両親との夕食時に苦しんだ話
両親との夕食時、父は無心でテレビに見入っていた。
母はそこに居なかった弟のモノの考え方が心配である、ついては私に教育してはくれないかと持ちかけてきた。
「もうアイツもいい年なんだから、今更啓蒙したって・・・」
私は母に諦めるよう説得を試みようとした。
「ケイモウって?」
母がイノセントに訪ねる。
しまった、そこからか。
若干の面倒くささに、私は父に助けを求めた。
「パパ、啓蒙ってわかるよね?」
テレビに奪われていた父の意識を無理やりこちらに向けると、父は何故か気まずそうに言った。
「おう・・・知ってるけれど」
「ママに説明してあげて」
「そりゃあ、オマエ・・・、毛を剃ることだよ」
父よ、それは「剃毛」である。
私だけが米粒を鼻腔内に詰まらせ、苦しむ様子を両親は不思議そうに眺めていた。