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【ジュビロ磐田⚽️】【雑感】守護神とは何なのか。

7/29のいわき戦でベテランGKの八田選手が(リーグ戦では)今シーズン初のベンチ入りメンバーとなりました。

こういうのって割とあるあるなんですけど、久々にベンチ入りするとなぜか登場機会はやって来るわけで。アディショナルタイムでしたがしっかりと出場記録に残ることとなりました。


八田選手自身も「試合勘は全くなかったですが…」と清々しいほどに緊張感を認めつつ、
ゴールキックの場面で悠然と水を飲むシーンでは全いわきのみならず磐田サポからも「もう喉乾いたんかい!」との突っ込みを誘発させ(笑)、クリーンシートに貢献したわけです。


ジュビロ磐田サポーターの中に”八田推し”はとても多いように思います。

丁寧な振る舞い、滲み出る人柄、ブレる事ない献身性。
サポが現地で観て感じたものや、インタビューの言動からもこれらが嘘のない事実としてヒシヒシと伝わってきます。


八田選手を見ていると、
チームスポーツとは決してグラウンドにいる選手と監督だけがやるものではないんだということを強く意識させられます。

彼がベテランGKという立場でチームにもたらしているものは何なのか。すなわち、真の守護神とは何なのだろうか

これを整理していくにあたり、まずは私の個人的な八田評を述べないわけにはいきません。



■「しっかりしろ八田!!」

カミンスキーが来日する前。すなわち2014シーズンごろまで正ゴールキーパーを務めていた八田選手に対し、(まだ青かった)私は何度こう叫んだことか。

推しの皆さんには申し訳ありませんが、これは偽らざる私の過去です。


反応が速いとも言えず、足元が上手いとも言えず・・・シーズンの平均失点が毎年1.5前後もあったのは必ずしもキーパーだけの責任ではないものの、明らかに勝ち点3をもたらすパフォーマンスでは無かったように見えた当時の八田選手。

低迷するジュビロ磐田の、一つの原因の様に映っていました。


それ故、
クラブがポーランドから若いキーパーを呼び寄せた時にはついに本気を出したか!と小躍りし「神ンスキー」やら「”仮眠好き”なのにむしろ目が覚める!」などとわかりやすく浮かれたわけです。

サカマガさんより


しかしですね、八田選手の本領はここからでした。

私が彼の凄さを認識したのは、まさにこの(八田選手にとって)負の時代があったからこそ。

ここから彼の素晴らしさを力説していきます。



■先輩後輩

カミンスキーが去った2020年。再び八田選手はジュビロ磐田のゴールマウスを守ります。実に6年ぶりでした。

正直かなり不安だったのですが、彼は6年前とは見違えるほどのスーパーセーブを連発します。

驚きましたね。
退団直前のカミックが少し気の抜けた失点が多かったこともあってか、八田さんの活躍はまさに良かったころのカミック、とそんな風にすら見えたわけです。
フベロさんが彼を信頼していたのも印象的でした。


このとき思ったんですよ。
あぁ八田選手ってものすごく努力していたんだな、と。


磐田に来た時のカミンスキーは24歳でした。それまでゴールを守っていた八田選手は4つ上の28歳。
つまり八田選手はアスリートとして最高に脂が乗っていた時、経験値も少ないであろう年下の選手にポジションを奪われることになったのです。

・・・自分ならどう思っただろうか。

チクショー コノヤロー やってられるか!


このぐらいは発していたかもしれません。いやむしろ、これぐらいが普通だと思うんですよ。もしかしたら八田選手も思ったかもしれません。

しかしですね、
思ったとしてもそれを態度に出さず建設的な振る舞いに変えられるかどうか。しかも後輩相手に
文字にすれば簡単ですけどなかなか出来ないですよ。でもそれをやる。やって自らをアップデートしたのが八田選手だったというわけです。


2020年。6年後の34歳。

シーズンの平均失点は1.0。
彼は明らかに上手くなってピッチに帰ってきました。突如として現れた後輩を認めて、努力したのでしょう。それを6年も続けて、示してみせました。

もの凄いことです。


そしてこれは、先日のいわき戦後のコメント。

本当にチームメイトに感謝です。(三浦)龍輝のパフォーマンスが素晴らしいので、置いていかれないようにこれからもしっかり準備していきます。

ジュビロ磐田HPより


八田直樹の前では、先輩後輩の概念などとても小さく見えるのです。



■世代交代

八田選手がチームにいることの素晴らしさを語るうえで、彼がユースから昇格した時のことを回顧する必要があるかもしれません。

反論を恐れずに言うと、
僕は今のジュビロ低迷の基礎を作ったのは山本昌邦時代であると思っています。

本格的に指揮を執った2005年に、千葉から大量の主力を引き抜きオシムさんに「千葉は磐田の下部組織」と皮肉られたあの年。
丁寧な世代交代に匙を投げ、それをごまかすかのように大量にユースから昇格した選手の中に八田直樹はいました。


