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【ジュビロ磐田⚽️】【雑感】藤原健介のプロローグ。

こんなのを観てしまったら触れずにはいられないだろう。

2023年6月3日。台風一過のヤマハスタジアム。湿度は低いはずであったがムシムシとする膠着状態が続く。
そこにスカッとする風穴を開けたのはプリンス・藤原健介選手の一撃だった。


いや、
”一撃”というよりも彼自身の何かの始まりを告げるゴールへのパスと言った方がいいかもしれない。


とろけるほど柔らかいタッチから放たれたそのパスは、ゴール前に密集してブロックを敷く相手選手の、誰にも触れずゴールに吸い込まれていった。



■U-20

このシュートを見た時に、僕はまず真っ先に先日アルゼンチンで悔しい予選敗退を喫したU-20日本代表を回顧した。

Jリーグのレギュラーはもちろん、海外で活躍する選手を積極的に招集した富樫ジャパンは、かつてのアンダー世代では考えられないほどのネームバリューを誇る。

しかしながら、
ここぞの場面で手痛い勝負弱さを露呈してしまい終わってみれば満足のいく結果は得られなかった。

正直、
初戦のゴラッソとコロンビア戦のPK失敗で良くも悪くもチームの中心だった松木玖生選手を除けば、これといったインパクトを残した選手はほとんどいなかったように思う。

これはかつてこの世代に名を連ねていながらも今回代表招集されなかった他の選手たちにはどのように映っただろうか。
例えば9試合ぶりのリーグ戦先発を果たした藤原健介選手には・・・。


ちなみにこの世代の日本代表は小野伸二を擁して準優勝した1999年以降世界で全く勝てていない

それ故、今年こそは!という思いも強かった(だから世界から積極的に招集した?)はずだったが結果を見れば例年通りだった。

面白い実態がある。
まずは下にある前回大会(2017年)のU-20代表メンバーを見て欲しい。

▽GK
1 小島亨介(早稲田大)
12 波多野豪(FC東京)
21 山口瑠伊(FCロリアン/フランス)

▽DF
4 板倉滉(川崎F)
3 中山雄太(柏)
6 初瀬亮(G大阪)
2 藤谷壮(神戸)
19 舩木翔(C大阪)
15 杉岡大暉(湘南)
5 冨安健洋(福岡)

▽MF
10 坂井大将(大分)
8 三好康児(川崎F)
18 森島司(広島)
17 市丸瑞希(G大阪)
11 遠藤渓太(横浜FM)
7 堂安律(G大阪)
16 原輝綺(新潟)

▽FW
9 小川航基(磐田)
13 岩崎悠人(京都)
14 田川亨介(鳥栖)
20 久保建英(FC東京U-18)

ゲキサカさんより引用

懐かしい名前もあるが、この中でU-22やA代表に定着したと言えるのは板倉、中山、冨安、堂安、久保ぐらいだろう。

つまり、ほとんどの選手はU-20に名を連ねつつもその先の日本代表を確約されたわけではない。

言い換えれば、未来は何も決まっていないということだ。


これを踏まえて、話はリーグ戦に戻る。



■始まりのパス

正直、磐田が先制するまで完全に秋田の試合だった。

秋田は堅守で耐えに耐え、終盤ゴールを奪って勝ち切った町田戦を思い出しただろう。
個人的にも終盤のセットプレーで失点し、「やっぱりね」と震える手でツイートしてスマホを閉じる近未来まで覚悟した。

しかし、
その予定調和を超気持ちよく解消してくれたのが並々ならぬ決意と気合で試合に臨んでいた藤原健介だった。

ゴール前で人数をかけて守る秋田にとって、唯一にして最も嫌だったのがエリア外からのコントロールショットだっただろう。
他のJ2には通用するかもしれないが、磐田にはそれのできる選手がいた。(それも2人も!)

この時点で秋田の負けは決まってしまった。


僕がこのシュートを本当に素晴らしいと感じるのは、
それが秋田戦術の弁慶の泣き所であっただけではない。まさにチームを勝たせる一撃だったという真実。

本当に嫌な時間帯を覆すゴールだった。

点の取れる中盤の選手というのは強い。それはフリーキックでもいいし、ここぞの場面でゴール前に詰める駆け引きが生んだ結果であってもいい。

ゲームを支配しつつ自らのゴールで試合を決める。それが日の丸を背負うべきと指名される選手の条件だし、昨日の藤原健介は間違いなくそれに見合う活躍をした。


冒頭で僕はこのシュートがパスに見えたと言った。

それはU-20日本代表を同時に思ったとき、彼自身の明るい未来に向かって突き刺したプロローグ的なパスに見えたのかもしれない。

改めて言う。
彼にはサンコウチョウと同じぐらい、ヤタガラスが良く似合う。



■もう一つ

久々に先発した藤原選手が先制ゴールを奪ったとき、この日バースデーだった後藤啓介選手、あるいは悔しいベンチ外になった藤川選手、吉長選手あたりは相当奮起しただろうな、と思った。

それは長らく怪我をしていたハリー選手やベンチにいた古川選手も同じだろう。

さぁ、今度は誰が魅せてくれるんだい?と息巻いていたところ、思わぬ角度から真打が登場した。


僕がこの試合でもう一つとても嬉しかったのが上原選手のこの追加点
ライバルでもある後輩とほぼ同じ位置で、「どうだ」と言わんばかりのシュートを決めてみせた。


これはずっとずっと僕が見たかった光景

若い選手の突き上げに、上の選手が刺激を受けて真っ向勝負する。これこそが健全なチームの姿。夢にまで見た若手と中堅とベテランが融合したチームの姿。

そして、それをけん引するユース勢の躍動。
きっとベンチにいた山本康裕選手もうずうずしていたに違いない。



今シーズンのジュビロ磐田には勝敗に一喜一憂する以上の見どころが多い。

それは選手の頑張りでもあるし、横内さんの手腕でもあるし、鈴木政さんや伊藤さんが残していったものからのブラッシュアップによって生まれているものもある。

そう、ジュビロ磐田は進化しているのだ。



今シーズンを楽しんでいきましょう。
改めて
健介くんおめでとう。そして、全ては始まったばかり!!!


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