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新刊日記本『こぼれ落ちてしまう前に』についてつらつらと(その2)

【"日常の日記本"を作ってみて思うこと】

委託販売で参加した日記祭も無事終わり、思えば11月の文学フリマ出店(とその前の準備)からひたすらバタバタと駆け抜けてきて、やっと生活が落ち着いてきた今日この頃。

一つ前の投稿に引き続き、日記本「こぼれ落ちてしまう前に」について、その製作の余韻がまだ鮮明なうちに、最後に編集後記のような、”この日記本を作ってみて思ったこと”をまたもやつらつらと…


一つ前の投稿はこちら


今回の日記本は、夫と小学生の息子二人と暮らす主婦である私が日々過ごす何気ない日常を記録したもの(noteの日記を収録)なのですが…

紹介文に”子育てをしながら文章を書く日々"とあるし、表紙もなんとなく温かい色合いだし、私のことをまったく知らない方(noteの日記も読んだことがない方)からすると、初見でのこの本の印象として、”ほっこり子育て日記”みたいに思われたりもするのかな、と先日ふと思い…(それが良い悪いということではなく)


でも私の中では、私の日々の日記というのは子育てに焦点を当てたいわゆる”子育て日記”ではなくて。

むしろ私は日々日記を書くときに、”母親である自分”に囚われすぎないようにあえて意識している節すらあると、今回改めて自分の日記を振り返って思ったところ。

私の生活、私の人生。
あくまでも私という個人が主体としてあって、私の目に留まったものや私が考えたこと感じたことについて書いている日記。

そんな私の歩む今の生活の中に、たまたま子どもたちもいて、夫もいる、そのくらいの感じ。

だいぶドライに思われるかもしれないけれど、今の私はあえてそのくらいの感覚でいることがしっくりくる。

”母親”が日記を書くと、どうしても自分の生活の中に我が子の存在はあって、必然的に生活の中に子どもとの関わりは出てくるけれど(恐らく子どもの年齢が低いほどその割合は多いような)、私が日記を書くとき、自分の生活を観察して記していくときには、子育てに限らず、生活の中のいろんな事柄や場面を偏らずに観察して綴りたいと思う私がいる。

(そう意識してしまう背景にはきっと、もう何年も前の子どもたちがもっと小さかった頃の私が、逆に子育てに意識を向けすぎて頑張りすぎて精神的にしんどくなってしまったことによる当時の反面教師というか、あの頃の”母親である自分”と子育てへの一点集中による日々のしんどさを体験したからこそ、今はいろんな意味で広い視野を持っていたいと思うし、そのほうが人生心地よいと感じるが故のところがある)

というわけで、そんな思いを抱きながら日々を観察して日記の文章を綴っているのだけど、一方で、そんなことを思いながらも、今回いざ過去の日記が一冊の本として手元にやってきて改めてそれに目を通してみると…

そこにはやっぱりどうにも”母親である自分”が確かに存在し、どうやっても子どものあれこれ(例えば体調や行事)に影響されながら存在する自分の生活というものがあった。

それが良いか悪いかではなく、ただ、”そう”だった。

今の私の生活において、子どもたち(と夫)の存在とか、自分が”母親であること”は、他の様々なことと同じように当たり前に日々の中にあって、それ以上でもそれ以下でもない。

子育てのことに限らず、自分が何を思って文章を綴っていようと、「日記」というものは、(少なくとも私が日記の中に書いた部分はすべて)私の生活を自然と浮き彫りにする。

日記を一冊の本にまとめたことで、それがより如実に現れたように感じた。

それって、すごく面白いことだなぁと思う。

そしてもう一つ面白かったのは、日記本の表紙のこと。

ここまで書いてきたようなだいぶドライなマインドで日々を観察して記録している自分がいながら、いざ本の表紙をどうしようかと思ったら、思い浮かんだのは今の本の表紙。


このどこか温かみのある(と私は思っている)グラデーション。

私の生活を綴ってまとめた本の表紙は、これにしようと思った。

私の生活が収まったこの一冊を、私はこの優しい色合いの表紙で包もうと思ったのだなぁと改めて現物を手にしてじわじわ思う。

日記を書いて、さらにそれを本にするという作業を通してまた感じたこと、気づいたこと。

書くって、本を作るって、本当に面白い。

そしてこの本を手にとって読んでくださる方がいたら、きっとその人にはその人だけの思うことや感じることがきっとあって。

私の本に限らず、本って、読書ってそういうもので、そこが面白いんですよね。

いつか、この本を読んでくださった方からぜひ感じたことや感想を聞いてみたいな。

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