【週刊ユース分析】静岡学園vsジュビロ磐田U-18を現地観戦してきたぞ!!
6/18。ついに、念願かなう。
これまで無観客だったり、ジュビロ磐田がWEST所属になったこともあり(私の住む)関東では試合が無くなったりと、なかなか適わなかった高円宮杯プレミアリーグの現地観戦。
今回、ジュビロ磐田が400名限定の有観客(無料)を決行してくださり、しかも静岡学園が相手ということで全国のファンが見たいであろう年代最高峰の静岡ダービーをこの目で目撃するため、はるばる磐田まで遠征することに決めました。
父の日に独りで!!(笑)
試合経過や戦術的な考察はゲキサカさんや木曜Footさんや他の皆さんに任せるとして、
今回は自分なりに、現地ならではで感じたことを書き記してみたいと思います。かなり良いモノを見させてもらったので長文ですけど、
皆さんの興味に触れられれば幸いです。
■「ゆめりあ」の空気
いいっすね。
チケットを買って入場するスタジアムの重厚感とは一味も二味も違う、ちょうどいい緩さ。
簡易的なスタンドからグラウンドはすぐ目の前。少し目を凝らせば”オレたちの”前田遼一監督がすぐそこに。
写真には収められませんでしたがスタンドに辿り着くまでに鈴木政一前監督がどなたかと立ち話している横をすり抜けましたし、
静学の井田総監督のすぐ後ろを歩くという貴重な経験もさせていただきました(笑)。
アマチュアの試合であるという親近感と、ロマンが充満して今にも破裂しそうな緊張感とのアンバランスが、何とも言えない熱気を醸し出しています。
プロスポーツはエンタメである!と言い切る僕にとって「じゃぁこれは何なの?」と問われると、清々しいほどちょうどいい言葉が見つからない。
開き直って言わせてもらうと、この掴みどころのない雰囲気こそがユース現地観戦の魅力かもしれない。
お金を払わずに見ることが出来るけど、お互いのチームのエンブレムはプロと何ら変わらない威厳がある。
ゆめりあはそんな空気に包まれておりました。
■本日のスタメン
GKには森脇勇人選手。ガンバJY出身とくれば相手10番の高橋隆太選手とゴリゴリの同級生。
ディフェンスラインでは松田選手がキャプテンマークを付け、鹿児島キャンプにもいた塚田選手とコンビを組みます。
両サイドは磐田が誇る2年生コンビ伊藤選手と李選手。
DMFには亀谷選手と野口選手の両テクニシャン。
OMFには竹田選手と代表歴もある2年生の鈴木泰都選手。
トップはエース伊藤猛志選手と、久々のスタメン後藤選手となりました。
どのポジションも個性的で、強い静学相手にもかなりやってくれるんじゃないかと期待できる布陣でしたね。
静学もガチメンバー。
先日発表されたU-18代表の3選手(GK中村選手、DF行徳選手、MF寺裏選手)もきっちりスタメンですし、当然10番高橋選手、9番神田選手、6番白井選手も名を連ねます。
相手ながらすげー豪華。2種年代最高峰感がハンパないっす。(羨ましいだろー(笑))
■試合経過①(虫唾)
試合は序盤から学園がボールを握りますが磐田も連動したハイプレスがかなり効いていました。
学園の最終ラインが何度か伊藤猛志選手や後藤選手に引っかけられるシーンがありスタンドからは「学園らしくないな・・・」という声がちらほらと。
それだけ磐田のプレスは強烈だったと思います。
前線だけではありません。12番竹田選手や8番亀谷選手など中盤でもインテンシティの高さを見せていました。
ただ、
奪ってからの質があまりよくなく、決定機は作れず勿体ないシーンが続きます。
そうなってくるとこの男が一矢を放つわけです。
現地に居た方ならわかってくれると思うんですが、
高橋選手が完璧な彼の間合いで仕掛けたとき、2ステップ目ぐらいで「あ、これはやられる」と虫唾のようなものが走るんですよ。
そんで会場全体がざわっとした時に、先制点を許しました。
失点シーンだけを切り取ると森脇選手のキャッチミスは否定できませんが、何というかそのかなり前からフラグは立ってたんですよね。
だからこのシーンは”ミスの失点”というより、”高橋くんの間(ま)だった”と表現した方がしっくりくるなぁ、と。
目の前で投げキッス付きの派手なセレブレーションをしてくれましたけど・・・さすがに撮れませんでした(笑)。
撮っとけばよかった(本音)。
■試合経過②(粘り)
