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【仙台の本】心の中で生き続ける「二度と行けないお店」を伝えるエッセイ集


「二度と行けないあの店で」がテーマのエッセイ集・仙台版

みなさんには、閉店などで行きたくても「二度と行けないお店」はありませんか?
私にもあります。子どもの頃に近所にあったケーキ屋さんや、学生の頃に友達と通ったカフェなど、今はなくても、いつまでも記憶の片隅に残っています。

そのようなお店への思いが綴られたエッセイ集『Neverland Diner 二度と行けない仙台のあの店で』を読みました。

本書は、「二度と行けないあの店で」をテーマに書かれた100のエッセイが掲載された『Neverland Diner』(都築響一編)のスピンオフ企画の仙台版で、仙台市内の書店YIN-YANG BOOKSさんによって、編集・販売されています。

主に仙台市内にあった飲食店でのエピソードが10本掲載されています。市内中心部にあった飲食店「ラ・カーム」や「さふらん」などが登場します。地元の方は、懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか?

見どころは、10人の作者それぞれのエピソードです。
閉店直前のラーメン屋さんの行列に並び、最後の一杯にありつくまでのお話や、今はなきスーパーの中のパン屋さんでの子どもの頃の思い出など、行ったことがないお店なのにもかかわらず、不思議とそのシーンが浮かんでくるのです。
作者それぞれの描写が鮮明だからでしょう。それぞれのお店に対する想いの強さが感じられました。

10の「二度と行けない」お店でのエピソードは、人と人とのやりとりやお店の雰囲気が想起され、魅力にあふれていました。仙台育ちの私は行ったことがあるお店もあり、記憶が呼び起されて懐かしい気持ちに。読んで良かったと思いました。

あわせて、「Neverland Diner」という本が果たしてきた役割の大きさを感じました。作者の心の中の思い出を綴って発信することで、確かにそのお店があったことを多くの人に伝えていけるからです。

「Neverland Diner」の地方版は、松山、広島、大阪、高崎、下北沢、京都、名古屋、神戸版が発行されているとのこと。ぜひ、全国に広がってほしい取り組みだと感じました。

そして私も、noteなどで「二度と行けないお店」についてエッセイを書いていきたいです。

Neverland Diner 二度と行けない仙台のあのお店で

編集・発行・販売のYIN-YANG BOOKSさんのサイトです。

個人的には、お店で購入がおすすめです。とても感じの良い明るい店主さんで、楽しくお話できたので。

この記事について

この記事は、京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さん主宰の京都くらしの編集室オンラインサロンの企画「noteチャレンジ」に参加しています。

毎月、月ごとに決まったテーマで文章を綴ります。
今回は、1月のテーマ「お気に入りの本」や「人生観が変わった本」について書きました。