【ジュビロ磐田⚽】【雑感】勇敢か。
シーズン前にこんなnoteを書いた。
「ビビっています。」とは開幕前の僕の素直な感情で、文章の内容はボールをつなぐことへの改めての展望や、それに対するリスクに関するあれやこれやだった。つまりは、
ジュビロ磐田よ。やれんのか。と。
蓋を開けてみての開幕節。
心配事を露呈して敗戦。逃げた、ミスったというよりは、相手が想像以上だったという衝撃。ボールを動かしてのチャンスクリエイトは皆無で清々しいほどの完敗だった。
下を向いている暇など無い。シーズンが始まればあっという間に次の試合はやって来る。「ビビって」いては、あっという間に降格が見えてしまうだろう。
ではどうすればいいか。「ビビっている」の対義語は「勇敢か」。
そう、
ジュビロ磐田よ。貴殿は勇敢か。
難敵川崎相手に見えた一筋の光。それは具体的に何だったのか。
例によってダラダラと書いてみます。少しだけお付き合いいただければ。
■横内さんの信念
やや驚いたスターティングメンバー。
神戸戦の後半をベースに大きく変えてくるかと思いきや、スタメンで変更があったのはレオゴメスと中村駿の一か所だけだった。
Xでも書きましたが、これにはボスの「出来ないんじゃなくて、やらなかっただけなんだ」というメッセージを強く感じましたね。自分たちを信じでやってみろよ。出来るから、と。
これに応えたのが、個人的には中村駿と平川怜だったと回顧します。
その前に、
まずは磐田のブロックはかなり緻密に出来ていましたね。チャレンジ&カバーが徹底されていて、ライン間で受けようと躍起になっていた脇坂、橘田にほとんどボールが入らなかったのはその賜物。
神戸戦では山川、トゥーレルから酒井高徳へ向けたロングボール、そしてその酒井から汰木に向けたロングボールの質でビンビンに左右に振られ、どんどん疲弊していった磐田でしたが、さすがにあれは特殊だった模様。
冷静にやれば、前は向けます。ボールは奪えます。
そしてその奪ったボールを中村駿が冷静につなぎ、戻りの遅い家長の背後を平川が狙っていました。
結果としてCBの高井がつり出される機会は増え、ここからはJ2時代に効きまくっていた松本昌也のニアへの侵入。そこでシュートまで行けなくても中にはジャーメイン、植村がいるという状況が出来ていました。
あぁ横さんはこれがやりたかったんだな、と。
開幕節で「判断が遅い」と言われていた松本昌也を使い続け、次の試合も再びスタメンで起用した理由はこれ。現時点で気の利くディフェンスをしながらここぞでニアに入ってくるのは昌也が最も優れているのでしょう。
そして、
植村くんがゴラッソをぶち込んでくれたことにより、「オレたちは間違っていない」という真実を開始早々に明示出来たわけです。
これは本当に大きかった。この瞬間に磐田は勇敢になりました。自分たちを信じることが出来ました。メンバーを送り出した横内さんは勝負に勝ったわけです!