学園は先制してから明らかに動きが良くなりましたね。
一緒に観戦したHOTさん曰く「この時間 学園臭がすごい」(笑)。
確かにその通りでした。迷いない推進力と正確なワンタッチパスで躍動します。
磐田ファンなので当然「くっそー」とか、「あぶねー」とか思うわけですけど、心のどこかに「(静学は)これこれー!」みたいなワクワク感もあったりして。
しかし、
この時間で見たものが今シーズンの磐田U18の真骨頂だったかもしれません。
何度か侵入されますが絶対についていくんですよね。ゴールラインぎりぎりまで気を抜かずに。絶対にフリーにはさせない強い意志を感じました。
高橋くんや寺裏くんはそれでも上手いので投げ出された足をかわしてクロスを上げるのですが必然的に緩いボールになり、これは中にいる松田くん、森脇くんの想定内。
前半終盤を1失点で耐え凌ぎ、(今思えば)後半逆転の準備が整いました。
■試合経過③(騙し)
前半から球際の強さを見せてボール奪取は出来ていたものの、前線の良い連動はほとんど見れておらず、
久々スタメンの後藤啓介くんはどんな心境だろうかと(大人たちが一方的に)案じていたところ、ついにやってくれました。
学園の両CBに疲労が見られ、磐田2トップとの走り合いを嫌がっているように見えたとき、ついに後藤くんが裏取りに成功します。
後藤くんは高さが注目されがちですが、足も長いし体の入れ方も器用なのでCBからすると本当に嫌な相手だと思うんですよね。そして足も速い。
そんできっちり走り勝って「ドンッ」・・・と誰もが思ったらまさかのパス。猛志くんも慌てたように一瞬見えましたが(笑)きっちり決めてくれました。
解説の石神さんも苦笑してましたが、会場全体が騙されましたね。
見事な2トップの仕事でした。
■試合経過④(監督の愛)
反撃ムードが高まったところでいよいよ舩橋くんの投入です。
磐田からすればゲームプラン通りでしょう。代わるのは猛志くんと後藤くんのどっちだろう?・・・んん?サイドハーフの泰都くん!?
なんと、後藤くんまさかのサイドに移動です。
これには驚きました。現地で見ていると目の前なのでよくわかるのですが学園のサイド攻撃は超強烈ですよ。
泰都くんや伊藤稜介くんがこの蓋役を必死に努めていて、それだけでどんどん体力を消耗していく様を目の当たりにしたのですが、
ここで後藤くんにそれやらせるのかー!と、前田さんの強めの愛のムチを認識(汗)。
しかし、これが逆転に効きましたね。
後半43分。自陣の最終ラインから誰よりも早く反応して17番が逆サイドを駆け上がります。
そして、舩橋くんのシザースからの左足一閃。
説明不要ですが逆サイドに選手がいるのといないのとでは全然違う。ドローではなく勝ち点3と取りに行った前田監督の”舩橋投入”と”後藤残し”。
見事に実を結んだ「超気持ちいい」瞬間でした。
■改めて語りたい選手たち
ゴールを決めた猛志くん、舩橋くんはもちろんですが、僕がこのゲームを見ていてすごく良いなと思った選手を改めてピックアップしたいと思います。
李 京樹(り きょんす)② (DF 2年生)
前回も取り上げたんですけどね、キョンスくん やっぱり良いですよ!
逆サイドの伊藤陵介くんが高橋くん相手に苦労してあまり敵陣に入れなかったのもありますが、対照的にキョンスくんのドリブルは目立ってましたね。
最後のパス精度に課題がありそうですけど超攻撃的なあのスタイルは相手選手からしたら脅威でしょう。U18代表の寺裏選手と対峙して攻守にあの存在感ですから。
僕の中のロマン指数爆上がりです!
日本代表になってくれないかなー。
松田 和輝(まつだ かずき)⑦ (DF 3年生)
この試合の最大の発見は松田選手だったかもしれません。
90分ほぼ危なげなかったし、僕が一番唸ったのがビルド時 GKからパスを受けた際のワンタッチ目の安定感。
当然学園も前からプレスに来るわけですけど、このワンタッチ目に安定感があるとそれほど厄介なシーンにならないわけで、松田選手の場合この所作が実に美しい。
受け方、それからボールの置き方に何とも言えぬ安定感があるわけです。(当然プレス強度もパススピードも違うわけですけど)トップチームでもジュビロ磐田のディフェンスラインにこんなにも所作を安心して見られる選手はいたかな、と。
新ゲームキャプテン。今後も注目していきたいと思います!
