【⚽️日本サッカーを愛そう】それでも磐田サポが伊藤彰監督を推す理由。
2022年6月。J1が中断期間に入りました。
ここまで16節(約半分)を終えて3勝6分7敗。必ずしも順調とは言えません。それどころか・・・残留=第一目標という現在地を叩きつけられて何ならちょっとしんどい。
勝ったら見ると決めているJリーグタイムもまだ3回しか視聴できておらず支払っているNHK料金の効率がすこぶる悪い。
そんなシーズンを今年から率いている伊藤彰監督。通称:アキラ。
アラフィフとは思えない引き締まった身体に細身のスーツが良く似合う。かと思えば自然にカールした髪とやや高めの声がチャーミングさを醸し出す。
戦術家としてのクールな視線でゲームを俯瞰しているかと思いきやゴールシーンや非ゴールシーンでは実に情熱的なリアクションをしてみせ、そのギャップに我々は大いに驚いた。
レジェンドの多い磐田において、磐田と全く関わりの無い日本人新監督の起用は異色と言っても過言ではない。
馴染みもない。勝利もない。とくれば切って捨てたくなるのが世の非情。
しかし、だ。
今シーズンの磐田サポは伊藤彰を全く諦めていない。
一部解任を騒ぐサポも当然いる(これについては否定はしない)けれど、僕の感覚では現時点でそれはマイノリティにすぎない。
実に不思議な感覚。久々のJ1で熱湯にのぼせてるのか? いや違う。
それでも磐田サポが伊藤彰監督を推す理由。中断期間を利用して自分なりにまとめてみようと思う。
■待望の「型」
ジュビロ磐田サポにとってそれは待ちに待った”わかりやすさ”だったかもしれない。
J2を優勝という形で突破した磐田は良く言えば大人の自律、悪く言えば実にファジーなチームだった。
昇格を決めた安堵感の中で多くのサポータが同じ気持ちを抱いたに違いありません。
磐田=遠藤保仁ではない。では一体何なのか。
良くできた物語に伏線は付きもの。
きっかけはちょうど1年前。2021年6月の甲府戦。
昇格に向けて大事な大事な6ポイントゲーム。僕は朝から緊張していました。
試合は開始早々に動きます。
裏に抜けたルキアンをメンデスがたまらずDOGSO。大事な試合で甲府は前半から10人での戦いを強いられることに。
僕は試合前の緊張感などすっかり忘れて「何点取れるかな♪」などと浮かれていたのですが本当の地獄を見たのは実はこの後でした。
即座に戦い方を変えた甲府に対して磐田は大津選手のゴラッソで1点取るのがやっと。勝利はしたものの何ともスッキリしない感じは梅雨入りを控えた湿度のせいか・・・それとも。
この時、多くの磐田サポが感じたに違いありません。状況を鑑みて「型」を変えられることは、強い。
今の磐田に果たしてそんな芸当ができるのだろうか・・・、と。
言うまでもありませんが、
この時「型」を操って磐田に少なくないインパクトを与えた超本人こそ当時の甲府指揮官、現ジュビロ磐田監督・伊藤彰だったわけです。
■ロジックは正義
例えば会社において管理職に求められる要件の一つに「アセット化」というのがあります。アセットとは資産。つまり事業を通じて得た学びや経験を資産化すること。
良い管理職にはそれを先導し、形にできる能力を求められるのです。
理由は他でもありません。組織が存続して進化するためには暗黙知を形にしておく必要があるからです。
それは誰もが理解できる言語化だったり、人を選ばず継承できる形式だったりします。
そしてそれはやがてその会社の品質に昇華します。
何となくモノを作っている会社の商品に品質が担保されるわけがありません。形式に嵌り過ぎるとそれはそれで面白くなくなってしまいますが、ある程度の「型」が必要であることはみんな感覚的に分かっています。
にもかかわらず、
それが約20年に渡って出来ていなかったのがジュビロ磐田であり、その能力を所持して転職してきた管理職が、伊藤彰でした。
僕は伊藤監督になってから試合終了後のインタビューをよく読むようになりました。そんな人は多いのではないでしょうか。
勝っても負けても読んでいて腹落ちする部分が多いから。
なぜそうしたのか、なぜそうなったのかが一つ一つ明確で次への期待感を煽ります。
ここで言う”次”とはもちろん次節を指しますが、どうやらそれだけではありません。
何というか、もう少し遠く。これまでずっと霧がかかって見えにくかったジュビロ磐田の未来までもを、僕らはアキラのインタビュー越しに必死に見ているのかもしれません。