ここでジュビロ磐田サポのバイブル「挑戦の血統」から、僕が最も印象に残った一文を転載します。

名波、服部、福西がチームを去り、黄金期の中核を成した選手は、中山、鈴木秀人、田中の3人になった。

こんなに急に流れが変わるとは思ってもみなかった。山本昌邦が指揮を執った1年8ヵ月、怪我と出場停止を除く全試合に先発出場した田中は思った。歯車が狂い始めたと感じたのは、2003年に柳下さんが突然辞任したときだった。あれ以降、俊哉さんをはじめ、上の人たちは試合から遠ざけられ、フラストレーションを溜めるようになった。下の若い選手たちは、実力で中山さんや名波さんや服部さんを押しのけたと勘違いする人間と、自分が上の人の代わりに出ていいのかと委縮する人間の大きくふたつに分かれた。

なんとかして流れを変えようと思い、若手に対して要求したり、がまんしたりしたが、歯車の狂いは大きくなるばかりだった。

「挑戦の血統」より抜粋


八田選手が加入した2005年以降というのは、おそらくジュビロ磐田が最も混沌とした時期だったのではないだろうか。

ただでさえ不安でいっぱいの高卒ルーキー。なのに身を置く現場が荒れている。
自分が新入社員のころを思えば、こんなに不幸なことはありません。

それでも、
自らを律しようと奮起した若手は勘違いする人間に。上手く立ち回ろうとした若手は委縮する人間に。
いずれの立ち振る舞いも不幸でしかありません。新人に罪はない。世代交代の軽視は、本当に悲惨な現場と未来を作ってしまうのです。


僕が育成こそチームの光だと説き、その重要性を何度も何度も伝えるのは、
このような悲惨な事態が二度と起きないようにと願うからでもあります。

育成と世代交代の失敗は不幸なのです。チームにとっても、選手にとっても。


ここで、先日公開された古川陽介選手のyoutubeを引用します。

”若手”である古川陽介選手。
当然ながらプロの壁にぶち当たり悩みながら新たな理想像を模索する中で、心の支えになったのが毎日トレーニングルームに顔を出し、声をかけてくれた八田選手の存在だと言います。


もしかしたら八田選手は、自分が新人時代に感じた苦しさや難しさを率先して若手から取り除こうとしているのかもしれません。

いや言い換えれば、
”あの時”に入団した彼にしか伝えられないことをチームに還元してくれているとも言えます。



■守護神とは何か

タイムリーにこんな記事を目にしたので少し考察してみたいと思います。


記事の中で黒田氏は、成功と失敗を経験しデータとして持っていたり、チームのために誰よりも尽力できる人が真のベテランであると述べ、「良いベテラン」と表現しています。

これ自体は全く以ってその通りだし、僕自身もそう思います。


しかしながら、
この記事がリリースされる直前にクラブの顔とも言える深津選手を移籍させていることにより、彼を「悪いベテラン」と判断したのではないかと少なくない批判を受けています。

それについては多分の憶測を含んでいると思いつつも、勝ちに対して貪欲すぎる黒田氏が、どうも「良いベテラン」=「実績あるベテラン」と捉えている節があるのではないかと勘繰ってしまいます。

つまり実績無いベテランは不要である、と。


果たしてこの考えは正しいのか。
その答えを我々磐田サポは良く知っています。八田選手が強烈に示してくれているからです。

必ずしも栄光とセットではなかったベテランの存在。それもまたチームにとって絶対に有益であると。


先輩後輩の次元を超えた謙虚さ。
世代交代のハブ(継ぎ手)としての立ち振る舞い。
試合前の練習で必ずチャントに一礼する礼儀。

彼がもたらすものは直接的にスコアに現れない部分ですが、しっかりと明るい未来につながっているのではないでしょうか。


その証拠に、これです。

2024年度に、同級生のユース出身GKを同時入団させるという前代未聞の発表をした磐田。

非常に難しい競争が予想されるわけですが、それでも試してみたいと藤田さんに思わせたその背景に、八田直樹の存在が大きく影響しているような気がしてなりません。


新しい守護神候補に八田選手がどんな形で接するのかは今のところ定かではありませんが、その存在がまだまだチームにとって不可欠で、大きな価値を生み出し続けることは間違いなさそうです。



ゴール前に立ちはだかるだけが守護神ではない。

八田選手のキャリアからはそんな哲学が見えてくるし、それを感じられる我々はやはり幸せなのだと思います。







本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!


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