突入するとエリッソンドは力尽き、ログリッチがここでピーダスンの背後から飛び出して加速を開始した。
追随するピーダスン。しかしさらに加速していくログリッチに、並ぶところが後ろについていても少しずつ突き放されていくピーダスン。その背後にはエンリク・マスもいるが、こっちはさらについていけずに離されていく。
最後は圧倒的。ツール・ド・フランスのタデイ・ポガチャルを見ているかのような寄せ付けなさで、ログリッチがスペイン本土初日にしっかりと勝利を掴み取った。
タイム差はつかなかったがボーナスタイムはフィニッシュとボーナスタイムで合計13秒を多くのライバルたちから奪い取る。マイヨ・ロホも獲得し、史上初の4連覇に向けての第一歩を踏み出した。
マッス・ピーダスンはこれで3日連続の2位。ツール・ド・フランスではその翌日にワウト・ファンアールトが見事逆襲を果たしていたが、ピーダスンは果たして。
そしてこの日期待されていたジュリアン・アラフィリップは50位以下に沈み、彼を最後探していた様子のエヴェネプールも8位と、最初から自ら勝利を狙っていたらどうなっていたかは気になるところである。
バスクでの戦いはさらに続く。5つの山岳ポイントが用意されたスプリンターお断りの中級山岳ステージで、最後の山頂はラスト14㎞地点。果たして生き残った登れるスプリンター系が勝利するのか、それとも最後の登りで抜け出したアタッカーが勝利するか、はたまた今大会初の逃げ切り勝利が見られるか。
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