【⚽️日本サッカーを愛そう】ヤットさんが緊張しない理由。
ジュビロ磐田がJ2とはいえタイトルを獲得した。
そりゃJ1と比べてレベルの違いはあるけれど「嬉しい」という気持ちと「貴重な成功体験」に遜色はない。
てことで今年一年は本当に良いものをたくさん見ることが出来た。その中の一つが遠藤保仁選手の凄さ。
今シーズンの磐田は遠藤のチームだったかと言われれば多くの人が「それは違う」と言うだろう。
ただ一方で、遠藤の影響を受けたかと言われれば「それはそう」と納得する人が多いのではないだろうか。
てことで今回は、
遠藤選手の凄さ、それから納得の正体を自分なりに分析してみたい。分析というと堅っ苦しいけど「そう言われればそうかも」ぐらいのやつを気軽に噛み砕いて整理するのがこのnote。
ぽっかりと穴の開いたオフシーズン。優勝の余韻に浸りつつお茶でもすすりながら読んでもらえれば嬉しい限り(笑)。
キーワードは仰々しいぞ。「信頼」と「緊張」だ。
■「信頼」
サッカーはメンタルのスポーツと言われるがこれに関しては僕もそうだと思う。
前掛かりになれば裏を取られる。裏を恐れれば前線は孤立しゴールは遠くなる。これが個人なら打開の芽も見えようが、チームでとなれば非常に難しくなる。しかもサッカーは45分間常に流動的でそのきっかけも掴みにくい。
これは2-0が最も危険なスコアという通説にもよく表れている。
人は2-0になると気持ちが保守的になる。今日は勝てそうだ、という気持ちが無意識にそうさせているかもしれない。それはドローのリスクがある1-0とは明らかに違う。その瞬間、重心位置が後ろに変わり選手間の連携はとたんに脆くなる。
相手チームの心情も大きく関与する。
0-1ならまだ2失点目への恐怖は残るが、0-2になれば2失点も3失点も同じだ。退路を断って前に行くしかなくなる。これが往々にして功を奏す。選手間の連携はとたんに活発になる。そして1点返せれば自信が付く。まるで別のチームのように生き生きとしてくるわけだ。
つまりサッカーというのは、裏のリスクを理解しつつもどれだけ前に出られるかというのが基本原則で、それをチームとして実行出来るか否かが強さだったりする。
その場合にとても大事になってくるのが「信頼」。
そして、
その「信頼」という概念を今のジュビロ磐田に植え付けたのが他ならない、遠藤保仁である。
■ヤット哲学
ヤットさんの哲学として「ボール失わなきゃいいんでしょ」というのがある。
(これについては【PLAYBACK Jubilo】で山本康裕選手が3’30ぐらいで語っているので必見!)
百戦錬磨のレジェンドが言葉にして体現すると、こうも変わるのかというぐらいジュビロは見違えた。
ボール保持していてもワイパーのように最終ラインの両サイドを行ったり来たりするだけでほとんど人数が掛けられず、バックパスのたびにため息がでたあの頃とはまるで違う。
政一監督は「プレーの質。判断の質。」という言葉を繰り返し発していた。タイトな局面でのボール保持においてとても大切な要素だと思う。ただこれは、どうやら選手の能力のみに依存しているわけではない。
恐らくそれの多くは日々のトレーニングで醸成されるもので、こういう時この選手はここにいてくれる。という信頼関係がワンタッチパスの判断とパスの質を高めている。
マインドと、戦術と、それらを選手に腹落ちさせる現場力と、それを醸成する日々のトレーニングが織りなって75得点は産まれた。
山田大記選手、小川大貴選手、山本康裕選手の三角形による華麗なワンタッチの剥がしを見ていて僕のネガティブな先入観は音を立てて崩れていく。
2年前まで何かから逃げるようにバックパスを繰り返していた選手たちだ。
大事なのはテクニックだと思っていたが違う。「信頼」なのだ。
■「緊張」
ヤットさんの哲学の中で僕が最大にして最高と思うのが「サッカーで緊張したことがない」というもの。
一方でこんな意見もある。
決してヤットさんに向けられたものではありませんが、茂木さんの意見は一理ある。
昔プレゼン講師の先生が人前で緊張しないコツは「どうせ自分の話なんて誰も聞いていない」ぐらいの気持ちでやることだと言っていた。
ではヤットさんが緊張しない理由は、求められるレベルを低く見ているからか、そもそも頂点を知らないからか、と言われればそんなことは無いだろう。
では何なのか。少し詳しく。
■雨が降った時、何と思うか。
世の中にある成功本のなかで、僕が最も「なるほど」と腑に落ちたのがこれ。
僕これね、大好きなんですよ。
どういうことかと言うと、
成功する人(運を掴む人)というのは真理のみを明確に見ている。言い換えると、僕らの中に芽生える余計な感情が本来見るべきものを見失わせて、失敗している(運を見過ごしている)、ということ。
人付き合いでも仕事でも同じことが言えます。
起きた問題のほとんどは感情がスパゲティのように絡み合って複雑に見えているだけで、原因は実はとてもシンプルだったりします。
課題解決能力が高い人は、余計な感情を排除してこの真因にリーチすることに長けているのです。
雨が降った時、僕らのほとんどは「えーまじかよ」と思う。「めんどくせぇ・・」とネガティブな感情が芽生える。「お気に入りの靴が汚れる」とショックを受ける。「晴れるって言ったのに!」としまいには怒りだす。
しかし、
恐らくヤットさんは「今日は雨か」としか思わないのではないか。つまり典型的な課題解決能力が高い人、運を掴む人、成功する人なのだと。
■来年のJ2
J1から4チームも落ちてきて、山形、町田、千葉など終盤好調だったチームは監督も残りました。大木さんの熊本も強そうですし・・・あぁ本当に今季昇格できてよかった。
もし昇格できなかったらと思うとドキドキが止まりません。
しかし、
ヤットさんはこんな風に捉えるんじゃないかと思うんですよね。「来年も昇格枠は2。例年通り。」
雨が降った時「雨が降ったのか」としか思わない。昇格を賭して戦う時「2枠に残れば昇格」としか思わない。
事実だけを見て、余計な感情を排除する。
これがヤットさんの緊張しない理由。そして、何かを成し遂げる人の条件。
■失敗を恐れない。それも現実。
こういう言葉をどこかで目にしたわけではないけれど、ヤットさんを見ていると緊張しないどころか失敗を恐れていないように見えてきます。
いわゆる飄々(ひょうひょう)としているあの感じ。
失点してしまった時、「それも現実」と捉え、更に「終わった時に相手より多く点を取っていること」が出来ていれば勝ちでしょ。と言わんばかりに。
来シーズン、チームとしては再挑戦の年になります。J1が今年のように上手くいかないことは誰よりも知っているでしょう。課題も出てくるだろうし、失敗もすると思います。
そんな時、仲間を「信頼」し、起こっていることの真理を捉えて「緊張」せずに振る舞えるか。
(これを書いている12/7時点では契約更新が分かっていませんが)来年もヤットさんの確固たる哲学に触れられることを期待して、我々もチームを信頼したいと思います。
ただし、サポは緊張はします(笑)。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!