【週刊ユース分析】緊急・ベガルタ仙台ショック
今週Jリーグ界隈を駆け巡ったベガルタ仙台のショッキングなニュース。
縁もゆかりもない私ですが、報道を知ってどよーんとしてしまったのは…他でもありません。その選手が「生え抜き」だったから。
外野の私が言うことはありませんが、これまで何チームもユースを探ってきた身としては、仙台ファンのショックというのは計り知れないのではないかと。
そのあたりを整理してみたいと思います。
その前に、
まずはこちらから。
ご存知の通り、今年度はプレミアリーグが非開催となり、代わって地域ごとの合同リーグを行っているわけですけども・・・
東北の決勝戦は、グループAを制した青森山田と、グループBを制した青森山田の戦いになりました。
グループBの山田は2ndチーム。いわゆる2軍です。つまり、公式戦の決勝が紅白戦になるという何とも締まりのない事態となりました。
もちろん青森山田は今や日本で1、2を争うチームです。2ndチームといえど相当強いはず。
ただ、
東北と言えばJリーグチームのクラブユースも所属するわけで・・・その一つがベガルタ仙台ユースでした。
「ユースの強化は、クラブの光」
私がユース年代を深堀する理由はこれです。
ユース年代の強化が、クラブチームの強さの礎となる。という仮説、というか理念に基づくものです。
ここで言う「強さ」とは、競技としての強さ、経営としての強さ、両方を指します。
ベガルタ仙台は過去の戦績からも必ずしもユースが強いクラブではない。と(数字の上では)判断されてしまうのですが、
冒頭出てきた道渕選手は、仙台ユースの出身。さらにJ1の中で実力も折り紙付き、ということで、間違いなくクラブを支える側の選手だっただけに・・・外国人助っ人の不祥事とは否が応にも重みが違ってきます。
サガン鳥栖の場合
金額の違いはあれど「経営難」、「順位低迷」という点で、同じ括りに入るサガン鳥栖ですが、
サポーターの皆さんからは、悲観的な言葉はほとんど無いように感じます。むしろ希望的視線をクラブと選手に送っている方が多いと思うのです。
それは他ならぬ、ユースが強いことが一因ではないかと。
トーレスの獲得がまぶしすぎてあまり知られていませんが、サガン鳥栖はアヤックスのアカデミーとパートナーシップを結んでおり、こちらについてはしっかりと成果を出しています。
レギュラークラスで活躍する、アカデミー育ちの松岡大起選手、本田風智選手、石田快征選手らに加え、
大学生組ルーキーの森下龍矢選手、林大地選手がガッチリと噛み合い、
さらに、中堅どころの原川力選手、原輝綺選手が大活躍して、
梁選手や豊田選手らベテランが献身的な動きでチームに貢献する。
見ていてワクワクするチームが出来上がっています!
そしてこれらを下支えしているのが、活きのいいアカデミー育ち。すなわち、地元出身の雄なのです。
いや待て!
仙台にだってアカデミー育ちのいい選手がいるぞ!!
そう、それが道渕選手だったわけです。
今すぐ、更なるユース強化に舵を切る!
サガン鳥栖の経営的失敗は、大口のスポンサーと契約継続できなかったことに尽きます。
地元密着スポンサー様と息の長い契約を獲得するためには、地元に愛され、将来を嘱望される、地元出身の選手たち。
将来クラブを支え、代表に選ばれて日本サッカーの顔になれば、それこそスポンサー様の方から契約依頼を申し出てくれるでしょう。
鳥栖はいち早くその舵を切り、投資しただけの価値を感じる選手が育っています。
一方、遠藤選手に頼って賛否両論ある磐田ですが、それは生え抜きが同時に育っているからまだ許されるのであって、これが付焼刃的な補強であるのならば・・・いったん寄り添ったスポンサーはあっという間に姿を消すのだと思われます。(本音はちょっと心配)
ベガルタ仙台ユースが青森山田の好敵手となって東北の一角を担い、多くのアカデミー育ちがトップで躍動するようになれば、
おのずとスタジアムの活気とクラブ愛は、満たされるはず!!
今のユースの選手に問題があるわけではありません。これは仕組みの問題です。
今すぐ、仙台の、東北の有望な選手の精神と技術を高めるべく、今以上のユース強化に舵を切ってほしい。ファンは切に願っているのではないかと思います。
レディースの存在
ベガルタ仙台には他のクラブチームには無い資産があります。それは女子チームです。
経営難のチームにおいて、女子チームの存続はひとつの議論に挙がると思うのですが(2021年にマイナビへの経営権譲渡が決定)、経費以上の価値を出すかどうかはクラブの腕にかかっています。
2019年の実績では約1.3億がこのレディースチームに使用されています。これは他のチームの予算に比べると正直少し高いです。予算抑止の余地はあると思うのですが、それをしっかり実行した前提で、
私はレディースチームの存続価値は、経費以上を捻出しうると思っています。
Jリーグは今、どのチームもファン層のすそ野広げに躍起になっています。すそ野とは、女性と子供たちです。
いずれにおいてもそのハブ役として、女子チームの活用価値はあると思うのです。
ゲームで勝つことはもちろん重要。しかしそれと同等に、地元密着の経営に携わることもプロ選手としての価値ではないかと。
その価値に、ユース育ちと女子チームは圧倒的に大きな価値を発揮します。
契約譲渡されますと正確にはベガルタのチームではなくなるわけですが、マイナビとのwin-winの関係を模索しつつ、これまでの投資価値を存分に発揮してほしい、そう感じます。
プレイングマネージャーながら非凡な才能を見せるベガッタ君。
彼の手腕はいかに。
私は、これからのベガルタ仙台ユースと、マイナビ仙台レディース、
そして生え抜きである佐々木匠選手、小畑裕馬選手に注目してまいります!!