若干「オーガナイズ」という言葉を多用しがちですが、それも含めてインタビューはきっちりオーガナイズされています。
なるほどこれが、アキラワールド。
■ある男の存在
とはいえ、
ここで盲目的に伊藤監督に付いて行って良いのだろうかという疑問は当然あります。無理もないでしょう。目に見えるアンサーがまだ無いからです。
ロジカルで戦術的な伊藤監督の進め方は確かに府には落ちますが、果たして正しいのか、それとも正しくないのか。
これについては、
そんなことわかるわけがない。というのが答えだと思っています。
不確実なプロスポーツの世界に於いて前例は無いに等しい。ビジネス書の通りやって上手くいくならみんな優勝しています。
戦術家として一目置かれる伊藤監督にとってもそれは決して例外ではないでしょう。
しかし、
そんな不確実な状況において、いや不確実な状況だからこそ大切なものをとてもよく分かっている男がジュビロ磐田に一人いる。
大津祐樹である。
昨シーズン、昇格に向けてのラストワンピースとなってくれた大津選手。
しかしながら個人的には今シーズンの立ち振る舞いの方がはるかにその真価を発揮してくれていると感じています。
ツイッターの一文に注目。
実はこのさりげない一文がとても重要であり、さすが大津祐樹!と僕が唸るところ。
伊藤監督と進む方向が正しいかどうかなんて究極的には、誰もわからない。
ただ一つ真実があるとすればそれは、どちらに転ぶかわからない不安定な状態で
疑心暗鬼になってバラバラになればそれは正しくならないし、
信じて一体となって進むことができれば正しくなる可能性は格段に高まるということ。
大津選手はこの辺りのターニングポイントをよくわかっている。
またこれをポステコグルーの戦術にも鈴木政一の戦術(?)にもキッチリと対応し、代表経験も海外経験もある人が”ツイッター”で言うから説得力がある。
僕は世の中の就活生に対して声を大にして言いたい。
このタイミング、この文言のチョイス、このやり方、この立ち振る舞いこそが、潤滑油である!!!と。
■懐(ふところ)
僕が伊藤監督を見ていて、あぁこの男を信じてみたいと思う行動がもう一つあります。
それはインタビューなどで決して取り乱さないこと。
誤審に泣かされてもミスが目立ってもインタビューの質はいつも変わらない。
この懐の深さは、実は何かを成し遂げる男の条件だったりします。
裏ではどんな檄を飛ばしているのかは知ることは出来ませんが、少なくともメディアの前で自我をコントロールできていることは特筆に値します。
解任!解任!と騒ぐサポーターがとても少ないのも、この行動に依存しているのは間違いないでしょう。隙を見せればそこに付け込んでくるのが世の中の真理だからです。
大津選手の「信じて行こう」というメッセージと、それを受け止める伊藤監督の行動・言動がマッチしているからこそ、船は沈むことなく前に進んでいるのではないでしょうか。
■もう戻りたくない
ジュビロ磐田は2年振りのJ1の舞台で新監督を迎えて苦戦しています。
しかしこれは紛れもなく産みの苦しみなのであって、一度は通るべき道なのかもしれません。フロンターレもマリノスもかつてはこんな道を通っていました。
そして、
その先に明るい未来が待っているかどうかは、今シーズンJ1に残留できるか否かに懸かっています。
もう戻りたくない。
J2は確かに魔境ではありますが、本当に恐ろしいのは”理想”を求めて戦ってる暇など無くなってしまい、チームの構築が止まってしまうこと。
止まるならまだいい。変な癖がついてエレベーターの乗り降りを繰り返すようになったらいよいよ立て直すのは難しくなります。
新しい資産を得るためにチャレンジし、かつ最低限のノルマを必達する。
アキラに課せられた使命はそこそこデカい。
しかし、
この苦しみに耐えて成功体験を積んだ日には、僕らは夢にまで見たジュビロ磐田の「型」を手にすることになります。
伊藤彰にはその可能性があります。バラバラになっている場合じゃないのです。僕は型が欲しい。何が何でも欲しい。
そう考えると、アキラを推さずにはいられないわけです。
甲府戦の伏線。資産を形にする能力。それを信じさせる言動。チームを一体に保つ現場のベテラン。
ジュビロ磐田がサスティナブルな強度を今度こそ得るためのアウトラインはいよいよ整いつつあります。
あとは結果。結果が欲しい。
未来は、果たして。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
信じていきましょう🔥