マイナス10℃
「1月8日から10日にかけて、水道凍結指数が100の予報が出ています。水道凍結対策を取ってください」 。おととい(1月7日)昼、会社の本部からこのようなメールが職場に届いた。なんでも、最低気温がマイナス9℃に達するという。
私が暮らす市では見たこともないような気温だった。ましてや今の勤務地は、市内でも比較的温暖な地域。寒波が襲った年末年始に水道の元栓を止めなかったが、年明け初日には普通に水が出ていた。もちろんこのような指示があるのも初めてのことだと、勤続20年の先輩も驚いていた。
それを聞き、自宅が心配になった。私の住む場所は比較的市内でも山あいにある。数年前に寒波が襲った時、給湯器の水抜きを忘れ、凍ってしまったことがある。そのときは、日中の最高気温が0℃で、最低気温マイナス5℃程度だったが、それ以上気温が下がるとなると水道も凍ってしまうのでは・・・と不安になった。
「水道凍結」「対策」で検索したところ、「元栓を締める」、「一晩中水を出し続ける」というのが出てきた。実は水道元栓をいじったことがなく、自信がなかったので、8日深夜から水を一晩中出し続ける方法を取った。
日付は9日に変わってすぐ、朝の3時に寒さで目覚めた。凍り付きそうなくらいの寒さに狼狽したが、トイレに行きたくなったので仕方なく布団から出た。トイレも洗面所も普段通りに水が流れて安心した。ふと、家の周りの気温が気になり、調べたら「マイナス10℃」に達していた。
そんな中、初めて経験する「マイナス10℃の世界ってどんな感じなんだろう」と思い、窓を開けた。ピンと張りつめたような寒さ、物音ひとつしない空間に身が引きしまる。ふと空を見上げると、くっきりとした三日月が見えた。こんなにもはっきりとした三日月の姿を見たのは初めてで思わず見とれてしまった。
今夜も冷えこむという。水道凍結対策など生活面は大変だ。けれど、深夜の自然が作り出した美しい冬の風景は幻想的で、しばし寒さによる疲れを忘れさせてくれた。現実を忘れて、冬山で天体観測なんてやってみたいと妄想してしまった。