”やれば出来る”チームと選手は、その後3つものゴールを奪って見せました。実力で劣っているわけではない。自信なんだ、自信を持て、と。
選手たちが自らこじ開け、証明してくれましたね🔥
■ジャーメイン良の本当の貢献度
さて、
勇敢になったジュビロ磐田。個人的にはもう一つ特筆すべき事項があったかなと思っています。
最もわかりやすかったのが4ゴールでヒーローになったジャーメイン良選手。取り上げたいのはゴールシーン、ではなくてペイショットが入って来て2列目(1.5列目)にポジションを変えてからの立ち振る舞いです。
この頃には試合がだいぶオープンになっていて、何度かセカンドボールが磐田側に落ちてくる場面が多かったわけですけど、リードしていて重心が後ろになっている終盤、イーブンのハイボールをただ跳ね返すのではなくしっかりと胸トラップしてつなげようという意思が見て取れたんですよね。
これ。
J1では当たり前で、J2ではあまり見られない光景。少なくとも神戸戦の磐田には無かった意識。これをですね、ジャメさんなんかもするわけです。
すぐに上原、中村が補佐に入って受け手となる。左には古川、右には虎太朗と推進力ある選手が両サイドを駆け上がる。
これはですね。川崎は嫌だったと思いますよ。安易に跳ね返してもらった方が楽なんですよ。
そんでもってこれって、ピースウィングの浦和戦で広島がやっていたまさにそれ。
上原力也の動きはあの時の満田選手と同じだったわけです。
これまで何度も何度も見ていた、リードしてから防戦一方になって最終的に追いつかれるか、逆転負けするアレ。
ていうか今回も追いつかれてるわけですけど、それでも心折れなかったのは川崎も同じぐらい磐田の推進力を嫌がっていたからかな、と。
安易に跳ね返さないことで、それはつまり最後まで勇敢さを維持し続けたことで、最終的にはメンタルで上回ることが出来た。
個人的にはそう思っているのです。
■最後に、植村洋斗
2024シーズンの出だし。
危うかったこの状況を一変させたのは、間違いなく彼のゴールでしたね。
あれによって磐田は勇敢になれた。
神戸戦で、慣れないポジションとはいえ攻撃参加に課題を残した植村選手。前半6分の時点で意識の違いを見せてペナ内まで侵入し、きっちりと結果を残しました。
それだけではありません。
試合終盤の大事な場面で本職ボランチのセンスが爆発。わずか2タッチで川崎の急所を突き、最終ラインから最前線までを貫通させる恐ろしい縦パスをぶち込みました。
磐田サポは知ってるんですよ。
もともとボランチで他のポジションに挑戦して結果を出した選手がこのあとどうなったかを。
まごうことなき出世街道。僕たちは今、ドイツの伊藤洋輝。ベルギーの後藤啓介に続く新たなスターの第一章を見ているのかもしれません。
昨年の鈴木雄斗やあるいは代表の毎熊晟矢と比較したときに、オーバーラップからのクロスというのがまだないわけですけども、ここは完全に伸び代。
ていうか、
それよりも何よりも、神戸戦の汰木、川崎戦のマルシーニョと、リーグを代表する縦に速いアタッカーを封じている時点で及第点かと思います。
札幌の金子拓郎とか、東京(現福岡)の紺野和也とか。磐田ってずっとこういう選手にやられてきた黒歴史がありますから。
Xにも書きましたが次節柏のマテウス・サヴィオ封じもかなり重要なタスク。まずは守備から。焦らずにじっくりやって欲しいですね。きっと出来ると思います。
■これから
歴史的激勝でシーズン初勝利したジュビロ磐田。
まだ2節とは言えここで連敗しなくて本当に良かった。何とか積み上げていると思います。
しかしですね。
失点が多いといつまで経っても降格候補から抜け出せないのもまた事実。特に川崎戦はシステム不具合というよりは個のミスでほぼ奪われていたわけで・・・。個人的には2失点目のコーナーのがかなりショックでしたね。ゾーンで守ってて味方同士でぶつかってフリー作るって・・・なかなかの珍事だと思います。
これを瞬間風速的な不幸と捉えるか、根本的な病巣と捉えるかは現時点で判断が難しいところ。
いずれにせよ次節柏戦は失点しないかってのがかなりの見どころになると思います。
開幕神戸戦は早々に失点しましたが川崎戦は前半30分過ぎまでは0封。次は前半0が最低限。抑えれば、負ける確率はぐっと減る。まず1勝を遂げたことで、改めてそこにフォーカスすることが出来るようになりました。
先手先手で、ゲームを支配して欲しい。例え支配率が低くても構わない。要所要所でボールをつなぎ、ゴールに迫れるか。
キーワードはそう。「勇敢か」。
最後に、もう一度聞こう。
ジュビロ磐田よ。やれんのか。
ジュビロ磐田よ。貴殿は勇敢か。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!