JCL2022第1戦「カンセキ真岡芳賀ロードレース」
日本国内ロードレースシリーズの1つ、ジャパン・サイクル・リーグ(JCL)プロロードレースツアー2022第1戦となる「カンセキ真岡芳賀ロードレース」が、栃木県真岡市で開催された。
田園風景の広がる開けた土地では強い横風が、そして林道の中では小刻みなアップダウンがそれぞれ選手たちを苦しめるサバイバルな展開となった。
スタートリストはこちらからhttps://jcleague.jp/c8653a9735f1aae986682c4e3d8f7ec4b676b35b.pdf
1周7.2㎞の周回コースを全18周。全長129.6㎞。
出入りの激しいアタック合戦の結果抜け出したのは4名。
阿部 嵩之(宇都宮ブリッツェン)
小石 祐馬(チーム右京・相模原)
谷 順成(那須ブラーゼン)
バトムンク・マラルエルデン(レバンテフジ静岡)
これを12秒差で追いかける8名の中にはトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、ライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)などの強力なメンバーも含まれていたが、なかなか先頭4名を捕まえられない。
ルバは残り12周(91.2㎞)の段階でパンクに見舞われて後退。さらにカバナがハイ・ペースで追走集団の先頭を牽いていき、少しずつ追走集団から選手が零れ落ちていき、残ったのは新城 雄大(キナンレーシング)、カバナ、宇賀 隆貴(チーム右京・相模原)、西尾 憲人(那須ブラーゼン)の4名。
残り11周(79.2㎞)で追走集団の中のカバナがほぼ一人で牽引し続けた結果、ついに先頭4名を捕まえて先頭集団は8名に。
2年前のツール・ド・台湾でも総合2位になっているオーストラリア人の26歳ライアン・カバナ。元セントジョージ・コンチネンタルサイクリングチーム所属で今年からヴィクトワール広島に新加入。強力な助っ人外国人は、今年の広島をより高い位置につける手助けをしてくれるか?
先頭8名のまま残り距離を消化していく。メイン集団では宇都宮ブリッツェン、キナンレーシング、スパークル大分あたりが牽引する姿を見せている。
先頭8名の中では宇都宮ブリッツェンの阿部が徹底的にローテーションを拒否。メイン集団に増田成幸や小野寺玲といった強力なエースを抱えている中で、戦略的に消極策に出ることを選んだ阿部。これで集団が追いつけずに終われば、その肩身はあまりに狭くなる。
阿部にとっては幸いなことに、最大で2分近くまで開いていたタイム差も少しずつ縮まっていく。メイン集団もかなり数を減らしながら残り2周(14.4㎞)の段階で26秒差。メイン集団もすでに17名しか残っておらず、その中でも増田と22歳の新加入・宮崎 泰史のブリッツェンコンビが積極的に牽引。
残り1周(7.2㎞)に突入した段階で、そのタイム差はついに20秒を切って19秒差にまで縮まっていた。
先頭ではカバナの積極的な加速でさらに絞り込まれ、残っているのはカバナ、谷、小石、阿部の4名だけ。
そこに、トマ・ルバ(キナン)と増田(宇都宮ブリッツェン)が先頭を牽くメイン集団が一気に近づいてきて、コース前半の直線路でついに先頭4名を捕えた。先頭は11名に。
そこから後半の林の中の下りで小石(チーム右京)がアタック。集団の中に残るスプリンターの小野寺玲とまともな勝負をしたくない彼にとって、ここで抜け出すことは勝利の必須条件。
だが、その飛び出しを許さないのが増田。先ほどまでずっと仕事をしていたにも関わらずすぐさま小石に飛びつき、貼りついた。
さらに後方からはキナンの元全日本王者・畑中が飛び出してきて、小野寺がしっかりとこれに食らいつく。
先頭4名。最後の平坦路でVC福岡の20歳(!)渡邊 諒馬も単独で追い付いてきて、先頭は5名。
最後はこのままスプリント勝負に持ち込まれるか――と思った中で、残り500mで増田がさらにアタック!
これに反応したのが畑中。小野寺もすぐさま食らいつき、最後は畑中も、さらには増田すらも差して、さすがのスプリント力にてロードレース初優勝!
地元栃木にて、宇都宮ブリッツェンは見事なワンツーフィニッシュを決めることとなった。
とにかく、増田が強すぎた。チームのために全力を尽くしたうえで、2度、3度と仕掛け、展開の主導権を握り続けた。さすが、直近のアジア大陸選手権でTT・ロード共に2位を掴み取っている男。国内最高峰のライダーであることを見事証明してみせてくれた。
そして、その増田の働きに応えるようにして、重要なポイントで常に強豪・畑中の動きに食らいつき続けてチャンスを掴み取った小野寺もさすがである。明日は得意の宇都宮クリテリウム。引き続き力を見せつけられるか。
ヴィクトワール広島新加入のライアン・カバナも、日本人を凌駕するパワーを常に見せ続け、展開を作ってくれた。レバンテフジ静岡に加入したモンゴル人のバトムンク・マラルエルデンと共に、外国人選手として日本のロードレース界を盛り上げていってほしい。
相変わらず魅力的な中継映像と共に、様々なチャンスを続けてくれているJCL。今後も、見られるレースは積極的に見ていき、レポートも書いていけたらと思う。
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