【⚽️日本サッカーを愛そう】【緊急検証】がんばれサガン鳥栖!!
サガン鳥栖の決算。20億の赤字・・・。
竹原社長への批判が集中していますが、かつてはこんな記事もありました。
サガン鳥栖、右肩上がりのスポンサー収入 2017年
多くのJリーグファンが目にしたこのページ。会計素人の私でも非常にわかりやすい数字の推移を示しています。つまりロジックはとてもシンプルで、鳥栖の実態が特別ではないことがわかります。
まず、
トーレス加入を機にスポンサー収入が8億増えました。同時に人件費(選手の年俸)が8億増えました。トーレスの年俸が推定8億ですからほぼトーレスの増加分と言えます。
トーレスの加入はすぐにチーム成績に好影響を与えませんでしたが、興業面では一定の成果を上げています。入場者数と物販が増え、1年後に2.5億もの増収を成し遂げています。
この数字だけだと竹原社長やトーレスの加入を責めることはできません。
しかし、2019年度にスポンサー収入が15億も減り、人件費の削減がついてこれるわけもなく、そこはほぼ維持され、結果 20億もの赤字に転落しました。
このことから学べる点は2つ。
✔ スポンサー収入依存度のコントロール
✔ スポンサーとの関係性
他のチームの決算を見ていて気付くのですが、鳥栖の場合、スポンサー収入への依存度が他のチームに比べて高いということがわかります。
一般的に、全収入におけるスポンサー収入の比率は50%以下に抑えられています。
スポンサー収入割合(2018) : J1平均 44.8%
巨額スポンサーを誇る神戸(依存率64%!)を含んでこの数字なのですが、鳥栖の場合
スポンサー収入割合(2018) : サガン鳥栖 53.9%
と、スポンサーへの依存率は高いです。
また、このスポンサー収入をどれだけチーム人件費に突っ込むか。という点においても、
スポンサー収入における人件費割合(2018):J1平均 91%
と、100%(全額)以下に落ち着いているのに対して鳥栖は
スポンサー収入における人件費割合(2018):サガン鳥栖 113%
と、Jリーグ分配金の多い強豪チームを除いては特殊で、スポンサー収入以上の金額を人件費に突っ込んでいます。
つまり鳥栖は、スポンサー収入に強く依存し、さらにそれ以上の金額をチーム人件費に充てているチームだったのです。
そして、トーレス獲得時の独裁の余波とか、サイバーエージェントの町田買収の影響とか、いろんな情報が飛び交っていますが、竹原社長の生命線だったスポンサー様との関係性の危うさが一気に火を噴き、スポンサー依存の大きいチームの会計を直撃した。ということだと思います。
もう一つ気になるのが、2017年→2019年でチーム人件費を除く支出が、2.6億も悪化しているということです。
トーレス獲得によって得た増収をそのまま食いつぶした格好です。
支出の内容は知り得ないので何とも言えませんが、収入の増加により、「財布の紐が緩んだ。」ということもあるのでは!?
他のクラブと違うところ。他のクラブも同じところ。
上記、鳥栖のスポンサー依存の高さは特筆すべき点でしたが、果たしてそれが赤字の理由なのでしょうか。。。
実は、金額こそ違えど、Jチームの会計のバランスというのは実はどこのチームも大きく変わらない。というのが結論です。
例えば、同じく中村俊輔選手を獲得し、入場収益、物販収益ともに大きく伸ばした磐田と2018年の数字で比較してみました。
※出典 Jリーグ 2018クラブ決算一覧
結論からいうと、鳥栖はよくやっている。と言えます。
まず、磐田に比べてスポンサー収入が4億多いのですが、それ以外の収入も頑張って、結果 収益は磐田に対して5億多くなっています。
これに対し支出面では、人件費が9.5億多い状態です。トーレスの人件費が8億ですからそれを除いても1.5億多い状態です。ここが頑張りすぎなのは先に述べた通り。ただ、その他支出については磐田に対して約3億円ほど節約しており、支出の合計では磐田に対して1億円の差となっています。
ただ、営業外損益(これはフィッカデンティ監督への違約金)が痛かった。結局この金額が響き、合計5億ほどの赤字になっています。
スポンサー依存とその金額の人件費への突っ込み方。に加えて違約金が響いていますがそれ以外はむしろ磐田より数字は良いことがわかりました。