亀谷 暁哉(かめたに あきや)③ (MF 3年生)
僕が前回 ジュビロ磐田U-18の注目選手をまとめた時、出場時間が少なかったので取り上げられませんでしたが・・・亀谷くん。上手いですね。
愛知の名門(東海スポーツ)から磐田にやって来てくれた選手で3種時代は代表歴もあります。ボール扱いの質が周囲と少し違いますね。
しかもただ上手いだけではなく「彼は体が強い!」と往年の日本代表DF石神さんのお墨付き。
そして現地で僕が”良いね!”と思ったのが試合終盤にかけて亀谷くんの鼓舞する声がどんどん大きくなっていったこと。
ネット上では猛志くんや後藤くんが目立つけど、「あぁ、ジュビロ磐田U18はもしかしたら亀谷くんのチームかもしれない」とそんな感じを抱かずにはいられなかったわけです。
実に頼もしい選手。今後も大注目です!
■静岡学園の選手たち
勝ちはしましたが、学園はやっぱり強かった。こちらも気になった選手を少し取り上げたいと思います。
髙橋 隆大(たかはし りゅうた)⑩ (MF 3年生)
今さら、というか改めてですけど、僕がここで語りたいのはプレーでは無くて(現地ならではで感じた)彼の存在感。
試合中よくしゃべるんですよ(笑)。
そしてこれが実に良い。
激しい競り合いの後に「ファール!」とか「マイボール!」と険しくアピールして実際にマイボールになると線審をまっすぐ見てニコッと笑います。
この何とも言えぬコミュニケーション能力で徐々に審判を味方に付けていきます。これが全く不快じゃない。全国に彼のファンが居るのが良くわかりましたね。
永田 拓夢(ながた ひろむ)⑫ (DF 3年生)
静学側の発見はやはり永田くんかな、と。
高橋くんとコンビを組む右SBですが、負けず劣らず推進力とスピードがえぐい(汗)。
対峙した鈴木泰都くん、伊藤稜介くんも対人は強いはずですがかなり手を焼いていましたね。
高橋くんに注目がいきがちですが現地で見てて良くわかりましたよ。ここに永田くんがいるから相手は何倍もきつくなってる。
だいぶ深いところえぐって何度も良いクロス上げてましたし、ここぞの加速がとにかく速かった。
選手権に向けて絶対注目の選手ですね。
■ウグイスの裏で
とても素敵な場面だらけだった現地観戦だったわけですけども・・・ちょっと宜しくなかった現実も一つだけ加えておこうかと。
Youtubeでもウグイスの「ホーホケキョ」が鮮明に鳴り響いていたわけですが、それを掻き消すかのような静学ベンチからの怒号。ちょっときつかったですね。
特に劣勢の試合終盤に何度も聞こえたわけですけど、これ、静学のコーチの方の声だったんですよね。
もしかしたら川口監督と勘違いしている人がいるのではないかと思い(川口監督の名誉のために)改めて書き記すことにしました。
特にGKの中村選手を名指しで怒鳴ってた時はさすがに・・・2失点はしましたがあれだけスーパーセーブを連発したわけですよ。石神さんみたいに大手を振って褒めてやってくれよ。
代表とはいえまだ高校生。一瞬たじろぎ委縮している姿を見ると心が痛みました。。。はい。
磐田のベンチには永遠にあぁいった指導者がいないことを切に願います。
■最後に
大逆転勝利だったということもあり大満足の現地観戦でした。
ユース年代屈指の好カードをこんなに間近に(しかも無料で)見れたことはありがたいとしか言いようがありません。
そして、
今回は磐田の逆転にゆめりあは沸いたわけですけど・・・言っておきたいのは磐田サポは静学も大好きだということ。
静岡県民として3年前の選手権優勝がどれだけ嬉しかったか。
試合終了後の美しいお辞儀を見て、声出しOKなら「隆太くんがんばれ。行徳くんがんばれ。選手権予選を勝ったならまた全国で暴れてくれ!」と激励したくてしょうがなかった。
学園にも大きな拍手です!!
勝者も敗者も、ロマンの量は変わらない。
悔いの無い高校サッカー生活を!!
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
今回も走り切った磐田U-18。
東名の運転疲れたとか言っててすみませんでした。。。