で、スポンサーがいなくなって。。。
当初 竹原社長としては、トーレス引退による人件費の圧縮で5億の赤字解消には自信があったのではないでしょうか。
ただ、それと同時にスポンサーが離れてしまった。
もともとトーレス獲得で増えた収入でしたから、当然といえば当然なのですが。。。
竹原社長はスポンサー集めには定評がありました。大企業がない都市において、地元出身の社長を引っ張りCygamesの大型契約を勝ち取りました。ただ、つなぎとめておくだけの、何かが足りなかった。
それは何か。
地域密着。というキーワード。
川渕チェアマンはリーグ発足に伴い、チーム名に企業を入れず、地域名を入れることをルールとしました。私はこの判断は素晴らしいと思います。
その後、人気のなかったパ・リーグが北海道日本ハム、千葉ロッテと地域名を冠しだし、いまでは埼玉西武、福岡ソフトバンク、東京ヤクルト、横浜DeNA、などなどセパ人気入団まで地域名を付け加えました。
ファンあってのプロスポーツ。その根源は、地域密着にあり、チーム名にその地域の名を刻むことは、球団の地域密着への意思表明と言えます。
スポンサーがいわゆる”箱推し”の状態になるためには、この地域密着というキーワードは切っても切れず、その象徴となるのが地元が生んだスーパースター、それを生む仕組みこそがユースの強化、だと思うのです!
私は以前の記事で、注目ユースチームに、サガン鳥栖U-18をあげていました。
そう、鳥栖のユースは今、史上最高に強いのです。2017年から3年連続でプレミアリーグへの参入戦を戦い、昨年ついに念願のプレミア入りを果たしました。至宝・田川選手の後輩たちが念願を達成しました。
駅前スタジアムで豊田選手にあこがれた少年が、将来 鳥栖を代表する選手になり、チームを勝たせ、日本代表になる、鳥栖の誇り、佐賀の誇り、九州の誇り。地元密着。いや、地元の一部。切っても切れない存在。そんなチームを支えたい。支え続けたい。
スポンサーはそんなチームを支持し続けるのだと思います。
前出の比較資料ですが、見落としてはいけない数字があります。
アカデミー関連費用です。アカデミーの運営は支出を伴いますが、同時に収入を生むのがミソです。基本的に黒字です。
将来的なキラーコンテンツを生むだけでなく、ユースの強化は儲かる。もはや投資でもないのです。普通に収益をあげながら、スーパースターと地域密着を生むのです。
バンディエラは一人でいい。
海外リーグを見ていてもそうですが、大きなスポンサーを持てないチームは、自分たちで育てた名選手を他のチームに放出する場合も少なくありません。せっかく生まれたスターがチームに居なくなる。それで地域密着は保てるのか!?
これは私の考えですが、有名になった選手を高く売る。という行為は大いにやったらいいと思います。それこそ、黒字を出しながら運営したアカデミーで育った選手が大金を残して移籍するならこんなに素晴らしいことはありません。
バンディエラは、一人で十分なのです。
川崎の中村選手、ガンバの遠藤選手、引退・移籍してしまった選手でも仙台の梁選手、横浜の中澤選手、磐田だとやはり中山選手でしょうか。
選手としてのピークをチームとともに過ごす、素晴らしい選手がいます。彼らが証明しています。彼らのようなヒーローが一人いれば、私たちがクラブ愛を満たすには十分なのです!これが地元のクラブを愛して育った、地元出身の選手だったら、もうたまんないでしょう。
多くのスポンサーが、箱推ししてくれるはずです。
鳥栖の決算は、対岸の火事ではない。
今回、素人が決算表を拝見し、思うがままに分析しただけですが、鳥栖の運営は少し特殊な傾向はあるものの、他のチームもその他の数字に大差なく、スポンサー様がはしごを外してしまえばどこも同じだということがよくわかりました。
経営者や選手はもちろん、私たちは、スポンサーとの関係を軽視してはいけません。それは決して媚び諂うことではなく、広告や企業イメージといったビジネス以前に、地域密着を掲げたプロスポーツチームは、心から愛されなくてはいけない。ということだと思います。
ファンを裏切る試合をしてはいけません。
それはすなわち、地元のスターの卵たちが、将来入りたいクラブでなくてはなりません。
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